今日のDQ5(230)
2005年11月22日 今日の「DQ5」■モンスターアプリ。
はぐれメタルが終わって、とりあえず一度挫折したキメラとお喋りをしています。
やっぱり彼は苦手です。
でも、なんとなーく彼の傾向がわかってきました。
わかってきたけど……つらいなあ。
■大神殿 1 (テス視点)
■大神殿篇スタートです。
マスタードラゴンと話すと、どうしてあんなにテっちゃんの性格が「良く」なっちゃうのか、自分でも良くわかりません。
はぐれメタルが終わって、とりあえず一度挫折したキメラとお喋りをしています。
やっぱり彼は苦手です。
でも、なんとなーく彼の傾向がわかってきました。
わかってきたけど……つらいなあ。
■大神殿 1 (テス視点)
春が来た。
辺りに積もっていた雪が随分溶けて、雪の間からは新しい草の芽が出始めている。
まだ吹く風は少々冷たいけど、日に日に太陽が暖かくなってくる感じ。
ボクは大きくため息をつく。
神殿での十年を、ボクは話した。
皆がその劣悪な状況に怒り、悲しみ、そしてボクを許してくれた。
皆が許してくれたからといって、多くの人を見捨てたその事実は変わらない。ボクがボク自身を許せるようになるまで、まだまだ時間はかかるだろうと思う。
もう少ししたら、全員の用意が終わって、ボクはあの神殿へ向かう。
マスタードラゴンの背に乗って。
まるで神の使いみたいに。
欺瞞だなあ、と思う。
本当は今だって逃げ出したい。あんなところ二度と行きたくない。
でも、それじゃ今までと何もかわらない。
全部清算するために、ボクは皆に話したんだ。
暫く目を閉じて、息を大きく吸う。ともかく落ち着こう。
行き先は地獄でも、ボクは乗り切らなきゃいけない。
目をゆっくり開けて、左手を見る。
薬指に嵌った指輪。ビアンカちゃんとの誓い。
そっと撫でてから、口付ける。
「……ごめん、助けて」
つぶやいて、もう一度深呼吸してから部屋を出た。
「全員揃ってる?」
「お父さんが最後だよ」
城門のところに皆は集まっていた。ボクが一番最後だったらしくて、しかも随分待たせたらしい。少し頬を膨らませたソルとマァルに叱られてボクは肩をすくめる。
サンチョも、ピエールも、ホイミンもスラリンも、ゲレゲレも皆待ちくたびれたらしくて少し呆れた顔をしていた。
「逃げなかっただけ偉かったぞ!」
スラリンが足元で跳ねながら言う。
「……ちょっと逃げたかったんだけどね」
ボクが言うと全員が少し複雑な顔をした。
「けど、まあ、逃げるばっかりじゃ駄目だよね」
そういってボクは城門をあける。
雪かきされた道が、真っ直ぐ伸びていた。
道の横の雪は溶けかけていて、下の方は泥にまみれて黒ずんでいたけど、上のほうはまだ真っ白で日の光を反射してキラキラ輝いている。
暫くいったところに広い場所があるから、そこでマスタードラゴンを呼ぶ予定だった。
久しぶりの旅だから、皆それなりに緊張してるみたいだった。
半時間くらい歩いて、広い場所にたどり着く。
振り返るとグランバニアの城が見えた。雪のなかに堂々とたっている。あれがボクの場所なんだと思うと、少し不思議な感じがした。
「じゃあ、マスタードラゴンを呼ぶね」
マァルが袋からベルを取り出して鳴らす。
相変わらず澄んだ音色でベルは鳴り響く。その音は春特有の少しぼんやりした青い空に吸い込まれていった。
マスタードラゴンは相変わらずすぐにボクらの前に現れた。
「久しぶりだな」
「冬は旅をしないんです」
マスタードラゴンの言葉にボクは答える。彼はボクらを背に乗せると一気に空に飛び上がった。
「今日はどこへ行くのかね?」
ゆっくりと翼を動かして空をすべるように横切りながら、彼は気軽に話しをする。
プサンさんの時に気軽だったのはわかるんだけど、もうちょっと、神様なんだから重みというか威厳というか、そういうのがあってもいいんじゃないかな。
まあ、ボクだって王様やっててもあんまり威厳とか重みとか無いけど。
「セントベレス山の頂上の、神殿へお願いします」
ボクが言うと、暫くマスタードラゴンは黙っていた。
「良いのか?」
「ええ」
「……あそこは今の天空城より高い位置にある邪教の神殿で少々憤慨していたところだったのだ」
「……神様ちょっとそれってどうなんです」
ボクの言葉にマスタードラゴンは軽く笑った。
「ともかく、魔物が操っている偽の神が人々を騙すのには心を痛めていたのだ。私も出来る限りの力をかそう」
「何か後付けの理由みたいな気がしないでもないですが、まあ、よろしくお願いします」
「……やっぱりお前くらいなものだぞ、この私にそこまで言うのは」
「……ボクはプサンさんと話をしてるんですよ、多分」
マスタードラゴンは今度は大声で笑った。
「やはりお前は面白い。これだから人間はすばらしい」
マスタードラゴンは力強く翼を動かすと、少し飛ぶスピードを上げた。
「よろしい、テス。思うとおりにやってきなさい」
マスタードラゴンは空を切り裂くように飛ぶ。
雲をつきぬけ、風に乗り、あっという間に大神殿が見えてきた。
「少しスピード落としてくださいよ、派手に行くわけには……あと、ちょっと寒いです」
ボクが言うとマスタードラゴンは少しスピードを緩めた。
「さて、テス。あの神殿だが、私が羽を休めるほど広いスペースは無いようだな」
「ありません。前庭があるにはありますが、回りをぐるっと壁が囲ってるので、止まろうとしたら羽を痛めるでしょう」
「入り口近くにギリギリ寄せよう。出来る限りスピードを落としておくから、庭に飛び移れ」
マァルが青い顔をしたけど、ボクらに他に選べる方法はなさそうだった。
「わかりました。マスタードラゴンはどうされるのですか?」
「近くの空を旋回して待っていよう。危険を感じたらとりあえず庭へ出てくるのだ。すぐに助けに入ろう」
「出来ればそんな事態にならないといいんですけど」
ボクは言うと、マァルを抱き寄せる。
「マァル、目をギュッと閉じて。……大丈夫だから。ボクと一緒に飛び移ろう」
マァルはコクコクと頷くと、ボクにしがみついて目を閉じた。
神殿がどんどん大きくなってくる。
ボクが逃げ出す頃には、ほとんどできてなかった白亜の神殿。
もう前庭には資材はまったくない。
「行け!」
声とともにボクらは飛び移る。
どうやらマスタードラゴンが翼をうまくつかってくれたらしい、たいした衝撃もなくボクらは庭に侵入していた。
見上げると高い空でマスタードラゴンが旋回している。
「さ、行こう。見張りが居ないといいんだけど」
ボクらは足音を立てないように注意しながら歩き出した。
入り口の広くて長い階段へ続く通路には、誰のためなのか篝火が焚かれていた。
その通路の左右には美しく手入れされた緑が広がっている。黄色い花が咲いて、蝶が飛び回っていた。大きな木も植えられている。ここには木は無かったと思うから、きっとどこかから運んできて植えさせたんだろう。
景色だけは本当に美しい。
そこにどれほどの血が流れたか知らなければ、確かにここは桃源郷に見えるだろう。
不似合いなほど長閑。
吐き気がする。
庭はとても静かで、物音がしない。
見張りの気配も全くない。
「お……お父さんなんだか寒いね。やっぱり高い所は寒いんだな。雲の上だもんなあ……」
ソルが少し顔をしかめる。
「……なんにもしてないのに息が……苦しいの……」
マァルが何度か深呼吸をした。
ソレが、高さによる空気の薄さが原因なのか、それともここに染み付いた人々の苦しみをマァルが感じ取ったのか、どちらなのかボクにはわからなかった。
ボクは二人を抱きしめる。
「無理させてごめんね……。行こうか」
ボクは立ち上がると、目の前の神殿をにらみつけた。
■大神殿篇スタートです。
マスタードラゴンと話すと、どうしてあんなにテっちゃんの性格が「良く」なっちゃうのか、自分でも良くわかりません。
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