■今テレビから「ジャパネットタカタ」の声がしてました。
この人の声も独特ですなあ。
テレビ見てなくても誰がしゃべってるのかわかるんだもの、強力な武器ですよね。

ただ、その声が嫌いなんですが!(笑)


■覚醒
先にポルトガに胡椒を置きに行くのも、なんとなく気が引けるし、かといって無意味に1ヵ月半ぼんやりしているのも勿体無い。ということで、私たちはダーマ神殿の周りに生息する魔物を退治する仕事を引き受けて、宿代をお安くしてもらいつつリュッセが出てくるのを待つことにした。
ダーマは様々な人が修行しているだけあって、その周辺の魔物退治にも結構な人が参加している。結果、その人たちは強くなるし、夢を抱いてやってくる人の安全にも繋がっている。なかなか上手くできたシステムだと思う。
最初の頃はリュッセの回復魔法がないまま戦うのは不安だったけど、戦いと戦いの間に私が魔法を使えば何とかなることが分かった、けど、途中からは僧侶志望のお姉さんが参加してくれて戦いはスムーズになって、やっぱり回復魔法を戦闘中に使えることは安定につながるのだと気付かされる。早く戻ってきてリュッセ。

そんなこんなでそろそろ5週間がたとうかというある日の朝、私たちは部屋をノックする音で目を覚ました。
半分以上寝たままの頭で何とかドアを開けて応対する。ドアの外にはきちんとした法衣を着たまだ若い女の人が立っていた。
「なんですかぁ?」
声も半分以上寝ているのを自分で自覚しつつ、とりあえず尋ねる。
「お連れの方の入られた悟りの間に、変化がありました。もうすぐ出てこられるかもしれませんので、もし立ち会うのでしたらご準備ください」
目が覚めた。
慌てて部屋の中を振り返ると、ベッドの中で半分以上寝ていたはずのカッツェとチッタも完全に目を覚ましたようだった。
「じゅ、準備出来次第、向かいます! どこへ行けばいいですか!?」
「こちらの廊下でお待ちしておりますので、ご準備が整われましたら声をおかけください」
きちんとした女の人はそういって頭をさげると、音もなく廊下を端っこまで歩いていったそこで立ち止まった。どうやらあの位置で私たちを待ってくれるつもりらしい。
「用意しなきゃ!」
お互い頷きあいながら、慌てふためいて準備をする。とはいっても、荷物はこのまま置いていけるシステムだし、着替えて顔を洗うくらいの話だけど。
何とか準備をして廊下に出ると、きちんとした女の人は足音もなく歩き始めた。それに続いて私たちはぞろぞろと歩く。女の人は早足なのに、足音が本当にしない。長いスカートの中は、実は宙に浮いているんじゃないだろうか。そのくらいウソみたいに音がしなかった。

神殿の中は早朝で、流石に人はまばらだった。奥のほうには祭壇が見えて、いつもの僧衣のお爺さんが立っているのが見える。遠くからだけどとりあえず会釈をしておいた。気付いたかどうかは別の話だ。
その祭壇を左手に見ながら、神殿の右側奥にある部屋に入る。そこから細い通路が続いていて、いくつかのドアが並んでいるのが見えた。ただ、ドアにはノブがなくて、一体どうやってドアを開けるのか分からない。
「こんなところあったんだ」
「普段はあまり人が出入りする場所ではありませんので、知らない方のほうが多いでしょう」
きちんとした女の人がこたえる。部屋の中も通路も薄暗く、女の人の声だけがとても近くから聞こえて何だか不思議な感覚だった。
「その後変化はありましたか?」
女の人が、部屋の中に向かって尋ねる。
「いいえ、今のところ変わりはありません」
どこからともなく声が答える。
私たちは声につられるように、細い通路に並ぶドアを見た。どれもこれも同じに見える。どれに変化があったのか、なんて目で見て分かるものなんだろうか。
「数分から数時間、数日のこともありますから」
部屋の中から再び声がした。もしかしたら返事の続きなのかもしれなかったけど、私たちには何を指した言葉なのかいまいち理解ができなかった。

と。

突然、廊下の突き当たりのドアが開いた。
ここからは、薄暗くて細い廊下に白っぽい塊が飛び出してくるように見えた。
それはどうやら廊下でこけたようで、やがて立ち上がる。
人の形。
ふらりふらりとした足取りで通路をこちら側に歩いてくるのが見えた。
「随分お早い」
近くで、きちんとした女の人の声。
「流石は大賢者様でも見通せない不確定」
部屋の中で、声。
ふらりふらり、歩いてくる足取り。
見覚えある歩き方。
近くに来る。
白だと思ってたのは、服の色だった。ずるずると長い、白いローブを着ている。
髪が随分伸びていて、腰よりも長くなっていた。
青がかった黒髪だったはずが、その色は蒼銀色に変わっている。
そのせいで、白い塊に見えたのかもしれない。
長い髪の間から、整った綺麗な顔が見えた。
「ああ」
久しぶりに聞く声が、その口から漏れるのを聞いた。
「こんなに長い間まっていてくれたんですか?」
そう言って。
彼はふわりと私の肩に顔を埋めた。

「おかえり」

「ただいま帰りました」

そういうとリュッセは、そのままの体勢で眠り始めた。


■人気投票継続中
http://vote2.ziyu.net/html/zum_sieg.html

ついにテスが200票超えましたー!!
うわあ、何がそんなに受けてるんだテス!
投票ストップまではまだ間があると思います。
明確に数は決めてあるのですが、まだまだたどり着かないと思います。

コメント

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