今日の「DQ3」(87)
2007年9月6日 今日の「DQ3」■台風きてますねー。
うちは直撃ルートから外れましたが、雨と風はすごいです。
首都圏の方々、お気をつけくださいね。
はっきり言って、テレビを見ている限り、気を抜きすぎ!
もっと警戒して!
警戒して!
■ムオル
■分けられなかったので一回にしたら長すぎました。
反省。反省。反省。
うちは直撃ルートから外れましたが、雨と風はすごいです。
首都圏の方々、お気をつけくださいね。
はっきり言って、テレビを見ている限り、気を抜きすぎ!
もっと警戒して!
警戒して!
■ムオル
ムオルは小さな村だった。
大陸でも北の果てにあって、あたりには他に村や町はなく、重要な施設があるわけでもない。おかげで、あまり旅人が訪れるわけでもないらしい。村の人は自分たちの村のことを「最果ての村」と呼んでいた。
だからといって寂しい村というわけではなくて、村人同士の市場は活発だった。教会も小さいながらちゃんと存在していて、その周りは花畑になっていて綺麗なものだったし、北の果てに近い割りには寒すぎることもなくすごしやすそうなところだった。
ただ、すこしおかしなことがある。
それは村の人たちが、私を見ると一度は必ず驚くこと。そしてその時必ず、私のことを「ポカパマズさん!」と呼ぶこと。
……ポカパマズって。
どういう意味かは知らないけど、少なくとも私の感覚では、その呼び名はかなりなんだか間が抜けているというか可愛くないというかどうにもこうにも好きになれないというか、つまりは何なんだその呼び方は!ということなんだけど初対面の人に怒鳴るわけにもいかなくて、結局「いえ、違います」なんて答える羽目になる。
そうすると、たいていは「え? 違うの? 似てるんだけどなあ」と、村の人たちが今度は首を傾げて困惑することになる。
どうやら、私は昔ここに尋ねてきた旅人の(私達以外にも物好きな人はいたということなんだろうけど、その辺は黙っておくことにして)ポカパマズさんに似ているってことなんだろう。
一体どんな人だったのかは分からないけど、皆が必ず嬉しそうな顔をして私を「ポカパマズ」と呼ぶことや、誰もが忘れてないってことから、きっといい人だったんだろう、とは思う。
嫌な人だったら、こんなに嬉しそうに迎えてもらえないだろうし。
だからこそ、「違います」ってうのはちょっと心苦しいところもあるけれど、まあ、仕方ない。
「でもさ」
宿についてチッタは首をかくん、とかしげた。
「そのポカパマズって人は何をしにここへ来たのかな? 村の人たちが言うとおり、最果ての村だし、何にもないし。いいところだけど」
チッタは窓の外を見る。
天気が良くて、やわらかな午後の黄色っぽい光が地面を照らしていて、何だかそれだけ見ていると、この世に魔王がいて、世界をどうこうしようって考えてるなんていうのが嘘みたいに思えてくる。
「単に世界を見て回って、制覇するのが夢や目的だったのかもしれないさ。冒険者って言うより、探検家だな」
カッツェが肩をすくめて見せた。「アタシに分かるわけないだろ」という意味の意思表示のジェスチャーに見える。
「けど、ポカパマズっていう人間は、アレだけ記憶に残って愛されてるんだ。何か魅力があったんだろう。残念ながらココにはオーブも見るべきものもなさそうだ。船の準備ができたら出発になるだろうし、ポカパマズの伝説でも聞いて時間をつぶそう。もしかしたら他の村や町の話をしてて、お宝のいい話なんかをおいていってるかもしれない」
「それもそうだね」
カッツェの提案に私たちは頷くと、隣の部屋に居るリュッセを誘って村に出てみることにした。
とはいえ、最初に見て回った時から分かっていた通り、小さな村には見るべき場所はほとんどなかった。ただ、小さな村にしては市場はやっぱり活発で、出会う人で会う人が私を見て一様にポカパマズさんと呼ぶ。
で、聞いてみたらポカパマズさんはなんと男の人だったらしい。
「私ってそんなに男の人みたいな顔なの?」
「ポカパマズさんが女顔だったかもしれないよ」
思わず天井を見つめて遠い目をする私に、チッタが困ったような顔をして首を傾げて見せた。
「大丈夫だよ、アンタは可愛い顔してる」
カッツェが私の肩にぽん、と手をおいた。
「……うぅ、ポカパマズさんって何者だよ……」
そんな話をしながら、市場を回る。
市場にはお店のほかに、おじいさんたちがのんびり話をしているベンチがあったり、花壇があったり、なかなか手入れも行き届いていて、市場以外にも村の人たちの交流の場として機能しているみたいだった。
事実、市場の端には子どもたちが集まる教室のような場所があって、私たちがお邪魔した日には、皆で歌を歌いながら輪を描いて踊っていた。どうやら、村の祭りの練習らしい。口々に歌いながら踊る姿は、ちょっと可愛らしかった。
暫らく見学していると、練習は休み時間になって、子どもたちは好き好きな場所に座り込むと、友達とじゃれあいながら話を始めた。その間を通り抜けて、踊りを教えていたまだ若い男の人が私達のほうへ歩いてきた。
「あなた達はもしやアリアハンの御方では?」
「そうですけど?」
男の人は私の顔をじっと見つめた後、納得したように頷いた。
「やはりそうでしたか。ポカパマズ様もそこから来たとおっしゃっていました」
「……」
また、その人ですか。
「私、そんなにその人に似てるんですか?」
「ええ、面影が。ですからちょっと尋ねてみたのです」
「面影? でも私、そういう名前の人を知らないです」
自分でも答えが冷たくなってるのは分かるけど、こうも連続でその知らない人と間違われると流石に気分が悪い。
男の人は苦笑いした後、続けた。
「確かアリアハンでの名前はオルテガ……。まだ赤ん坊の娘を残してきたのが心残りだ、とおっしゃっていました。貴女があまりに似ていらっしゃるので、もしや、と思いまして」
私はぽかんとして男の人を見上げる。
後ろでチッタが「うわー、すごい偶然」とか小声で言っていて、それに対してリュッセが「ええ全く」なんて答えているのが聞こえる。
「オルテガは、父です」
答えると、男の人は納得したように頷いた。
「やはりそうでしたか。で、ポカ……オルテガ様はお元気ですか?」
「……父は、なくなりました」
「そうでしたか」
男の人が沈痛な面持ちになる。
「父はココで何を?」
「旅の途中なのだとおっしゃっていました。暫らく滞在して、村のことを色々助けてくださいました。子どもたちにはおもちゃなども作ってくださいましてね、皆ポカパマズ様のことが大好きでした」
「ありがとうございます」
そうか、ポカパマズさん、お父さんだったのか。
だったら似てても仕方ない。
ちょっと嬉しいような、でも男顔に似てるのかと思うと嬉しくないような、複雑な気分。
「父のこと、色々教えていただけて嬉しかったです」
挨拶をして教室を後にしようとすると、男の子が一人走りよってきた。
「おねえちゃん!」
「何?」
「ボクね、ポポタって言うの。ポカパマズさんには一杯遊んでもらったんだ」
「そうなんだ」
私は遊んでもらったこともないよ。
何か変な感じ。
「お姉ちゃんに、あげなきゃ」
「ん? 何を?」
ポポタと名乗った男の子は、私の手を引くと教室の下にあるお店に連れて行く。
「おじちゃん、話は聞こえてた?」
「ああ、もちろん」
どうやら雑貨店らしい店の主は、大きく頷くと店の奥からかぶとを持ってきた。
結構頑丈そうな、こののどかな村には似合わないものだ。
「コレはポカパマズさんが村に置いていってくれたものです。娘さんになら、お渡しできます。ポカパマズさんはいつも娘さんのことを気にかけてましたから」
受け取ると、かなりずしりとした重量感のある、しっかりとしたつくりのかぶとだというのが分かる。
「ポカパマズさん、強かった。このかぶとはずっとポカパマズさんと戦ってたんだもん、ここで埃をかぶってるより、お姉ちゃんが使ったほうがいいと思うんだ」
「そっか。ありがとう」
私はポポタの頭をぐりぐりなでてから、店のおじさんにお礼を言う。
「大事に使います」
「一体いつごろ、オルテガおじ様はココにいたのかな? あの子10歳くらいに見えたでしょ? おじ様が居て、一緒に遊んだって記憶が鮮明みたいだったから、3つとか4つには確実になってた頃だよね? 割と最近まで、おじ様は生きていたってこと?」
「リッシュに似ているということでしたから、騙りの別人ってこともなさそうですしね」
「お父さんはココに来たことがあって、みんなに好かれてた、それだけでいいよ」
不思議そうな顔をしているチッタとリュッセに、そう答えると私は笑う。
「何か、もしかしたらまだ生きてるのかもね」
そうだったらいいな、って何度も思っていたことを口にする。リュッセが私を覗き込んだ。
「もし、オルテガさんが生きていたら、どうします?」
「その時にならないとわかんないなあ。だって、私お父さんの顔知らないし。会っても気付かない可能性はあるし、偽者をお父さんだって誤認する可能性もあるし。何とも言えないなあ」
「とりあえず、リッシュに似てるんだよ」
チッタが笑う。
「リッシュが似てるんじゃないですか?」
「どっちも同じだよ」
「違うとおもいますけど」
チッタとリュッセの会話に、私はため息をつく。
「私はそんなに男顔? それとも女顔なお父さん?」
「どっちも中性的だってことにしとけば、安全側」
チッタの言葉に私はもう一度深々とため息をつくと、宿屋への道を歩き出した。
■分けられなかったので一回にしたら長すぎました。
反省。反省。反省。
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