新釈 走れメロス 他四篇
2007年11月8日 今日の「本」(活字)
■今日の本
ISBN:4396632797 単行本 森見登美彦 祥伝社 2007/03/13 ¥1,470
「あいつは戻らんぜ」
「そんなわけあるもんか。約束したんだ。姉さんの結婚式が済めば、帰ってくるさ」
「あいつに姉はいないよ」
久々にマジメにレビューです。
いや色々ずっと読んではいましたが、その大半はリプレイだったので、勢いで読みすぎて書くのが追いつかなくて、まあいいか。と。
というわけで、「走れメロス」です。
名作を、今の話に置き換えてみよう、という試みの下に書かれた話です。
偏った読書しかしないもので、走れメロス以外は原作を読んだことがありませんでした。いや、流石に題名くらいはしってましたけどね。
で、今回森見さんの作品は初めて読むのですが、微妙に古文めいた文章で、硬く見せかけて実はかなり読みやすかったです。一冊一気に読みました。
中でも一番面白かったのは、表題にもなっている「走れメロス」。
引用したセリフも「メロス」のものですが、何がすごいって、あのセリフ、「こない」と言い切っているのが、原作言うところのセリヌンティウス、つまり人質になった友人。「来るさ」と信じているのは悪い王様役。
そして案の定メロス役は「指定の時間に絶対に行かないことを目標として」行動するのです。追っ手だって振り切る振り切る。
ひねくれ者同士の270度くらいひんまがった美しい友情に爆笑すること請け合いなので、この一本だけでも読む価値はあるかと。
しかし、「こないよ」と言い切る芹名くんはかなり好み。
こういうキャラに愛を感じます。
是非。
ISBN:4396632797 単行本 森見登美彦 祥伝社 2007/03/13 ¥1,470
あの名作が、京の都に甦る!?暴走する恋と友情――若き文士・森見登美彦の近代文学リミックス集!その時、彼の腕を通りすがりの女性が必死で掴み、「ちょっとすいません!」と叫んだ。思わず見返した相手は驚くほどに可憐な乙女であり、目に涙を溜めている。芽野は決して女性に腕を掴まれたぐらいでのぼせ上がるような人間ではないけれども、理由を聞く前から彼女の涙にもらい泣きしていた。(「走れメロス」より)異様なテンションで京都の街を突っ走る表題作をはじめ、先達への敬意(リスペクト)が切なさと笑いをさそう、五つの傑作短編。 山月記/薮の中/走れメロス/桜の森の満開の下/百物語を収録。
「あいつは戻らんぜ」
「そんなわけあるもんか。約束したんだ。姉さんの結婚式が済めば、帰ってくるさ」
「あいつに姉はいないよ」
久々にマジメにレビューです。
いや色々ずっと読んではいましたが、その大半はリプレイだったので、勢いで読みすぎて書くのが追いつかなくて、まあいいか。と。
というわけで、「走れメロス」です。
名作を、今の話に置き換えてみよう、という試みの下に書かれた話です。
偏った読書しかしないもので、走れメロス以外は原作を読んだことがありませんでした。いや、流石に題名くらいはしってましたけどね。
で、今回森見さんの作品は初めて読むのですが、微妙に古文めいた文章で、硬く見せかけて実はかなり読みやすかったです。一冊一気に読みました。
中でも一番面白かったのは、表題にもなっている「走れメロス」。
引用したセリフも「メロス」のものですが、何がすごいって、あのセリフ、「こない」と言い切っているのが、原作言うところのセリヌンティウス、つまり人質になった友人。「来るさ」と信じているのは悪い王様役。
そして案の定メロス役は「指定の時間に絶対に行かないことを目標として」行動するのです。追っ手だって振り切る振り切る。
ひねくれ者同士の270度くらいひんまがった美しい友情に爆笑すること請け合いなので、この一本だけでも読む価値はあるかと。
しかし、「こないよ」と言い切る芹名くんはかなり好み。
こういうキャラに愛を感じます。
是非。
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