■火曜日に、ゼルダの伝説夢幻の砂時計を買いました。
面白い! 面白い! 楽しい!
これからドンドン更新が遅くなったら「そうかゼルダか」と思っていただいて結構!(笑)

■船に乗っていたもの
次の朝、なるべく早く私たちは落ち合うと、船にいそいだ。
船は何の変化も無く、そこにあった。
「どうした、早いじゃないか」
リーダーが驚いたような顔をしている。
「何も変わりはなかった?」
私の緊張した声に、リーダーが笑う。
「ねえよ。リュッセが先に来たくらいだな」
「何か言ってた? リュッセ、変わりなかった?」
「別にねえな。ヤツは早く寝たけど、そのくらいだ。……話は大体聞いてる」
「どんな?」
「アレに因縁深い貴族に、ここに居るのがばれたかもしれない、迷惑はかけません、ってトコだ」
「襲撃とか、無かった?」
「ねえよ。あったとしても撃退できるぜ。俺たちを何だと思ってる」
「海賊」
「正解だ」
リーダーは笑いながら、わしわしと私の頭を撫でた。
「心配ならさっさと会いに行ってやれ、飯食ってるとこだ」
私は慌てて走る。後ろのほうでチッタとカッツェがくすくす笑っているのが聞こえたけど、気にしないことにした。

「あれ、早かったんですね」
「心配で」
「ありがとうございます。でも心配することありませんよ。アリアハンの英雄オルテガの娘にして、魔王討伐の旅に出たアリアハンの勇者の供を暗殺したなんてばれたら身の破滅ですからね、そんな下手なことしませんよ」
リュッセはそんなことをいって静かに笑っている。
「じゃあ何で先に船に乗ったりしたの!?」
「迷惑をかけないためですよ。勇者という重要な娘さんの、仲間であることが判明したんですよ? いけしゃあしゃあと『昔さらわれたうちの子に良く似てる』だとかなんだとか言いながら、ウチに迎えにきたらどうするんです」
「あー……」
「僕は父親のことは嫌いです。許すつもりは有りません。でも、父も母もとても大切です。愛しています。だから迷惑をかけるわけには行きません。さっき言ったようなことになったら、僕は両親のためにも父親のところへ行かざるを得ないでしょう。ほかならぬ両親の目の前で。それは避けなければ」
「うん、そうだね」
「本音としては、ココに父親の手のものが来れば、とも思ってたんですけどね」
「そ、そうなの?」
「きっぱりと決別を宣言できたでしょう? 僕から出向くわけには行きませんから」
そこで私は大きく息を吐いた。
「よかった。殺すとか言うのかと思った」
「そんな野蛮なことはしません。それじゃあの父親と同じじゃないですか」
「そうだね」
「でも、心配してくれてありがとうございます」
「ううん」
リュッセは私の頭をそっと撫でて、優しい顔でふわっと笑った。
「いつかきっと、恩返しをしますね」
「なんのこと?」
「さあ?」

長居は無用ということで、早々にアリアハンを後にする。
当初の目的はレーベの北。そこから一気に海を北に向けて縦断することになっている。アリアハンから北に向かうと、ダーマの東南方面・バハラタの東辺りの大陸の端っこに着く。そこからごく狭い海を東に渡ると、細長い島国にたどり着くそうだ。何でも独特な文化を育んだ国で、ジパングというらしい。
「ともかく行ったことのねえ国を行ってみて手がかりを探すんだろ?」
というリーダーの言葉に頷いたらそうなった、という感じだ。
よって現在、レーベの北をすこし行ったところを船は静かに北へ向かって進んでいる。
「リッシュ、リーダーが呼んでます」
甲板で素振りをしていたところへリュッセがやってきてそう伝えた。
「何の用かな?」
「全員で来てくれって頼まれました。カッツェはどこですかね?」
「チッタは?」
「すでに行ってます。寝てましたから」
「また船酔い?」
「単に眠かったみたいですよ。お父上と喧嘩してたらしいですし」
「寝不足かぁ」
私は笑うと、帆を見上げた。
「カッツェー! リーダーが呼んでるってー」

帆から降りてきたカッツェとともにリーダーの居る部屋に行って、私とカッツェは唖然とした。
「え? なんで?」
そこにいたのは、ティックだった。ルイーダさんのお店で会って、そのときは諦めたみたいにしてたのに。
「密航だ。タルの中に潜んでた」
「古典的な」
リーダーの言葉に、カッツェが呆れた声を出す。
「で? コイツが入ってた分のタルの食糧なり水なりは大丈夫なのか?」
「多めに積んでるから問題はないが……どうする」
「連れて行ってください!」
カッツェとリーダーの会話に、ティックはすごい勢いで頭を下げた。
「ココから戻るのって、どうなの?」
私が訪ねると、リーダーは即答する。
「面倒だ。海に叩き込むか」
その言葉に、リュッセが「それは断固反対です」と、冷たい声をあげる。確かに、かなりそれは嫌だ。
「普通はどうするの?」
「普通海賊船に密航するやつはいねえよ」
チッタの質問に、リーダーが困ったような声を上げる。
「え? コレって海賊船なんですか?」
「違うよ」
ティックの質問に、チッタがため息混じりに答えた。
「ともかく、海に叩き込むにせよ、船員の見習いにするにせよ、あんたらの仲間にするにせよ、船長が決めてくれ」
「海に叩き込むのは断固反対ですってば」
リーダーの言葉に、リュッセが眉を寄せる。ちょっと怒っているみたいだ。
「んー」
私はティックを見て暫く悩む。
もちろん、海に叩き込むなんて、そんなつもりはない。
でも、お客さんでもない。
「見習い船員でいいんじゃない? お客さんってわけには行かないし、かといってわたしたちと旅してもらうわけにも行かないでしょ? 船代のかわりに、お料理でもしてもらって働いてもらえばいいじゃない」
チッタが首を傾げて私を見た。
「うん、そうだね」
「ありがとうございます!」
私の返事に、ティックがまた勢いよく頭を下げた。
「じゃあ、お前ついて来い。料理長に会わせる」
リーダーの言葉に、ティックは「はい!」といい返事をしてその後を追いかけていった。
「あそこまで執念あると、ちょっとガッツを認めたくなるな」
カッツェは苦笑して、歩いていったティックを見送った。


■さてはて、これから進むのは北・ジパングです。
実はあまり古文も日本史も得意じゃないので、ぼろがコレまで以上に出るとおもいます。
大目に見て頂戴、大目に。

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