■よーしよーし、5月、ちゃんっと「強化月間」になってたぞー!

……思いのほか進みは悪かったけどな!

まだピラミッドに居るよ。何してんだ。
来月も細々書いていきます。

■ピラミッド 3
もう一回中に入る前に、少し外で休憩しようということになった。太陽の日差しは暑いを通り越して痛い気がするけど、チッタがまだ不安そうだから、先に進むのは危ない気がしたからだ。その間に、リュッセは魔法を使ってカッツェの怪我を治している。チッタもソレを見ているから、頭では大丈夫だと分かっているはずだけど、まだ感情的には不安らしい。こういうのって、下手に何か言おうものなら逆効果になりそうで、なかなか言葉をかけられない。
私は、無力だ。
「大丈夫、行こうか」
唐突にチッタが立ち上がった。随分長い間泣いていたから、まだ眼は赤い。立ち上がってから何回か深呼吸をして、チッタは漸く私を見てにっこりと笑った。
「大丈夫なの?」
「うん、平気」
私の言葉に、チッタは頷く。
「確かに私から魔法取ったらほとんど何にも残らないけど、ソレは旅をする上での話であって、生きていくための話じゃないもんね。もし魔法が使えなくなってたら、アリアハンに戻ってこの美貌を生かして生きていく」
「……」
私はその言葉を聞いて唖然としたけど、カッツェは大笑いした。
「あっはっは、それはいい。女はそのくらい図太く強くなきゃ駄目だよ。もしアンタが魔法使えなくなってたら、アタシが責任もって盗賊の心得を教えてあげるよ。コツさえつかめば、非力でもできるからさ」
「いらないよそんなの」
カッツェの提案にチッタは口を尖らせた。本気で嫌がってる。
「なんにせよ、元気になられて良かったですよ。大丈夫です、生きてさえいれば、割といいことありますよ。保証します」
「絶対とか言わないで『割と』って言う辺りが狡猾だよリュッセ君。流石腹黒疑惑のヒトだ」
「褒め言葉として受け取っておきます」
リュッセは苦笑するとチッタの額を何度か撫でた。

再び、ピラミッドの入り口から中に入る。見覚えのある埃っぽい細い通路を行くと、さっき落とし穴に落ちた小部屋にやってきた。床にはもう穴なんて無い。何も罠なんてありません、みたいな状態に戻っていた。
「コレはアレかな。右手を壁につけて歩いていくと大丈夫っていう古典的なやつ」
カッツェが床を見ながら首を傾ける。
「確かに、落とし穴は部屋の大部分ではありましたけど、端のほうまでは設置されてないみたいでしたよね」
リュッセも頷いて答えた。いつそんなに観察してたんだろう、と自分の観察眼の無さにちょっとがっくりする。
「とりあえず、落ちなきゃいいんだよ。端を歩いていくよ」
カッツェは私たちに言うと、右手を壁につけながら歩き始めた。
「とりあえず、奥まで真っ直ぐ進んでみるんだったよね」
随分前に決めたことをカッツェは確認する。私は「そうだったと思う」なんて返事をする。部屋を抜けて見えていた通路に入って、私たちは大きく息を吐き出す。なんとなく、皆息を止めていたみたいだった。
「落ちなくて良かったねえ」
「同じ罠に捕まるのは馬鹿だよ」
私の呟きにカッツェは苦笑すると、先を指差した。
「多分、次の部屋も同じつくりだよ」

カッツェの言ったとおり、通路の先には再び小部屋があって、東西に細い通路が伸びていた。北には今までどおりの通路が延びている。まだ真っ直ぐ進めるということで、私たちは北側に進むことにした。部屋の中央にはまた落とし穴があるだろう、という予測で部屋の端っこをそろりそろりと進む。今度はいきなり床が抜けることもなく、北側通路に出ることができた。暫く行くと、また同じようなつくりの部屋に出る。
「これ、3部屋め?」
「そうだよ。同じような部屋ばっかり作って混乱させるつもりだろうよ」
カッツェは面倒くさそうにため息をつくと、肩をすくめて見せる。
「ソレはともかく、距離的には結構直進してきたはずだよ。感覚が間違ってなきゃ、中央は通り越したはずだ。北にずっと進んでも、そろそろ何かあるはずだよ」
その言葉とともに北側に更に進むと、行き止まりが見えてきた。行き止まりの壁には王様をたたえるような文章が刻まれていて、それで終わりだった。
「おかしいね、距離的にはもうちっと北に行かないと正方形にならないんだよ」
カッツェは自作の地図を見て眉を寄せる。
「北側には何かあるんでしょうね。別の階から向かうんじゃないですか? ナジミの塔の賢者の部屋のように」
リュッセの言葉にカッツェは頷く。
「だろうね。宝があってもなくても、ちょいと腕が鳴るよ」
「宝は無いと困るよ。鍵さがしに来たんだから」
そういえばそうだった、みたいなことをカッツェは言うと振り返って元来た道を見る。
「さて、どこの角を曲がるかだよ。大体、こういうところは侵入者避けに正解ルートは一本だろうし、ヤな感じの罠だらけだろうし」
「罠は確認済みだよ」
チッタが嫌そうな顔をする。
「一個はね。まだまだあるだろうって話さ」
カッツェは肩をすくめて見せると、私のほうを見た。
「どうする? どの角を曲がる?」
「とりあえず……」
私は今までの道を思い出してみる。分岐のたびに部屋があって、太めの通路が南北に、細めの通路が東西にそれぞれ伸びていた。南北の通路は確認済みだから、東西のどの道を行くか。
「……近いところから行くしかないかな? ヒントとかは無かったと思うし」
「じゃあ、どっちから行く」
「ココから一番手前の部屋の、西側」

結論から言うと、その通路の先には空の宝箱と宝箱に化けた魔物が居ただけで、何も無いといって問題ない感じだった。唯一、収穫としてはチッタの魔法が不発にならなかったこと。やっぱり、アレは場所が悪かったんだろう。チッタは自信を取り戻してくれた。
やっぱり、チッタは笑ってくれてるほうがいい。


■まだまだ人気投票やってます。
いつまでやるか不明です。
http://vote2.ziyu.net/html/zum_sieg.html

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