今日の「DQ3」(36)
2007年5月23日 今日の「DQ3」■予告どおり、今日のは暗いですわ。いやだなあ。アップしていいのかなあ。
でもこんなに煽っておいて暗くなかったらそれはそれで格好悪いのかもしれない。
■オアシスのそばで 2
■そういえば、わがサイトのDQキャラ人気投票ですが、地味ーにイチが順位を上げてきました。ほんと、地味ぃーに上がってきてます。見ていて面白いです。
DQ3ではどうやらリュッセ君が人気のようです。
あんまりしゃべってないのに!(笑)
http://vote2.ziyu.net/html/zum_sieg.html
でもこんなに煽っておいて暗くなかったらそれはそれで格好悪いのかもしれない。
■オアシスのそばで 2
リュッセの答えに私たちはぎょっとする。
予想外の言葉だった。
「え、誰に?」
「聞くんですか?」
チッタは多分、反射的に聞いただけだろうと思う。チッタが言わなかったら、多分私かカッツェも、反射的に聞いていたかも知れない。聞き返したリュッセは、ちょっと驚いた顔をしていた。
「うーん、聞きたいような聞かないほうがいいような」
「父です」
チッタがあいまいに答えている間に、リュッセはあっさりと相手を告げた。もしかしたら、もうどうでも良くなったのかもしれない。
「父、父、って、父だよね? お父さん?」
自分でも間抜けな会話だと思ったけど、思わず聞いてしまう。
「え。だって、リュッセって、教会の……神父様って優しそうな仮面の下でそんな!?」
「違いますよ。リッシュが言っているのは、今の父です。世間的に言えば養父ですね。僕は今の父だけが父親だと思ってますから、養父という呼び方は心外ですけど」
リュッセは眉を寄せてそういう答え方をした。
「どうも断片的に話していくと、誤解がとても生じそうな気がしてきたので、簡単に順を追って説明しますね。もう、いいです知られても」
リュッセはそういうと、自分の過去を話し始めた。
リュッセは、小さい頃そんなに裕福ではない状態で、お母さんと二人で暮らしていたらしい。家には父という人が時折やってきては、一晩だけ泊まっていくことがあったらしい。それがいつものことだったから、リュッセは家庭というのはそういうものだと思っていたそうだ。父が来る日はどうやら父がお金を出すらしく、食事が豪華になるのがリュッセは単純に嬉しかったらしい。
その日も父という人がいつもどおりにやってきた。いつもどおり食事をした。父と母が話していたから、邪魔をしないように先に寝た。いつもどおりだった。いつもと違うのは、いつもよりただ眠かったくらいだった。
気づいたら、自分の体が揺れていることに気づいて目が覚めた。でも、身動きが取れなかった。自分の手足が縛られていることに気がついた。目の前に、同じ格好をした母がいて、床に寝転がらされていた。
何事かと思った。
揺れているのは、自分が馬車に乗せられていたからだと知ったのは、馬車から降ろされてからだった。
あとはあっという間で。
橋の上から母親もろとも川に投げ入れられた。
父は馬車の中から、その作業を黙ってみていただけだった。
「と、まあ、そういう話ですよ」
「いやいやいや、『そういう話』でまとめられない話だろう」
カッツェが青い顔でリュッセに言う。
「今の父は、おぼれている僕を発見して助けてくれたわけです。その後も育ててくれて、感謝してもしたりません。……母は助かりませんでした」
「その、リュッセを殺そうとした、お父さんって捕まったの?」
私はリュッセの顔を見る。いたっていつもどおりで、特にショックだとか言う顔はしていなかった。
「捕まりませんよ」
「どうして?」
「そもそも居なかった人間を、殺せるわけがないでしょう?」
「え?」
「つまり、僕は、もともと生まれてないことになってるんですよ。母も、そんな人は居なかったことになってるんです。だから、居ないものは殺せないでしょ? そういうことですよ」
「殺人犯が捕まってないなんて変だよ!」
「いや、まあ、そうなんですけどね」
泣きそうな私の頭を撫でながら、リュッセは苦笑する。
そんな目にあってれば、そりゃ、とうの昔に人間に幻滅するだろう。子どもだったリュッセが感じた絶望はどれだけ深かっただろう。
「それにしてもだ、アンタや母親をそういう扱いしておいて、逃げおおせてるって、父親ってのは何者だったんだい?」
「さあ? 僕子どもでしたから、よく知らないんですよ。ただ、母はあの男の愛人だったんでしょうね。決まった時期にやってきてましたから、生活費はあれから出てたんでしょう。結構社会的地位はありますし。恐妻家らしいですけど。まあ、あちらも焦ったんでしょうね。愛人の子は男で、家に居るのは娘ですから」
「それって、相手が誰だか分かってるってこと、だよね?」
「知りませんよ。そういうことにしておいて下さい」
リュッセはそういうと、私の頭をぽんぽん、と軽く触ってから立ち上がった。そのまま湖のほうへあるいていって、そっと水に手を入れる。
「言っておきますけど、不意打ちでなければ、別にもう怖くはないんですよ」
珍しく話をずっと黙って聞いていたチッタが、不意に口を開く。
「それなりに地位があって、娘さんがいて、奥さんが怖くて、リュッセ君の年齢が19でしょ? ……お父さんって、ウィード卿?」
リュッセは暫く無表情でチッタを見た後、ふう、と息を吐いてから、「さあ? 父のことは忘れました」とだけ答えた。
多分。
チッタの質問は正解だったんだろうと思う。
でも、リュッセが忘れたという以上、ずっとその質問に答えはない。
「聞かなきゃ良かったでしょ?」
リュッセは私の顔を見た。
「うん。でも、これでリュッセが人間に幻滅するのは当然だと思ったし、これから何かリュッセが乾いた死生観を語っても驚かないで済むようになったと思うことにする」
「前向きですね、でもそれがいいと思います。嘆いたってどうせ過去は変わりませんからね、嘆く暇があったら前を向くほうがいいですよ。コレは父の受け売りですけどね」
「神父様はステキなお父さんだね」
「ええ、もちろん。……もうこの話はやめにしてイシスへ向かいましょう。何だか疲れました」
その言葉で、私たちはもうそれ以上リュッセに何か聞くことはやめることにして、歩き始める。
イシスはもうすぐそこだ。
■そういえば、わがサイトのDQキャラ人気投票ですが、地味ーにイチが順位を上げてきました。ほんと、地味ぃーに上がってきてます。見ていて面白いです。
DQ3ではどうやらリュッセ君が人気のようです。
あんまりしゃべってないのに!(笑)
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