■今、ちょっと調べてみたら、「今日のDQ5」は本格始動したのが去年の12月12日だったそうです。
おおお、一周年すぎてんじゃん!(笑)
凄いなあ、私そんなになにかやり遂げる意思があったんだ!(笑)

……そんなにかかって何で終わって無いんだ?

■ラインハットで (テス視点)
通された部屋で暫く待っていると、ヘンリー君がマリアさんを伴ってやってきた。
二人ともボクが一人で来たのはもう聞いているらしい、どこか覚悟を決めたような顔をしていた。
二人はボクの向かい側のソファに腰掛ける。
握り合った手を、ヘンリー君の膝の上に置いている。
「思ってたより早かった」
ヘンリー君はそういうと、近くに居た女官に飲み物を持ってくるように頼んだ。
「そう?」
ボクはヘンリー君から視線をそらす。
何だか真っ直ぐ見られなかった。
「ごめん」
視線をはずしたまま、ボクは呟くように言う。
「駄目だった」
「……誰も、救えなかったか。オレ達の決断は遅すぎたわけだ」
ヘンリー君はため息をつく。
ボクは少しだけ顔を上げて、ヘンリー君のほうを見た。
「ううん、ドレイにされていた人で、その場に居た人は全員、助けた」
ヘンリー君は片方の眉だけ上げて、いぶかしげにボクを見る。
「じゃあ、何が遅かった?」
「わかってるくせに。意地が悪い」
ボクは口をゆがめる。
暫く静かだった。
ボクは大きくため息をついてから、窓の外を見る。この前来たときは、まだ雪が残っていた景色はすっかり変わって緑が溢れかえっていた。
「ヨシュアさん……駄目だった。遅すぎた」
ボクは二人に向き直って、ゆっくりと包みを差し出す。
テーブルの上に置くときに、カシャリと嘘みたいに軽い音がした。
「全部は持ってこられなかった。ごめん」
ボクが頭を下げると、マリアさんは力なく首を左右に振った。
「コレだけでも十分です。……一生もう兄には逢えないと思っていました。……ありがとうございます、テスさん」
マリアさんはそっと包みを手に取ると、その中を確かめた。
小さな骨がいくつか入っているだけの、寂しい冷たい包み。
「ああ、兄さん……」
マリアさんは包みを抱きしめて目を閉じる。
その目から、綺麗なしずくが流れ落ちていった。春の光が窓の外から差し込んできて、マリアさんの髪はキラキラと光を反射させる。
あまりに神々しくて、ボクは目をそらした。
こういうのは、多分ヘンリー君しか見ちゃいけない。
「ヨシュアさんが倒れてたところに、書いてあったんだけど……」
ボクは目をそらして、自分の膝を見ながらぼそぼそと呟く。
「ええと、『マリア……兄さんはもうだめだ……せめて……せめておまえだけはしあわせになってくれ……』だったと思う」

マリアさんが泣く息遣いが聞こえた。
ボクは顔を上げられなくて、ずっと固まったまま下を向いていた。
このまま、小さくなって消えてなくなってしまいたい。
顔を上げたとき、二人がどんな顔をしているのか想像できなかった。
顔を上げたとき、冷たい目で見られてたら、多分ボクはそれに耐える事は出来ないだろう。
マリアさんが、泣く声。
ヘンリー君が、何か小さな声でマリアさんを慰めているのだけが聞こえる。
でも、ボクの耳はその言葉の内容までは捉えることが出来なかった。

どのくらい時間がたったんだろう。
凄く長い気がする。
けど、もしかしたらそんなに長くなかったのかもしれない。
マリアさんが部屋を出て行く音がした。
「顔上げろよ」
ヘンリー君の声。
「いや」
ボクはうつむいたまま答える。
「向けって」
言葉と共に、ヘンリー君の手がボクの頭をつかむ。そのまま無理やり顔を上げさせられた。
「お前なあ、一人で沈むなよ」
呆れた顔でヘンリー君は言うと、くしゃくしゃになったボクの前髪を手で梳いて戻してくれた。
「別にお前が殺したわけじゃないんだ。何でお前がそんなビクつく必要があるんだよ」
「生きて連れて帰るって……」
「お前は生きてて、ちゃんとヨシュアさんを連れてきてくれた。十分だ」
「けど」
「『けど』? お前なあ、どうすることも出来ないことで悩むなよ。オレなんかどうすりゃいいんだよ」
ヘンリー君はボクの目をじっと見た。
「あのな、オレは、どんなに責められても罵倒されても、前を向いて生きていくつもりだ。オレにはお前やお前の故郷の人たちに対して、百回死んだって足りないくらいの借りがある。だからその罪を全部背負って生き抜いていくつもりだ。死んで逃げるわけにはいかないからな。そんな軽く楽になって許されるもんじゃない。お前みたいに心も体もすり減らすような謝罪のしかたもオレには許されなかった。オレは生き抜くからな。だからお前も生き抜け」
ボクは暫く息も出来ないでヘンリー君を見つめた。
「もっと図々しくなれ。ヨシュアさんのことは連れてきてくれて本当にオレたちは感謝してるんだ。生死もわからないままなんて、そのほうが辛い。……これでちゃんと送って安らかに眠って貰える」
ヘンリー君は優しい顔で笑う。
「お前が思うほど、お前は悪くない」
「そうかな?」
「とりあえず自惚れとけ」
ボクはその言葉に少し呆れてしまって、苦笑する。なんか、いろんな意味で気が抜けた。

「あのね、いい報告も実はあるんだ」
ボクはヘンリー君を見る。
「へえ?」
ヘンリー君はソファに深く座りなおすと、いつもの余裕綽々の顔をする。
ボクもソファに座りなおす。
「あのね、ビアンカちゃんを助けてきた」
「は!? それ本当か!? バカだなお前、そういうのから先に言えよ!」
「そうかな?」
「そうだ。何だよそんなおめでたい話なんで黙ってるんだよ! あー、もう、バカだお前!」
「そんなにバカバカ言わなくても……」
「で? 何で連れてきてくれなかったわけ? ビアンカさんが麗しの王妃様になってからオレはお会いして無いぞ?」
本気で会いたそうな顔をして、ヘンリー君はソファをバンバンと叩いた。
何となく連れてこなくて良かったと思った。
「子ども達と一緒に居る時間が長いほうが良いかなあって思って。……マァルが来たがらなかったから」
「うわー、コリンズ気の毒ー。お前ちょっとは気を利かせて無理やりにでも連れて来いよ」
「そんなのマァルが気の毒だよ」
「ま、そりゃそうだ」
ヘンリー君はにやりと笑う。
「今にビックリするくらい男前になってやるから、覚えとけよ」
「ソレはヘンリー君が言う言葉かなあ?」
ボクは本気で悔しそうなヘンリー君にボソリと言い返した。
ヘンリー君は軽く肩をすくめて笑って見せた。


■……お、おかしいな? ラインハット、続くみたいだぞ……。
とまあ、予定がずれました。
何か浮き沈みの激しい話になってしまって申し訳ないです。

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