■暑いですねー。
なんかもう、夏という季節は本当にだめです。
体力なしなので、ろくな目にあいません。
コレまでの人生、でかい病はすべて夏です。
日光にも弱いです。

冒険者たちは大変だなあ、と思います。(唐突な〆)

■バハラタ 2
教えてもらった問屋さんは、宿屋からそんなに遠くないところにあった。けど、結構入り組んだ道の奥にあったから、知らなかったらたどり着けなかったかもしれない。
入り口には大きな看板がつけられていて、知らないスパイスの絵が描かれている。両開きの扉は大きく開け放たれていたけど、そのわりに中は暗い。近づいていっても全然活気が感じられないお店だった。
「ごめんくださーい」
そっと中を覗いてみると、お客らしい冒険者のお兄さんが一人居るだけで、その人も首を振り振りお店から出てこようとしているところだった。
「君もこの店に用事か?」
冒険者のお兄さんは私を見ると気の毒そうな顔をした。
「わたしもはるばるここまでやってきたのだが、店は休みだそうだ」
「いつ再開されるんですか?」
「ソレが未定らしい。全く、参ったよ。毎日通っているのだが」
お兄さんは大きなため息をつくと肩をすくめて見せた。ちょっとオーバーアクションな人だ。
「理由は? ご存知有りませんか?」
リュッセが尋ねると、お兄さんが首をかしげた。
「詳しくは知らない」
「詳しくなくてもいいです、と言えば? 何かご存知ですか?」
「噂ではこの店の誰かが誘拐されたとか。本当かどうか分からないが」
私たちは思わず顔を見合わせた。本当だったらかなり大変な状況だ。
「とはいえ眉唾物だ。大旦那は居るみたいだし」
お兄さんは困った顔で大きくため息をつくと、店から出て行った。

暫くお店で待ってみたけど、やっぱり誰も出てこない。
「コレは本当かどうか確かめてみたほうがいいんじゃないかな」
私が言うと、チッタが頷く。
「胡椒自体はどこでも買えるかもしれないけど、人の代わりはいないもんね。どっかにお店の人いないかな?」
「話を信じてもいいんだろうかね? 本当に誘拐があったんなら、近所の宿屋の親父なら話を知ってそうなもんじゃないか」
「わたしたちが強そうだったから、助っ人にならないかなって思って送り込んだとか!」
「それ、綱渡りですよ。見掛け倒しって言葉も世の中にはあることですし」
リュッセが苦笑する。
「でも、知っちゃった以上、放っておけないよ。ガセだったらソレに越したことないし、お店の人探してみよう」
私の言葉に大きくチッタが頷く。コレで私たちの方針は決まった。
「じゃあ探すか、店のヤツ。こういう店舗は裏手が住居ってのが標準設計だ」
カッツェはそういうと、暗い店内からさっさと出て行く。私たちは慌ててその後を追った。

店の裏手には、すぐのところに「聖なる川」が流れていて、庭なのか公共スペースなのか判然としない広場があった。ずっと東側にもそのスペースが伸びていて、色んなお店や建物の裏手が見える。多分、本来は共有スペースだろう。向こうのほうに石造りの階段と柱のある、石とタイルで装飾された床のような場所が見える。そこで数人の女の人たちが水を汲んでいた。
あたりをぐるりと見渡すと、店に近いところでおじいさんと若い男が言い争っているのに気付いた。おじいさんは若い男を説得しているのか、時折若い男の両肩を押さえて「落ち着け」と言っているように見える。男のほうは興奮しているのか、随分身振り手振りが激しい。
「喧嘩ですかね」
リュッセが眉を寄せる。あまりいい気分じゃないのは間違いない。そういえば、リュッセが怒ったところを見たことが無いな、と気付く。エルフの村でも、オアシスで過去を語った時も、淡々としていてあまり感情に起伏が無い感じ。
「リュッセって怒ることあるの?」
「……そりゃ、ありますけど……何でこのタイミングで?」
不思議そうな顔でリュッセは私を見た。青みがかった黒い髪が風で揺れている。ずっと黒い髪だと思ってたけど、本当は青が物凄く濃くて黒っぽく見えてるのかもしれない。同じ色の瞳が、ちょっと呆れたような色合いを帯びていた。
「なんとなく。怒ってる人みて、そういえば怒ったところ見たことないなあって。……連想?」
リュッセは呆れを通り越して理解不能、というような顔をした。ので、思いっきり足を踏みつけてやった。
「とりあえず、止めようよ。話し合いっていうのは、冷静じゃないととんでもない結末になったりするよ」
チッタが私の腕を引っ張った。
「うん、そうだね」
はっとして、私はチッタと一緒に二人の間に割ってはいる。
「あの、喧嘩は良くないです!」
声をかけると、おじいさんと若い男は私たちを見た。おじいさんはほっとしたような顔で。若い男は胡散臭そうな顔で。

「旅の人、聞いてくだされ!」
おじいさんが一瞬早かった。そしてそのまま、一気にまくし立てる。
「ウチの孫娘のタニアがさらわれたんじゃ! あんたらとても強そうじゃし、何とか助けて貰えんかの!? ここに居るグプタが助けに行くと言うてきかんのじゃが、この上グプタまで居なくなるとなると」
「何を言うんですか! こんな旅人なんて信じられませんよ! ボクが助けに行きます!」
そういうと若い男、たぶんグプタさんはおじいさんを振り払って走っていってしまった。誰も止めることができなかった。
私は呆然とおじいさんをみる。おじいさんはもっと呆然としていた。


■暑くて溶けそうです。

人気投票実施中。
http://vote2.ziyu.net/html/zum_sieg.html

いつやめるか明確に決めてあるのですが、その期日は言わないことにします。
ふふふ。

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