■テっちゃん訛り疑惑。
先日埼玉出身の先生と話してたんですけど、私が住む三重県の方言は「〜やし」という言葉で文章が続いていって、初めて聞いた時いつ終わるかわからなかったそうです。
そのくせ「〜やし」で文章が唐突に終わることもあって、「続きは?」という気分にもなるそうです。

……テっちゃんの言葉遣いって「〜だし」で終わることが多いです。……もしかして、変? なるべく方言っぽいのは外してるつもりだったんですけど、テっちゃん、訛ってる!?(笑)

ちなみに語尾がノビ気味なのも、多分方言のせい。
でもゆっくり話してません。かなり早口。
いや、テスがじゃなくて、三重弁が。

■グランバニアから出かけるために(ビアンカ視点)
テスと大喧嘩してから数日。
テスは毎日オジロン様のところへ直談判に行っては負けて帰ってきていて、かなり機嫌が悪い。ピリピリしてるし、ちょっと近寄りがたい。
何度かドリスちゃんを通じて話を聞いてみると、テスとオジロン様の口喧嘩はわりと派手らしい。どっちも譲らないらしい。
本当のところ、譲れないんだろうけど。
テスは勿論、お義母様を助けに行きたいし、私達を置いて行けない。
オジロン様は、大臣として勿論、国王であるテスが出かけるのも、跡継ぎであるソルやマァルが出て行くのは論外だろう。
これまでは私を探し出すっていう特例で、広い心で何とか許してくれていただけで、本当なら出かけることすら出来なかったはず。
私は、まだこの世界にいた。
けど、お義母様は魔界。
どこにあるかわからない、無事に行って無事に帰ってこられるかわからない場所。
そりゃ、出せないわよね。

今ならちょっとだけ、テスの気持ちが分からないでもない。
そりゃ、強行突破くらい、考えるわよねー。

私はため息をついて、目の前にいるテスを見る。
ソファにうつぶせに寝転がっている。
今日もオジロン様に負けたらしい。
不機嫌そうにソファにおいてあるクッションをバシバシ叩いてる。
「テス」
「……んー?」
うつぶせで、クッションに顔を埋めたまま気のない返事を返してきた。
「その……やっぱり、難しそう?」
「難しくても勝たなきゃね。こんなところで足止め食ってるわけにはいかないんだけどなあ……」
呟いて、顔だけこちらにむけた。
ちょっと目が潤んでる。泣きたい気分なのは私も一緒。はやくお義理母様のところへ行かないと、間に合わなくなるかもしれない。
「そうねえ……」
私は頷いて、テスの寝転がっているソファに近寄る。
足元の、少しあいているスペースに座るとテスが起き上がってきた。
「この際、オジロン様の了解取り付けないで出てっちゃおうか」
私の耳元で呟く。
驚いてテスを見ると、テスがにやっと笑った。
「冗談」
「……本気だったくせに」
いうと、テスは音なく笑った。
「まあ、本当の最終手段だよね。……オジロン様にはこれ以上心労掛けちゃいけないんだけどねえ」
「そうね。……どうにかオジロン様には認めてもらって、ちゃんと出かけたいね」
「うん」
私達は手を繋ぐ。
そういえば、こんな風にゆっくり話したのも、
こんな風に隣に座って手を繋いだのも、
凄く久しぶりな気がする。
ここのところ私はずっと子ども達と遊んでいたし、
テスはオジロン様と話し合いという名前の喧嘩をしに行っていた。

「何か久しぶりで、照れるね」

私が声を掛けると、テスは苦笑した。
「そうだね、そういえば久しぶりかも。……せっかくビアンカちゃんを助け出したのに、何やってたのかな、ボクは」
「そうね。ホントね。……でも、テスは自分からこの時間を捨てようとしたんだよ?」
「……悪かったってば」
「一生何かある毎に言うからね」
「……」
テスはげんなりしたような顔をして、それから大きくため息をついた。
 
 
 
あれから数日たった。
私が助け出されたのは、春の初めだった。
既に春は随分進んで、今は国中に花があふれかえっている。
何処からともなく吹いてくる風は、必ず何かの花の匂いを運んできていたし、中庭の花園は花のないところがない。
私は毎日子ども達と城の中を探検したり、遊んだり、一緒にケーキを焼いたりと、なるべく一緒にいるようにしていた。
テスはテスで、仕事をやったり、オジロン様と喧嘩したり、私達の様子を見て笑ったり一緒に遊んだりしてくれた。
何か、ちゃんと結婚する前に考えていた結婚生活が送れている。
時間は掛かったけど、確実に私達は幸せになっているんだと思う。

これで、テスの大切な人が、おかあさまが戻ってきたら、完璧。

木陰に座って、中庭で走り回っている子ども達を見ながら、そんな事を考えてぼんやりしていたら、テスがやってきた。
にこにこ笑っている。
あんなに嬉しそうに笑っているのは久しぶりに見たかもしれない。
テスは私達のところにやってきて、右手の親指を立てて、に、と笑った。
「?」
私は不思議そうな顔をしてるだろうな、と自覚した。
ソルもマァルも、やっぱり不思議そうにテスを見上げている。
「どうしたの?」
「勝ちました」
「え?」
私達はきょとんとテスを見る。
テスはかなり嬉しそうにもう一回「勝ちました!」って言った。
「何に?」
ソルがきょとんとテスを見上げたまま、首を傾げる。
「オジロン様に!」
えへん、と胸を張ってテスは笑った。
「え?」
マァルがやっぱり首を傾げる。
「……もしかして、出かけていいとか?」
私が恐る恐る聞くと、テスは大きく頷いた。
「決め手はサンチョの泣き落とし! サンチョに拍手!」
テスが示した方、中庭への入り口の柱の辺りにサンチョさんが少し困ったような顔をして立っていた。それから、ゆっくり私達のところへ歩いてくる。
「泣き落とし?」
私がサンチョさんに尋ねると、サンチョさんは困ったように頭の後ろの方をかいた。
「でも、マーサ様をお助けいただいて、全員無事に此方へ戻ってきていただく事が約束です」
「守れるよ! そんなの!」
ソルが胸を張る。
「お婆様、きっとグランバニアに戻ってきたいよね。わたし、絶対お婆様を連れてくるわ」
マァルは頬を紅潮させてサンチョさんを見上げる。
「出発は夏にはいけると思うよ。……ちょっと仕事溜まってるんだ」
テスは済まなさそうに言うと肩をすくめる。
「お父さん! すぐね! 早くね!」
「……善処します」
テスは苦笑してソルに頭を下げた。


■よかった……週明けには旅立てそうです。
ついに最終局面。敵の本拠地魔界です!

……いや待てその前に魔界へ行く算段立ててもらわなきゃ。

がんばれテス。
いやがんばれ私。

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