■久しぶりに、携帯で本日の分を書きました。
どうも読み直しがメンドウで適当に書いたまま送信、コピペしてしまいましたので、あとで読み直したときに「がー!!!」とか叫びそうで今から憂鬱です。

そんな不完全なものアップしてゴメンナサイ(苦笑)

■祭壇の前で (テス視点)
ソルのトヘロスで魔物を寄せ付けないまま、ボクらは再びエビルマウンテンの中の魔王の迷宮を進む。
相変わらず不気味に薄暗く、物音のしないなかを歩く。ボクらの足音だけが響いていて、まるで世界にボクらだけが取り残されたような感じだった。

けど、
心細くはない。
ボクには沢山の仲間がいる。
健気な子ども達がついてきてくれる。
そして
ビアンカちゃんがいてくれる。
これ以上、
他に望むものがないくらい心強い。

何度も角をまがり、ボクらは進む。
入り組んだように見せ掛けて、実のところわかっていればなんてことない一本道。何度か休憩をはさみながらゆっくり進んだ。
やがて、一度エビルマウンテンの山肌にぬける。外にでた瞬間、強い風が吹き抜けて行った。冷たい風の音は、少し悲鳴に似ていた。
ボクらは無言で顔を見合わせて、それから手をつなぐ。
「負けてられないよ、この程度じゃ」
「うん、そうだよね」
ボクの言葉にソルが頷く。
その姿は決意に満ちていて、ずいぶん頼もしい。勇者としての自覚か何か、でてきたのかも知れない。
そして、少し淋しい。
はやく魔王を倒して、この重圧をなくしたい。
普通なら、のんびり我儘の一つでも言いながら遊んでるような年ごろだ。
平和になったら……。

ボクは考えるのをやめた。
負けるつもりはまったく無いけど、あまり期待をもちすぎないほうが良い。これまで、ボクの人生はあまり思い通りにコトが進んだことが無い。うまく行った先には大抵何かしら不運なことがあった。
一つ一つ、どれもがあまり思い出したくもない出来事。
どういうコトにも、多少悪い予測をたてたほうが安全な気がする。
「テス」
ビアンカちゃんが顔を覗き込んできた。
「ん?」
「大丈夫、勝てるわ。そんな不安な顔をしないで」
「してた?」
「してた。テスは悲観主義者だからねー、沈むの早いんだから。悪影響よ、この場合」
小さな声で言って、ビアンカちゃんはボクの額を軽くたたく。
「私たちは大丈夫。きっとお義父様やお義母様もついてくれてるわ。あの二人がテスを見捨てるわけないからね」
「うん」


気を取り直して進む。
切り立った崖に渡された粗末なつり橋を何度か渡ると、あの祭壇が見えてきた。
お母さんの最期になった場所。そして、お父さんが迎えにきた場所。
ボクらは相談する事無く無言で足を止めた。そして祭壇を見上げる。
もう見張りはいない。
もちろん、お母さんも居ない。
「お義母様のこと私は死ぬまで忘れないわ。だから私たちは長生きしなきゃ。お義母様の記憶を消したくないもの」
ビアンカちゃんは祭壇を見上げたままぽつりと呟いて、ボクの手を握る。
「ねえ、誰かのために戦えるってもしかしたら幸せなことなのかも……ね? だってそれって生きてる証拠なんだもの……」
「……うん」
誰かのために戦う。
今ボクは、ソルやマァル、ビアンカちゃんに笑って過ごしてもらうために戦う。
お父さんやお母さんのコトは悲しいし、きっと忘れない。
けど、これからの戦いはたぶん、お父さんお母さんのために戦うんじゃダメだと思う。

「お婆様を傷つけたゲマはやっつけたけど……わたしミルドラースが許せない! ミルドラースさえいなかったらお婆様がこんなところにさらわれたりしなかったんだもん……」
マァルはあの時のコトを思い出したのか少し涙ぐんでいる。
ボクは無言でマァルの頭を撫でる。マァルはボクにしがみついてしばらく小さなこえで泣いていた。
「わたし魔界きらい。お婆様にきれいな空と青い海見せてあげたかった……お婆様といっぱいお話したかった。遊びたかったし……。わたしお婆様とお城へ帰ることばかり考えてたのに……」
「うん」
ボクはマァルの頭を撫でる。小さな頭。小さな体。この小さな体いっぱいに悲しみや優しさや、いろんな感情を詰め込んで、この子は大きくなっていく。
きっとビアンカちゃんに似て、可愛い大人になるんだろう。
「マァルはやさしいね……ありがとう」
ビアンカちゃんがしゃがんでマァルに視線をあわせて、涙を拭いてあげながら何かを言っている。
その間にソルが今度は近寄ってきた。神妙な顔をして、ボクを見上げた。
「ねえお父さん。ぼくわからないよ……。なんであんなゲマやミルドラースみたいな悪いやつがいるんだろう……。仲間になれる魔物だっているのに」
「わからない。けど、魔物だけじゃなくて人間にも悪いヒトがいるからね。仕方ないのかもしれない」
「悪い奴はいなくならないの?」
「少なくなったらいいね」
「うん」

ボクらは祭壇に向かって一度礼をしてから、祭壇に背を向ける。
進まなきゃいけない。
祭壇の先には下りの階段が何段かあって、その先の道は緩やかに下っている。相変わらず切り立った崖が細い道を作っていて、先の方は道が曲がっていてあまりここからはどうなっているのかよくわからなかった。
その道をゆっくり歩いていくと、暫く行ったところでまたエビルマウンテンの内部につながる入り口にいきつく。どうやら山肌を歩くのはここまでらしい。
入り口からなかを覗くと、また人工の迷宮になっていた。白い床も深い青の壁ももう見飽きるほどみてきた。
なかは狭い部屋になっていて、その中央には真っ赤を通り越して金色に輝くほどの溶岩が見える。
「行き止まり?」
がっくりとビアンカちゃんが肩を落としたときだった。
「テス……。母の声が聞こえますか……?」
お母さんの声が降ってくる。
「にえたぎる溶岩にただ足をふみ入れてはいけません。聖なる水さしを使うのです……。そうすればさらにその先へ……やがてミルドラースのいる邪悪な祭壇へたどり着けるでしょう。母はもう あなたを止めません。さあテス……。聖なる水さしを……」
声はすーっと消えていった。
ボクらは思わず顔を見合わせる。

「聖なる水さしって……何?」


■明日はもっと早い時間から書こうと反省しました。

コメント

nophoto
毎日日参
2006年2月10日23:14

いよいよラストが近づいてきましたね・・・!私までドキドキしてきました。いつも楽しみにしています。

こーき
こーき
2006年2月11日22:17

>毎日日参とのこと、アリガトウございます。
いよいよラストです。あと二回くらいでミルドラースに会えそうな気がしてます。
あと少しですが、おつきあいいただけると嬉しいです。

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