■DQ8。
犬を倒して、地獄から這い出てきて、以来ずっと錬金釜に凝ってます。
スーパーリングを4つ作って、現在赤貧です。漸く貯金が3万に回復しました。
先日は賢者の石など作ってみました。作っただけで使ってません。
現在、女神の指輪を作ってます。
メタルキングとかはぐれメタルがバンバン出てくる某丘の上で、同じ場所をぐるぐる走りながら、ひたすら釜がチーン♪と言うのを待ってます。
エルアのレベルは50になりました。
そろそろマルチェロ兄さんが顔を青くしてるんじゃないでしょうか(苦笑)

まだ兄者のところへは行きません。
 
 
■主殿の事 (ピエール視点)
主殿は目を伏せ、暫く押し黙った。
何か重い塊が頭の上から体を押しつぶしそうとしているように感じる。
沈黙、という見えない何か。
誰もが何も言えなかった。

ポートセルミの灯台であの神殿を見たとき、我々はいつか主殿が話してくれるまで待とうと思った。
「ジャミ」という名前を聞いたときの主殿の豹変の理由を、ゲレゲレだけが知っていた。
離れ離れになり、主殿が帰ってくるまで、我々はただひたすら待った。
水の奥の城で、主殿の過去を知ったとき、私は少なからず衝撃を受けた。こんなに優しく、こんなに心の広い主殿に起こっていた、目を覆いたくなるような不幸。
過去を知ってから、ゲレゲレに事の正否を確かめた。
彼はただ一言ソレが正しいことを認めただけだった。
それ以来、ジャミもゴンズもゲマも、我々の共通の敵だった。
主殿は何も言わなかったが、我々はその魔物が憎かった。
同じ魔物であることが、酷く嫌だった。

我々には、いつも知らされなかった。
そして、いつか知れる日を待っていた。

知らないことは辛かったが、
知ることはもっと辛いことだった。

「十年たったとき」
主殿がかすれた声を出す。
これを全部話し終わったとき、主殿はどうなってしまうのだろう。

「マリアさんが新しいドレイとして連れてこられた」
「あの方も!」
サンチョ殿が驚きの声をあげる。
マリア殿と一緒に旅をしたのは短い間だったが、彼女の慈悲深さや優しさをまだ覚えている。
ヘンリー殿も居て、あの頃は今とは違った楽しさがあった。

「最初は、教団の信者だったらしい。けど、教祖の皿を割ったとかで、ドレイにされた」
「たったそれだけで!?」
「やり口だったんだろう。そういう人は沢山居た。教団に対して悪いことをしたとか、入信しなかったとか、そういう理由でドレイにされちゃう人が」

主殿は手を見つめる。
そこには綺麗な、赤い石の嵌った指輪が輝いている。
ビアンカ殿との、小さな、けど、確かなつながり。
ずっと、支えにしてきたもの。

「マリアさんのお兄さんは、ボクらを監視する兵士だった。……彼の機転で、ボクとヘンリーくんと、マリアさんはあの地獄から逃げ出したんだ」
主殿は両腕で耳を塞ぐようにして、頭を抱え込んだ。
彼らは確かに何か強いつながりを持っているように感じていたが、まさかそのようなつながりがあったとは。

「ヨシュアさんが言ってた。神殿が完成したら、ドレイは皆殺しにされるって。マリアさんをそんな目に合わせたくないって」

小さな声で、でもそこにいる誰もが聞こえる声で、主殿は言った。
皆殺しという単語の意味が、一瞬わからなかった。
それは静かな衝撃だった。
じわりと意味がわかったときには、ただ絶句するだけだった。

「ボクは、皆が殺されるのを知ってて逃げ出した卑怯者だ。あそこに居た人たち、全員を見捨ててきた。見殺しにした。助けてくれたヨシュアさんですら、ボクは捨ててきた」
主殿は真っ直ぐ我々を見た。
「ボクは、本当はここでこんな風に幸せな生活を送る権利なんて無いんだと思う。多くの命を知ってて見捨てた、罪深い人間だ。そして今日まで、ずっと知らない振りを続けてきた。卑怯で、汚い奴だ」
主殿は我々から目をそらすことなく、真っ直ぐ前を見つめて続ける。
「この罪は消えることはないと思うし、許されることもないだろう。誰かがボクをそしるなら、甘んじて受ける。皆がボクに失望しても仕方ないと思う」
主殿はゴクリと唾を飲み込んだ。
泣くわけには行かないのだ。

「今更かもしれない。もう遅いかもしれない。けど、神殿は秋の終わり、まだ未完成みたいだった。まだ、間に合うかもしれない。沢山の人が、殺される寸前なんだ。……今度は見捨てたくない。助けたい」

主殿は椅子から降りると、我々に土下座する。

「神殿に、行かせて下さい」

暫く、誰も動けなかった。
勿論、主殿が憎かったわけではない。
そしったり、軽蔑する理由は無かった。
過酷な状況を十年も乗り切り、それでも優しい心と強い意志を持ち続けた主殿を、どうして責めることができようか?

ただ、どうしていいのかわからなかった。

「お父さん」
マァル殿は主殿に近寄ってしゃがむと、その肩に手を置く。
「ねえ、そんな風にしないで。お願いだから、こっちを見て」
主殿が顔を上げる。ちょうどマァル殿と視線が合う高さだった。
「あのね、お父さん。わたしはお父さんが好きよ。嫌いになったりしないよ。お父さん、ずっと言えなくて辛かったよね?」
「マァル……」
マァル殿が主殿を抱きしめる。
「もし、どこかでお父さんのことを責める人が居たら、わたし、絶対言い返す。お父さんだって辛かったんだもん。今からちゃんと助けに行くんだもん。遅いとか言う人が居たら、絶対わたし許さない」
「ぼくだって!」
ソル殿が叫ぶ。
「ぼくだってそんなの言う奴がいたら、一緒に怒る! お父さんずっと今日まで辛かったんだもん! 知らないで何か言う奴がいたら絶対に許すもんか!」
「そうですよ! 私だって断固抗議します!」
「オイラも!」
「ホイミンも!」
全員が全員、口々に言う。
主殿はしばらく呆然とした様子で我々をみて、それからとても嬉しそうに笑った。

「皆優しいね……。ありがとう」

「お前さんはワシらを対等に扱ってくれた。優しく接してくれた。お前さんがそうだったから、ワシらは同じように返す。お前さんが卑怯だった事があるとしたら、それはほんの一瞬だけじゃ。ワシは、そんなお前さんは居なかったと思う」
マーリンの言葉に私は頷いた。
「そうですよ。主殿がもし、卑怯なのだとしたら、今我々はここに居ません」
「……」
主殿はぼんやりと我々を見て、それから静かに涙を流す。
「ありがとう」
漸くそれだけ搾り出して、主殿はひざを抱えて床にうずくまると、本格的に泣き出した。
マァル殿が、そんな主殿の頭を撫でている。

「みんな、本当にありがとう。ビアンカちゃんを探すのがまた遅くなっちゃうけど……」
「お母さん、きっとわかってくれるよ! お父さんの大事なことだもん!」
ソル殿の言葉に、主殿が頷いた。
「うん、きっと……わかってくれるよね」
我々も頷いた。

「わがままを聞いてくれてありがとう」
主殿はそういって、ソル殿とマァル殿を抱きしめる。

春は、きっと良い季節になる。


■よし、それなりに暗い話脱却!
なんか書いてて辛かったです。気分が重いです。
もう暗い話は嫌だなあ。まだ暗い話はいくつかあるなあ。

……それなりに頑張ろう。

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