■実はですね、今回の強化月間にむけていくつか書き貯めをして有ったんですけどね。
今日ので打ち止め!!!
やべえ!
来週からは期待しないでください。

おかしいなあ、もっと稼げる予定だったんだけどなあ。

■アッサラーム 1
ロマリアから東のほうも、広い草原は続いていた。広い川をずっと右手に見ながら歩いていくと、やがてその川にかかった大きな橋が見えてくる。
「あの川を渡って暫く南下していくと、そのうちアッサラームだ。魔物の勢力分布が変わって結構厄介なのが出てくるようになるからちょいと気をつけるんだよ」
カッツェが橋を指差しながら言う。
「そんなに違うの?」
チッタが首をかしげると、カッツェは深刻な顔をしてうなずいた。
「ココから先を行けるかどうかで、一流かどうか決まるくらいだね」
「うわあ」
チッタが嫌そうな声をだす。確かに、ちょっとドッキリする言葉ではあった。

川は海が近いせいか、かなり川幅が広かった。そのおかげで橋も長くて広い、頑丈な石造りになっていた。川面はキラキラと光っていて、浅いところでは魚が見えた。暫くはそんな川の上で、川風を感じながらのんびりした様子で歩けていたけど、カッツェの言ったとおり川を渡ってからは随分様相が違っていた。
相変わらず、広い草原が広がっている。遠くには森だろうか、木々が密集しているのが見えないこともないけど、そちらの方面には用事がない。ただ、そっちのほうから迷い出てくるのか大型のサルみたいな魔物や、空を飛ぶ猫なんかが大群で出てくるようになってきた。サルは大きいだけあって一撃が下手すれば致命傷になりかねないし、空飛ぶ猫は魔法を使ってこっちの魔法を封じ込めてくる。厄介な魔物が増えてきた。
ただ、こちらも色々あって(カンダタ退治とかね)かなり強くなっている。いきなり襲われたりして慌てない限り、そんなに遅れをとる相手でもない。
そうこうしながら南下を続けると、やがて海沿いに街が見えてきた。
「アレがアッサラームですか?」
「そうだよ。皆いいかい? あの街で必要最低限以外のものは買うんじゃないよ。物欲しそうな顔だとかもするんじゃないよ」
「なんで?」
「行けば分かるけど、ろくでもない街なんだ」

アッサラームはあまり雨の降らない地域なのか、家の壁が土でできていて、地面は砂の固まったような感触だった。広場を中心に、大通りが南北に伸びていて、東西はこまごまとした通路が入り組んでいる。
「なるべく固まって移動しよう。それから、旅人が立ち入りを許可されている地域以外は入らないこと。ほとんど迷路だよ、この街は」
カッツェが言ったとおり、ちょっと覗いた細い路地はかなり複雑に入り組んでいそうな上に、両側に家が密集して連なっていて全部が同じに見えた。確かに、知らないで入っていくのはかなり危険かもしれない。結局、街の入り口にあるこざっぱりとした宿に部屋を取った。丁度街は夕方で、夜が近づいてくる時間帯だった。カッツェはこれからが一番危ない時間だといってぼやいている。
「そんなに危ないですか?」
「危険だね。特にアンタはぼんやりしてるから危なそうだ」
「カッツェ姉さん、忘れてるかも知れないけど、リュッセ君は腹黒疑惑だよ」
「疑惑って……」
リュッセの遠い目にチッタは気づかない振りをした。
「とはいえ、夕飯は食べにいかないとね。この宿でないし。近くに公営でベリーダンス見せる酒場があるから、そこに行くか」
「ベリーダンスって、何?」
「この街の名物さ。踊り子さんたちが踊る」
「んー、あんまり興味ないかも。女の子だし」
「文化に触れとくのもいいさ。それに、飯はうまい」
「じゃあ、そこにしよう。私おなかすいた」

酒場は、大通りをはさんで丁度宿屋の反対側、西側にあった。かなり広い建物で、舞台で踊りが披露されている。キレイな女の子ばかりで、腰を使った踊りなんだけど、全然いかがわしい感じではない。広いフロアにはいくつもテーブルがあって、舞台に近いところは男の人たちばかりが占拠している。私たちは入り口に近いテーブルで、適当に料理を注文した。
「ああいうの、興味ある?」
チッタがリュッセに聞くと、彼は暫く舞台を見つめた後
「まあ、文化的には。成立過程とか、意味合いとかは気になります。けど、芸術面は見る素養がないのでよくわかりません。好みとしては、もっと露出のないほうが好きです」
リュッセの言うとおり、舞台にいる女の子たちは上半身は胸だけが隠れていて、あとは腕輪やらネックレスがジャラジャラと飾られているばかり。足は長いスカートや足首で絞られた変わったデザインのパンツスタイルだったけど、布はつやつやとしていてかなり派手派手しい。
「まあ、文化面で感じ方が違うのは仕方ないことでしょしょう」
「でもちょっとあの衣装かわいいよね」
「うん、かわいい」
私も同意する。着るのは恥ずかしいかもしれないけど、結構デザインや色使いは可愛いと思う。舞台衣装だから派手だけど。
「……まあ、チッタやカッツェは似合うでしょうね」
リュッセは運ばれてきた料理を受け取りながら答えた。
どういう意味かは追求してやらないことにした。

食事が終わって、私たちは早々に酒場を出る。
カッツェいわく、アッサラームは夜でも早い時間は危なくないけど、遅くなると結構危険な街らしい。そして、ベリーダンスも夜遅い時間は色々サービスが過剰になるそうで、どういう方面で過剰なのかは聞かないことにしたけど、ともかく早く宿に戻るほうが賢明なのは間違いなさそうだった。

酒場を出ると、少し肌寒かった。
酒場の喧騒は外まで漏れ聞こえてきていて、少し離れたくらいではその音が聞こえなくなることはなさそうだった。歩いていくと、大通りにも広場にも人はまばらで時折人とすれ違う程度だった。
「あら、お嬢さん星のきれいな夜ね」
歩いていくと、踊り子さんがそういってにっこり微笑んだ。妖艶というのはこういう感じをいうんだろう、とぼんやり思う。言われたとおり空を見ると、真っ黒な空に、無数の星が瞬いていた。
「あ、ホントだ、キレイ」
思わず言うと、皆も星を見上げたのか賛同の声が上がる。
「まあ!」
踊り子さんの声がして、私は意識を地上に戻す。
「ステキなお兄さん。ねえ、あたしとパフパフしない?」

……。
パフパフって何??

呆然としている間に、踊り子さんは私たちの間をするりと抜けてリュッセの目の前に立っていた。
「え?」
リュッセも突然のことに呆然としているらしく、踊り子さんの顔をまじまじと見つめている。
なんか、すっごーく嫌な感じだ。
「だめよ、この人、私の彼なの」
チッタがそういうと、リュッセと腕を組んだ。しなっと寄りかかっている。
チッタ、胸、リュッセの腕に押し当てすぎ。
リュッセは次から次へとめまぐるしく変わる状況についていけないのか、今度はまじまじとチッタを見つめた。
ああ、何だろう凄く腹が立つ。
「あら、それは残念」
踊り子さんはふふ、と笑うとその場を立ち去った。
「……助かりました」
「あんなあからさまなのに捕まって思考停止しないでよねー」
チッタは呆れたように言いながら体を離す。
「ちょっとビックリしちゃって」
「ガキだねえ」
カッツェは呆れたように言うと肩をすくめた。
「ほら、行くよ。ああいうのがこれから増えるんだから」

みんなの後ろを歩きながら、私は暫く口を尖らせていた。わけはわからないけど、何か凄く嫌な感じで気分が悪い。
宿に帰っても暫くもやもやして、なかなか寝付けなかった。


■とまあ、そういうわけですから、来週からは期待しないでくださいね。

く〜さん、面白いっておっしゃってくださって有難う御座います。
あんまり反応が無いシリーズなので、うれしいです。

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