今日の「DQ3」(63)
2007年7月6日 今日の「DQ3」■前枠、何書こうかな。
いいか、一回くらい書かない日があっても。
■ガルナの塔 2
■いやな感じで来週に続きます。
が、ご存知な方は大していやな感じでもない引きです(笑)
これからどう書こうかなー。
いいか、一回くらい書かない日があっても。
■ガルナの塔 2
たどり着いた部屋は何もない小さな部屋で、ただ下りの階段だけがあった。つまり、ガルナの塔本体の1階に戻ることになる。
「また1階に戻るの? 何にもなかったのに」
チッタがうんざりした口調で言うと、カッツェは笑った。
「いや、場所から言ってココは普通に入った1階の、壁の向こう側になるはずだ」
「え?」
「最初にでかい入り口から入って、右手側の通路を歩いたろ? で、奥側の裏口から出た」
暫く考えて、その通りだったから頷く。隣でチッタも真剣な顔をして頷いている。
「外に出てちょっと進んだところにさっきの小さな建物があって、そこから塔内に戻ってきたわけだ。立地的には、通路の外側だろ?」
カッツェは床に簡単な地図を書きながら説明する。地図を見ると、さらによくわかる。
「今のところ、1階は右手通路外側と、中央部が全くわからない状態だ。とりあえずこの階段を下れば不明点が減る」
「そうですね」
リュッセが頷いた。
「お前説明聞かなくても大体わかってたな?」
「ええ、まあ」
階段を下りると、少し広めの部屋に出た。部屋の隅っこに旅の扉が設置されている。部屋に窓はないけど、旅の扉から沸きあがる光で十分明るかった。何もなくて旅の扉だけある、入り口近くの部屋と似たようなつくりだ。この旅の扉は塔の中だけを移動するように作られているんだろう。あちこち塔の中を飛ばして、方向感覚をなくさせるための罠なのかもしれない。
「まあ、一本道だし悩んでいても仕方ないね。進もうか」
たとえソレが罠だとしても、結局進むしか選択肢はないわけで、私たちは旅の扉をつかって先に進む。たどり着いた場所は部屋ではなくて、通路と言うほうがいいような場所だった。細い通路の行き止まりに、私たちが使った旅の扉が設置されている。そこを背にして立つと、正面は暫く行くと行き止まりで上り階段がある。途中十字路になっていて、その左右に走る通路も細くてすぐに行き止まり。同じように上り階段があるのが見えた。
「どの道行く?」
「じゃあ、右手から順番に」
全ての階段をとりあえず上って、どうなっているのかを確かめてみる。
旅の扉の反対側の階段は大きな部屋に、あとの二つは小さな部屋に繋がっていて、また階段があった。小さい部屋のほうから順に確かめてみると、最初の階から2つ上ったところで行き止まりになっていた。どちらも宝箱がおいてあって、いくらかのお金を手に入れた。カッツェはとりあえずソレで元をとったつもりになる、と宣言してチッタにまた「だからリュッセ君を助けようの会だってば」と訂正されていた。
なんだかちゃんと進めている気が全然しない。
今度は大きな部屋のほうを見てみることにした。大きな部屋といっても、他の二つに比べて大きいだけで、実質はそんなに大きいわけでもなく部屋は見渡すことができる。登ってきた階段を背に立つと、丁度部屋の左右に上りの階段がある。それ以外には何もない。いつもどおり右手側に進んで、階段を上ってみたけどそちらはどうやらはずれだったらしくて小さな行き止まりの部屋にたどり着いただけだった。
「はずれだったね」
「何でこんなに袋小路ばっかりなの!? 嫌がらせ!?」
私が力なく笑うと、チッタが耐えかねたのか叫び声をあげる。
「やっぱりお前は悟れないタイプだよ」
そんなチッタを見て、カッツェがため息をついた。
もう一方の階段を上ると、狭い部屋に出た。すぐ目の前に上り階段がある。階段を上ったり降りたりしなきゃ駄目だし、行き止まりも多いし、旅の扉で現在地は分からなくなるし、綱も渡らなきゃいけないし、賢者になるっていうのは本当に大変なことだ。そう思ってリュッセを見たら、何だかとても生き生きと嬉しそうな顔をしていた。やっぱる当事者ともなると「近づいているんだ」って意識があるのかもしれない。
「楽しい?」
「ええ」
思わず尋ねると力いっぱい肯定されて、なんだかちょっと不思議な気分になった。
目の前の階段を上がると、再び小さな部屋に出た。形こそ違うけれど、やっぱり目の前すぐに上り階段がある。今どのくらいの高さなんだろう。窓は明り取り用の小さなものがあるだけで、あまり外は見えない。おかげで高さが全く分からない。ありがたい話だ。けど、少なくとも旅の扉を抜けてから4階分は上ってきているはずで、かなりの高さに到達しているはずだ。
……考えるの、よそう。
カッツェに続いて階段を上って、私は再び硬直する羽目になった。
正面に壁がない。綺麗な青空が広がっている。そしてその壁のないところから、向かい側に向かってロープが一本。
「……ああ、流石に参りましたね」
背後でリュッセの声がしたのを、私は呆然と聞くしかなかった。
死ぬ思いでそのロープを渡ったにもかかわらず、向かった先にあったのは階段とその次の行き止まりの部屋で、まあその部屋では凄く綺麗な銀製のティアラなんか手に入れたりしたんだけど、そんなことは瑣末なことで、つまりリュッセの探し物はなかったわけで、だったらロープを渡った私の根性とか覚悟とか返して欲しい気分で一杯になった。神様私のこと嫌いなんですか。
「しかし、参ったな。塔のいけそうなところは全部まわっちまったよ」
ロープの先の、小さな行き止まりの部屋でカッツェは今までの地図を見ながら爪をかむ。確かに、地図は見る限り完結した感じがする。
「あの爺さんがガセをつかませたとは思えない。悟りの書ってのが本以外の形態してないかぎり、見落としようがないと思うんだが」
「書って言うくらいだから本だよ」
私が言うと、「まあ、そうだろうけどさ」とカッツェは答える。それからまた地図に目を落とした。
「何処かに隠し通路とか隠し階段とかあったのか? でも、それだとしてもそんな空間もうなさそうなんだが」
「一回戻りませんか」
「なんで!?」
リュッセの提案に私は思わず悲鳴めいた声を上げる。見つかっては居ないけど、とりあえずここに居ても仕方ないからリレミトで脱出するつもり満々だったからだ。
「ちょっと……気になる場所がありまして」
「調べてみたいんだ」
「ええ、まあ」
チッタの質問にリュッセは頷く。
「じゃあ行こうか。今回はお前が主役だ」
カッツェがリュッセの肩を叩いて立ち上がる。
「すみませんね、リッシュ」
「……いいよ……がんばる」
私はリュッセと目を合わせないようにしてぼそりと答えた。
帰り道もあのおっそろしいロープを渡りきることができて、私は胸をなでおろす。先に渡りきっていたカッツェに「よくやった」なんて褒められてちょっと嬉しい。単純なのかもしれない。後はリュッセとチッタが渡ってくるのを待つだけ。二人とも高いところは平気だし、バランス感覚もいいから安心して待っていれば大丈夫。
リュッセが渡り始める。
彼は暫く進んだところで、立ち止まって私を見た、様な気がした。
「 」
何か言ったのか、口が動いているのが見える。
そして。
リュッセはロープから落ちていった。
■いやな感じで来週に続きます。
が、ご存知な方は大していやな感じでもない引きです(笑)
これからどう書こうかなー。
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