■234回ですって。切番ですね(笑)……どうでもいいか。

そういえばDQ8。
クリアデータの「陛下の一言」は「デビルクラッシャー」でした。そんなに魔物倒してないと思いますよ。
……ななせんななひゃく位ですよ。

■大神殿 5 (マァル視点)
「皆で、ビアンカちゃんを助けよう」
そう言ってお父さんはわたしたちを見た後、もう一回お母さんのほうを向く。それからまたぎゅっとお母さんを抱きしめる。

お母さんはまだ石で、だからきっと冷たくて硬い。
わたしはお父さんが石だったとき、お父さんに触ってみた事がある。
あの時、お父さんは春の日差しでほんのり暖かくなっていたけど、硬い石の感触で、わたしは泣きそうになった。
お父さんは、どんな気持ちでお母さんを抱きしめているんだろう。
日差しも差さない神殿の奥で。
ずっと昔、辛い思いをした場所で。
冷たくて硬いお母さんを抱きしめて、お父さんはどんな気分なんだろう。
わたしは泣きそうになる。

「待ってて、絶対元に戻すから」
お父さんはお母さんに囁きかけて、それからこつんと額をあわせた。
凄く優しい顔で笑いかけて、それから唇を重ねる。
「後ちょっとだけ、待っててね」
お父さんは流石に照れくさかったのか、少し頬を赤くしてからこっちを向いた。
「なあ、さっきからビアンカに話しかけてたけど、聞こえてるのか?」
スラリンが不思議そうな顔でお父さんを見る。
「んー、少なくともボクは石だったとき、ぼんやりと意識があって、ずっと周りのことがわかってたから、ビアンカちゃんもわかるはずだよ」
お父さんは言うとわたしたちを見た。
「さあ、ビアンカちゃんを助けるためにも、イブールを倒しに行かなきゃ。……どこに居るのかな?」
お父さんが困った顔をすると、さっきお母さんにイブールが呪いをかけた事を教えてくれた女の人がまた話をしてくれた。
「あの、この舞台には隠し階段があって、イブールさ……もう様はつけなくて良いんですね。ともかく教祖は地下に居ます」
「ありがとう」
お父さんが女の人に笑いかけた。
「じゃあ地下に行くとして」
お父さんは辺りを見回す。
ドレイにされて、魂を抜かれていた人達は我に返ってざわざわと驚きの声をあげているのが見えた。
「多分全員ここに集められてたと思うんだ。今地下には誰も居ないだろうね。全員で行くと目立つな……」
お父さんは考え事をしてるのか、少し黙った。
「地下へは、いつもどおりボクとソルとマァル、それからピエールで行こう。少ないほうが目立たない」
「えー、オイラだってビアンカを助けるのに一緒に行きたい!」
「ホイミンもー」
スラリンとホイミンが不満そうな声を出すと、珍しくゲレゲレまでが不満そうにうなり声を上げた。
「皆にはお願いがあるんだ」
お父さんは真面目な顔をしてゲレゲレとスラリンを見た。
「ここにビアンカちゃんを一人で放っておくわけにはいかないでしょ? もしかしたら別の見張りが来てビアンカちゃんに触ったりするかもしれないし。そんなのって許せないでしょ? だから、スラリンとゲレゲレはビアンカちゃんをここで守ってて」
「おおお、オイラビアンカの騎士なんだな!?」
「そうだよ、すごーく重要な任務だよ。むしろボクが残るからイブール倒しに行ってきて欲しいくらいだよ」
お父さんは本気なんだか冗談なんだかわからないようなことを言う。
ゲレゲレが頷いた。
「そういうわけだから二人はビアンカちゃんを守ってて。……触んなよ?」
最後の一言を凄く低い声で脅すように言うと、お父さんは今度はサンチョのほうを見た。
「サンチョ」
「ハイ」
「サンチョはホイミンと二人で、とりあえず中庭に出て行って?」
「それで何をすればよいのですか?」
少し不思議そうな顔をするサンチョに、お父さんは続ける。
「上でマスタードラゴン様が待機してくれてるでしょ? とりあえず呼んで、ここに居る人達を全員家に送り届けるように頼んでくれない?」
「えええ!? 私がですか!?」
「うん。お願い。もしマスタードラゴン様が渋ったら『二十年働かなかった分今働け』って伝えて」
「……そんな事言えるのは坊っちゃんだけですよ。恐れ多くてそんな事私は言えません」
サンチョは青い顔をして首を左右に振った。
「まあ、脅さなくてもちゃんとしてくれると思うから。いつまでも彼らをここに置いておくわけには行かないよ」
「それはわかります……」
サンチョは暫くうーうーとうなり声を上げて迷った挙句
「わかりました、伝えに行きます」
「頼んだ」
お父さんは、にっと笑う。
「さあ、それじゃイブールを倒しに行こうか。……十年ビアンカちゃんを独り占めしてた事を後悔させてやる」
「テス、目が据わってるぞ」
「ビアンカちゃんだけじゃないさ。ボクだってここの教祖には何回殺しても足りないくらいの恨みがあるんだから」
お父さんは据わった目のまま、指をバキバキと鳴らした。

「ともかく、絶対許さない」

そういうとお父さんは舞台の中央辺りに歩いていって、床の石を剣を使ってうまくはずした。
床石が外れたところから、下に続いている階段が少しだけ見えた。お父さんは、後は階段を隠している床石を次々に下に向かって蹴落として行く。
「さあ、行こうか」
お父さんはわたしたちに声をかけると階段を先に下りていく。
わたしたちは頷いて、お父さんの後に続いた。
降りた先は小さな部屋になっていて、すぐ二つの入り口が見えた。
お父さんは迷うことなくその入り口をくぐる。
その先には幅の広い大きな下りの階段がすり鉢のように向かい合わせに作られていた。
お父さんはやっぱり、迷うことなくその階段をおりていく。
「お父さん……」
わたしは不安になってお父さんに声をかけた。
「何?」
お父さんが振り返る。いつもどおりで、何にも変わったところはない。
「……その……」
言葉が続かなくて、わたしは暫く黙る。
「うん、ここはね、まだ知ってるんだ。上の建物は全然知らなかったけど。……ボクが居た頃はまだ建物は無かったし。どっちかというとここに神殿を建てるための整地をしてるほうが長かったからね。多分、地下もほとんどわからないと思う。ボクが逃げたときって、ちょうど整地が終わって、これからどんどん建物を作っていくって時だったから」
お父さんはそう言いながら階段をくだりきる。
さっきまでの、人工的な床石が敷き詰められた床は終わって、土がむき出しになった場所に出る。
辺りは水が溜まっていて、遠くのほうに白い柱が並んでいるのが見えた。
次の入り口へ向かう道には、篝火がたかれている。
お父さんの顔色は、少し青かった。
お父さんは無言で、その柱がたっているほうを指差す。
「あの辺に牢屋があって……そこから逃げた。前にはお墓が広がってた。その近くがボクらドレイが眠る場所だった」
そういって、ゆっくりと目をつぶって手を合わせる。
わたしたちも無言でそれに倣った。
「さあ、行こうか。沢山の人たちの恨みを、苦しみを、イブールにぶつけてやるんだ」


■再開したら書き方忘れてた、とかそういう事は秘密です(笑)

……主人公が居た10年と、居なかった10年を比べると段違いに居なかった10年のほうが工事のスピードが速いです。
魂抜いて昼夜関係なく働かせたのでしょうか?
それとも突貫工事手抜き工事なんでしょうか?

ともかく次からは神殿内部です。

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