■iTunesをちらちら見ていたら、DQの序曲(とかロトのテーマとか色々)が10曲以上はいってました。
どうなのよそれ。

でも全部、演奏違うんだもん。テンポとか編曲とか音の響き方とか。
……N響のDQ3のロトのテーマが一番好きです。
結局聞きなれてるのかも。
 
■グランバニアから出かけるために 2(ビアンカ視点)

テスはそのまま仕事に戻るって言って、中庭から出て行った。
「じゃあ、私も……」
歩き始めたサンチョさんの腕を掴む。
「ビアンカちゃん?」
困ったような顔をするサンチョさんに私は笑いかける。
「で? 本当のところはどうだったの?」
「な、何のことでしょう?」
「サンチョさんが嘘をつくときのクセを、私は知ってるの」
にこにこにこ。
笑いかけて返事を待つ。
サンチョさんは気の毒なくらい顔を引きつらせて笑った。
「な、何のことでしょう?」
「だから、テスは本当は、どうやってオジロン様に勝ったの? だって、オジロン様のテスを国の外に出したくないっていう意志は相当固かったのよ? それこそ一月くらい喧嘩しても折れなかったくらい。そのオジロン様が、サンチョさんが泣いたからって折れるわけないことくらい、私でもわかるわ」
「えっと、それはですねええ」
サンチョさんは視線を宙に泳がせる。
「テスが口止めした?」
「うーあー」
「一回決めたことを、覆させるのがどのくらい難しいか、わかるわよ」
「……ええ、ま、大変でしたけど……」
「言いたくない?」
「坊っちゃんには確認しないでくださいよ?」
私は首を縦にふった。
「勿論、そんなの確認しないわ」
私は子ども達に目をやる。
「ちょっと、あっちのほうで遊んできて」
「……うん、わかった」
ソルは首を縦に振ってマァルの手を引いて中庭の向こうのほうへ走っていった。
「さ、聞かせて?」

 
「実はですね、出かけても良いということになったのは十日ほど前なんですよ」
「え、じゃあ今まで何してたの?」
「ほとんどは仕事の引継ぎですよ。坊っちゃんが出かけてからでも、今やってる仕事が滞らないように色々分散させて仕事を回してるんです」
「実際二週間くらいは喧嘩してたんだ」
「ええ。私は第三者として膠着状態のお二人の調停役ってところですかね。口喧嘩でしたけどね、結構派手な事なってましたよ。お二人とも口が達者だから。……オジロン様は国王をしていたとき、大臣にいいように使われていたでしょう? それが大臣の暴走に繋がって、坊っちゃんや貴女、そして王子様たちや国のものを不幸にさせてしまったことを随分後悔なさったんです。それで、坊っちゃんがいなかった間随分しっかりとなさったんですよ」
「確かに、今オジロン様がいなきゃこの国は回っていかないわね。しっかりここを守ってくださってるわ」
「まあ、そのおかげでオジロン様は坊っちゃんを出したくなくて喧嘩に発展するわけなんですけどね」
「仕方ないわね……」

私は空を見る。
そもそも、平行線なんだから、どっちかが折れなければいけないわけで、
どっちも折れるわけには行かなくて。

「オジロン様はどうして折れてくれたの?」
「結局は、オジロン様だってマーサ様の事はお好きですから。あの方に会われたらわかります。誰からも愛される、本当に素敵な方なんですよ。……少しビアンカちゃんにも似てますね」
「……お世辞でも嬉しいわ」
私が笑うと、サンチョさんは困ったような顔をした。
「本当は、残る方はみんな怖いんです。パパス様のときも、坊っちゃんのときも……戻ってこなかった。坊っちゃんは戻ってきてくれてますが……今度も戻ってきてくれるとは限らないでしょう? だから、私、その辺のオジロン様の気持ちはわからないでもないですし……かと言って坊っちゃんの気持ちも分かるんですよ。私もパパス様についてマーサ様をお探ししました。旦那様の夢を、叶えてほしいです」
「複雑よね」
「複雑です」
「オジロン様には感謝しないと。サンチョさんにも」
「私はいいんですよ。……ちゃんと戻ってきてくだされば。ビアンカちゃんもソル様もマァル様も、もちろん坊っちゃんもマーサ様も、誰一人かけることなく帰ってきてくださらなければイミがない」
「あたりまえよ、私達は幸せになるために魔界へ行くの」
サンチョさんは私に深くお辞儀をした。
「ビアンカちゃんが、坊っちゃんの奥さんで本当によかった。……坊っちゃんはどこまでも自分を責めて深みにはまって行くタイプでしょう? 本当はビアンカちゃんも強くはないんでしょうけど……それでも明るくどこまででも坊っちゃんを引っ張ってくれている。本当に……ありがとう」
「私は無茶をするタイプだから、テスくらい慎重な人じゃないとダメなのよ」
私はにっこりとサンチョさんに笑いかける。
サンチョさんは困ったように笑う。
「どうして二人とも丁度良いって言葉を知らないんでしょうかねえ」
「本当ねえ」
私は今度は、おなかのソコから笑った。
「二人合わせて丁度良くなるように、神様が引き合わせてくれたのよ、多分」

 
 
その日はとても晴れていて、気持ちのいい風が吹く日だった。
久しぶりに旅装束に身を包んで、私達は城門の前に立つ。
「じゃあ、行ってきます」
「ご無事をお祈りします」
城門にはサンチョさんをはじめ、たくさんの人が見送りにきてくれていた。
「ねえねえ、お父さんどこに行くの?」
ソルは楽しそうにさっきからあちこち走り回っていたけど、急に立ち止まってテスを見上げた。
「ん? とりあえず、全然魔界への行き方はわかってないけど、知ってそうな人がいるところへ行ってみよう」
「え? どこ?」
「エルヘブンだよ。エルヘブンの民は世界の門を守っているって言ってた。何かきっとしっているよ」
答えて、テスは振り返ってグランバニアのお城を見上げる。

「それじゃあ、行ってきます」


■喧嘩の情景を描くのは苦手です。
なので、ビアンカちゃんとの喧嘩も軽く終わらせましたし、オジロン様との喧嘩もほとんど書きませんでした。
どうも、喧嘩ってきらいだし、喧嘩してる状態も長引かせることができません(例外もあったが)性質なのかも。

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