今日の「DQ3」(23)
2007年5月3日 今日の「DQ3」■現在、4日1時半です。
もう3日ではないです。遅くなって申し訳ない。
……色々あったんだ。
何があったのか、詳しくはまた書くとして。
とりあえず、「3日」の分をお楽しみください。
■ノアニール
■今日はここまでー。
ここらへんは細切れのイベントが続くので、書いていて一回の長さが妙に短かったり長くなったりします。
ペース配分が下手です。
反省はしますが、その反省が生かされることはほぼ無い人生を歩んでおります。
もう3日ではないです。遅くなって申し訳ない。
……色々あったんだ。
何があったのか、詳しくはまた書くとして。
とりあえず、「3日」の分をお楽しみください。
■ノアニール
順調に北を目指して旅を続ける。
カザーブを取り囲んでいた山地は、そのうち平らな地面の森に変わって、やがて広い草原になった。草原とはいえ、ロマリア辺りの緑豊かな草原とは少々雰囲気が違う。ノアニールの辺りは北からの風が吹くせいか、少し草の丈が短い気がする。
空は少し低い感じ。空気が少し冷たい。風は強くなったり弱くなったりしながら、常に吹いている。
北のほうまで歩いてきたんだな、という実感がわいてきた頃、漸く視界にノアニールが見えてきた。遠目には、普通の町に見える。ただ、やっぱり奇妙な感じがぬぐえない。
「煙があがってない……」
チッタの呟きで、私は漸く理解する。コレまで、村や町が見えてきたときには、遠くからでも煙突の煙が見えていた。けど、ノアニールにはそれがない。
「やっぱり良くない事が起こってるんですね」
リュッセが少し眉を寄せた。確かに、ノアニールはあまり良い状況ではなさそう。
私たちは、誰が言うわけでもないまま少し歩くのを速くする。どれだけ近寄っていっても、ノアニールは普通に見えた。それが一層、気分をあせらせる。
ノアニールに漸く到着した。
町の中に入るとき、一瞬何か、空気の壁みたいなものがあるような感じがあった。
「今、何かあった?」
思わず尋ねると、カッツェは首をかしげたけど、リュッセとチッタはうなずいた。
「何か、壁みたいなものがあったよね? 変な感じ」
「どちらかというと、膜のようなものではなかったですか?」
「アタシは分からなかったけど……なんか外より空気が暖かくないか?」
カッツェの言葉に、思わず周りを見回す。確かに、町の外で吹いていた冷たい風が、少し和らいでいる気がした。
「暖かいかもしれませんが……外でアレだけ風が吹いていたのに、全く風を感じないのはなぜですかね?」
「ともかく、呪いだかなんだかが本当なのは確かそう」
チッタが嫌そうな顔をした。
「ともかく、中を見てみよう」
全員で固まって町を歩いてみる。草は伸び放題伸びていて、荒れた土地には毒を含んだ沼地までができていた。
でも、そんなことより私たちを心底驚かせたのは、町の人たちだった。
居ないんじゃない。
ちゃんと、居る。
ただ、皆、誰一人として正常じゃない。
全員、眠っていた。
ベッドにはいって、じゃない。
店の主は商売をしている姿のまま。お客さんは品物を吟味している姿のまま。道を歩いていたであろう人は、道に立ったまま。猫や犬でさえも、その動きを止めて。
全員が眠っていた。
町の人たちは、全員がその生活の一瞬を切り取られたままのようにその動きを止めて眠っている。
絵の中に、紛れ込んでしまったら、こんな感じだろうか。
「……とりあえず、大問題だね。何があったのかも分からないし」
「そうだね。いつからこんな状況なのかね」
カッツェは肩をすくめると、立ったまま眠っている女の人の顔を覗き込んだ。別に驚いた表情でもない。ただ、ちょっとそこまで出かけてきますって感じで立ったまま眠っている。
「……どうしよっか?」
「とりあえず、奥のほうまで見てまわって、どうしようもなかったら仕方ないよ。助けてあげたいけど、今のところ手がかりないし」
「じゃあ、町の奥のほうまで見て回ってみるか。それで駄目なら諦める」
宿の前にあるちょっとした広場で私たちは話し合った後、実際町の奥のほうまで歩いてみた。どの家も、人が眠っている。動きの全くない町。
「……ああ、嫌だなあ」
チッタは呟きながら歩く。
「そうだね、嫌だよねえ」
私もうなずく。ともかく嫌な感じ。ちゃんと町があって、人が存在するのに、正常ではない場所。
「あ」
カッツェが小さな声をあげて、道の先を指差す。つられるように道の先をみると、細々とした煙が、煙突から立ち上っている家を見つけることが出来た。
「誰か、住んでる?」
「そうかもしれない」
何となく早足になりながら、道の先にある家を目指す。着いた先は、二階建ての結構大きな家だった。相変わらず煙突からは細々と煙がのぼっている。誰かが今現在もここで暮らしているのは間違いない。
「泥棒とかじゃなきゃいいけど」
チッタが肩を軽くすくめてから、ドアをノックした。ややあって、ドアが開く。メガネをかけた、痩せ気味の冴えないおじさんがドアの隙間から顔を出した。それから、私たちを暫く見つめて、漸くドアを大きく開けた。
「いやあ、驚きました! ここへ人がやってきてくれるなんて! どうぞお入りください!」
随分嬉しそうに、おじさんは私たちを部屋へ招き入れてくれた。いそいそとお茶を淹れてくれる。それから、一体ここに何があったのかという話を教えてくれた。
そんなに昔でもないけれど、それでも最近ではない話。
この町の若者と、隠れ里に住むエルフの娘が恋に落ちた。
もちろん、周囲は反対する。
彼らは遂にエルフの村の宝を持って駆け落ちし、どちらの村からもいなくなってしまった。
人間たちは、諦めた。
しかし、エルフはそうではなかった。
なぜなら、エルフの娘は里の王の娘だったから。
彼女たちは姫が人間にだまされ、つれさらわれたのだと思った。
だから、姫を帰せと人間たちに迫った。
しかし町の人間たちは彼らがどこへ行ってしまったのかなどわからない。
もちろん、姫を里に戻すことなど叶わない。
エルフの怒りは頂点に達し、彼女たちは遂に村にのろいをかけた。
姫を無事に戻せば、町を元に戻すと。
「ですから」
メガネのおじさんはそこで一息入れた。少し困ったような顔をして、窓の外を見る。
そろそろ陽は傾き始め、少しだけオレンジの光が強くなってきている。
「どうにか、エルフの誤解を解いて、町を元通りにしてもらえないでしょうか? いや、もちろん旅のあなたたちには何の関係もないのは分かってますし、頼めた話じゃないのは分かっています。全くお礼もできない状態ではあります。……でも、そもそもここへはどんな旅人もやってきてはくれませんし、わたしも戦いの心得はありませんから、エルフのところへもいけないのです。頼れるのはあなた方だけなんですよ。……エルフに夢見るルビーをかえしてやってください」
おじさんは半分泣いたような顔をして私たちに手を合わせた。
私は思わず、皆の顔を見る。カッツェはいい顔をしていない。チッタは少し怒っているみたい。リュッセは、表情はいつもどおりで、何を思っているのか良く分からなかった。
「アタシとしては、だ。はっきりと関係ない話だし、興味もない」
「私はエルフはやりすぎだと思うわ。だから、文句はいいたい」
「僕は……何ともいえません」
リュッセは肩をすくめた。
おじさんはいまだ懇願するような目で私たちを見ている。もちろん、おじさんは私たちがエルフの隠れ里とか言うところに向かうのを期待してるんだろうけど、現在こちらとしてはカッツェとチッタの意見が対立しているし、リュッセは早々にその争いには加わらないことを宣言している。つまり、私がどちらにするか決めなきゃいけないんだろう。
「どうしますか?」
カッツェとチッタの言いあいを見守りながら、リュッセは私に静かな声で聞いてくる。
「んー、どうしたらいいかな? 個人的には、できたら助けてあげたいとは思う。でも、カッツェの言う『関係ない』って言うのも、そうだなあ、って思うし、チッタのいう、『エルフはやりすぎ』っていうのもわかる。……優柔不断なのかも、私」
「そうですね」
リュッセは少し苦笑してうなずいた。私はちょっとだけムっとして、リュッセに尋ねる。
「リュッセは……個人的意見はどうなの?」
「僕ですか? この話はあくまで、この方からこの町としての話を聞いただけですから、エルフの方々にも言い分はあるだろうな、とは思ってます。もしかしたら町の人たちが知らないだけで、エルフの言い分が正しいのかも知れませんし、それに……」
「それに?」
「どちらも間違っているのかもしれません」
「え?」
「当人たちにしか分からない事情があるかもしれないでしょう? 実は町の人もエルフの里の人も、どちらも間違った主張をしている、そんなこともあるかもしれません」
「どうしたらいいのかな?」
「貴女の思うままで良いと思いますよ。貴女がリーダーです」
いつの間にか、カッツェとチッタの言い合いも終わっていた。結局はカッツェが言い合うことに疲れてとりあえず保留したらしい。
「どっちにするんだい?」
少し疲れたような声でカッツェが言う。
「んー。とりあえず、エルフの言い分聞きにいこうか……。リュッセの言うことも尤もだし、個人的にはノアニールがこのままなのは気の毒だし」
「さっすがリッシュ! 分かってるぅ!」
チッタが私に抱きつく。
「行っていただけるんですか!?」
おじさんが顔を輝かせて、私の手を取るとぶんぶんと上下に振った。
「……助けられるかどうかは別ですよ?」
おじさんは聞いているのかいないのか、嬉しそうに私の手を握っている。
「交渉の余地があれば、交渉していただくだけでもいいのです! 一歩前進です!」
「……交渉決裂して数十歩後退ってことにならないようにだけは気をつけます」
■今日はここまでー。
ここらへんは細切れのイベントが続くので、書いていて一回の長さが妙に短かったり長くなったりします。
ペース配分が下手です。
反省はしますが、その反省が生かされることはほぼ無い人生を歩んでおります。
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