乱鴉の島
2007年11月25日 今日の「本」(活字)
■今日の本
ISBN:4104308021 単行本 有栖川有栖 新潮社 2006/06/21 ¥1,785
『この女でなければならない』『この男しか愛せない』というのは、一瞬を生きるわれわれの宿命だ。ゾウリムシのように細胞分裂をして永遠に自己を複製する生物は、他者と出会わないのだから、愛も憎しみも知らない。それこそが永遠だ。愛を知るのは、永遠から切り離されて一瞬を生きるものだけ。一瞬を生きる哀しみと苦しみは、一瞬を生きる喜びを保障してくれる。そう信じる。
火村先生のシリーズ、ということで久しぶりに有栖川さんのお話を読みました。
そしたら三重県が舞台でちょっとびっくりしました(笑)
知らないで読む、というのはいいですね。
さて、そんな乱鴉(らんあ)の島。
私は別に本格的にミステリが好きだとか、犯人を絶対当てたいとかいうわけではないので、ただ物語りを楽しんで読んでますので、あまりこういうレビューには向かないのだと思いますけど、またもや火村先生の意外な一面が出てきてなんだかどっきりです。
子どもにまでウケがいいって、そりゃないぜ先生。
前読んだ格闘シーンでもかなりがっくり来たのに。
犯罪だけに精通してて先生!(笑)
という枝葉はともかく。
話は楽しめました。直感でこいつあやしいなあ、と思う人はたいてい犯人じゃないわけですが、今回もやっぱり犯人ではなく、「えーその人ー?」という感じ。
ある意味、ミステリ読者としては正しい読者なのではなかろうか、私。
ミステリなので、あまり核心に触れられないので感想が書きづらいのですが、島に居た人たちが目指していたものは、ある意味究極のメルヘンであり、究極のファンタジーだったのだろうと思います。それが許されるのか許されないのかは別として、誰しも一度は抱くような、はかない夢で、それがかなうかもしれないという可能性を目の前にしたら、すがっちゃうかもしれないよね、という提示なのだろう、と。
ただ、彼らは、多分その夢を、夢のままにしておいたほうが良かったんだと思う。
事件で夢が終わってしまったからではなくて、単に「そうなればいいのに」と希望をずっと持っていたほうが、多分実行に移すよりずっと、幸せだったんではないかと。
希望の間は、終りはないから。
殺人事件としての謎解きより、彼らが目指していたもののことのほうが、色々考えてしまいます。
未読の人にはさっぱりな感想ですな。
でもミステリだからしかたないやん。
ISBN:4104308021 単行本 有栖川有栖 新潮社 2006/06/21 ¥1,785
友人の作家・有栖川有栖と休養に出かけた臨床犯罪学者の火村英生は、手違いから目的地とは違う島に連れて来られてしまう。通称・烏島と呼ばれるそこは、その名の通り、数多の烏が乱舞する絶海の孤島だった。俗世との接触を絶って隠遁する作家。謎のIT長者をはじめ、次々と集まり来る人々。奇怪な殺人事件。精緻なロジックの導き出す、エレガントかつアクロバティックな結末。ミステリの醍醐味と喜びを詰め込んだ、最新長編。
『この女でなければならない』『この男しか愛せない』というのは、一瞬を生きるわれわれの宿命だ。ゾウリムシのように細胞分裂をして永遠に自己を複製する生物は、他者と出会わないのだから、愛も憎しみも知らない。それこそが永遠だ。愛を知るのは、永遠から切り離されて一瞬を生きるものだけ。一瞬を生きる哀しみと苦しみは、一瞬を生きる喜びを保障してくれる。そう信じる。
火村先生のシリーズ、ということで久しぶりに有栖川さんのお話を読みました。
そしたら三重県が舞台でちょっとびっくりしました(笑)
知らないで読む、というのはいいですね。
さて、そんな乱鴉(らんあ)の島。
私は別に本格的にミステリが好きだとか、犯人を絶対当てたいとかいうわけではないので、ただ物語りを楽しんで読んでますので、あまりこういうレビューには向かないのだと思いますけど、またもや火村先生の意外な一面が出てきてなんだかどっきりです。
子どもにまでウケがいいって、そりゃないぜ先生。
前読んだ格闘シーンでもかなりがっくり来たのに。
犯罪だけに精通してて先生!(笑)
という枝葉はともかく。
話は楽しめました。直感でこいつあやしいなあ、と思う人はたいてい犯人じゃないわけですが、今回もやっぱり犯人ではなく、「えーその人ー?」という感じ。
ある意味、ミステリ読者としては正しい読者なのではなかろうか、私。
ミステリなので、あまり核心に触れられないので感想が書きづらいのですが、島に居た人たちが目指していたものは、ある意味究極のメルヘンであり、究極のファンタジーだったのだろうと思います。それが許されるのか許されないのかは別として、誰しも一度は抱くような、はかない夢で、それがかなうかもしれないという可能性を目の前にしたら、すがっちゃうかもしれないよね、という提示なのだろう、と。
ただ、彼らは、多分その夢を、夢のままにしておいたほうが良かったんだと思う。
事件で夢が終わってしまったからではなくて、単に「そうなればいいのに」と希望をずっと持っていたほうが、多分実行に移すよりずっと、幸せだったんではないかと。
希望の間は、終りはないから。
殺人事件としての謎解きより、彼らが目指していたもののことのほうが、色々考えてしまいます。
未読の人にはさっぱりな感想ですな。
でもミステリだからしかたないやん。
コメント