■右手の薬指と人差し指の爪の際を怪我しました。
キーボードを打つと指が痛いです。
特に薬指。自分じゃ気づかなかったけど、どうやらキーボードでは薬指を良く使っていたらしい。エンターキーとか押すのが薬指でねえ。いたいねえ。

しかしどうやら明日はケーブルテレビさんがメンテナンスで半日ネットがつながらないようなので、頑張って書いておかねば、なのです。
……ねば、って何だよ。
そんな使命感いらんのとちゃうか?(時折我に返っておこう)

あ、アプリはちょっと進んで、今ははぐれメタルと仲良くやってます。

■冬の終わりに 4 (ヘンリー視点)
全部話終わって、テスは大きく息を吐き出すと、またうつむいてひざを抱えた。
秋の終わりからずっと抱え込んで、頭の中と心の中でぐるぐると渦巻いていたものを全部吐き出して、少し疲れたんだろう。

抱え込んでるとき、色んな予測を立てたんだと思う。
オレたちが今みたいに全部肯定して背中を押すパターンや、今の生活に波風立てるようなことをしないで欲しいと反対されるパターン。
肯定も否定も考えて、コイツのことだからきっと否定的な意見を繰り返して考えたに違いない。
だから、オレたちが肯定してちょっとほっとしたところもあるんだろう。

「ボクも、帰ったら全部言うよ」
小さな声で、それだけポツリとつぶやいた。

コイツは、多分国に戻ったら真っ先に子ども達と仲間を集めて、腹の中のものを全部吐き出すんだろう。
無かった事にしていた事を、知らない振りをしてきた事を、卑怯だった部分も、怯えも苦しみも、全部吐き出してしまうんだろう。

その結果、見損なわれても仕方ないと、諦めた上で。

多分そんな事にはならないだろう。
どのくらい仲間の魔物が増えたかしらないが、少なくともオレが知ってる奴らは、その程度でテスを捨てるほどヤワじゃない。
そんなに浅い付き合いじゃない。
深いところでテスの事を信頼してるから、ずっと一緒に居るんだ。
きっと、命が尽きるまで。
羨ましい限りだ。

 
お前が、お前自身に下してる評価は低すぎる。
お前はもっと、うぬぼれたっていい。

 
まあ、恥ずかしいし悔しいし、面白いからコレは黙っておくけどな。
オレは心の中でつぶやくと、目の前に居るテスに向かって軽く舌を出した。

 
 
次の朝、いつもより少し遅い朝食をテスを交えて家族で食べた。
テスは半分寝てるような様子で、もそもそと機械的にパンを口に運んでいる。
オレとマリアもあまり話をしないで、黙々と朝食を口に運ぶ。
少々眠かった。
コリンズはあまり話をしないオレたちに少し不安そうな目を向けていた。
「コリンズ君」
唐突にテスがコリンズを呼んだ。まだやっぱり寝てるみたいな声だ。コリンズは不信感をありありと浮かべた目で、テスを見る。
「なんだよ」
「全部終わったら、一回グランバニアに遊びにおいでよ。色々発見があると思うから」
「全部終わるって、いつだよ」
「……さあ?」
「はっきりしない奴だな」
「はっきりしないよ。けど、もうちょっと先だと思う。全部終わって無事かどうかもわからないけど。全部幸運に終わったら、遊びに来たらいい。まだ余裕はあるから、ソレまでにその照れ隠しだろう悪い言葉遣いを直しておきなよ」
「……っ」
テスの言葉にコリンズが顔を赤くする。
あー、怒ってるなあ、図星さされたもんなあ、朝っぱらから。
「キミが変わらなきゃ、色んなものは変わらないよ。例えばマァルの気分とかさ」
コリンズがテスから目をそらした。
「まあ、ボクの事敵に回して勝つつもりがあるなら、頑張ってみるといいさ」
テスは意地悪く笑うと立ち上がる。
「朝ごはん、ご馳走様。少し休んで、用意が出来次第帰るよ」
そういって、コリンズの頭を軽く撫でてから部屋を出て行った。

「何だあいつムカつくー!!」
コリンズの言葉に、マリアが顔をしかめる。
「でもテスさんのいう事は尤もよ? コリンズは少しお行儀が悪いもの。このままじゃマァルちゃんには好かれないわね。私がマァルちゃんなら、やっぱりコリンズは苦手だと思うもの」
マリアの言葉に、コリンズは口をゆがめた。
「これから少しずつ、周りの人に優しくなれるようにお勉強しましょうね。まだ望みはあるんだから」
「……はーい」
不承不承、コリンズは返事をする。こういうときは、絶対母親のほうがしっかりしてる。長年の経験から、オレはこういうときには口を出さない事にしてる。
「コリンズには、色んなことを知って、優しい人になってほしいの」
マリアが優しい顔で笑うと、コリンズは尖らせていた口を元に戻して、殊勝な顔で頷いた。
 
 
昼も近い時間になって、テスはオレに挨拶に来た。
このままルーラでグランバニアに戻るそうだ。
「ヘンリー君、今度また西端の事聞きに来るから、ソレまでには調べておいてね」
「ちゃんとやらせてるから、心配すんな。お前がヨシュアさんを連れてくる頃には、全部調べ上げて終わらせとく」
「頼りにしてる」
テスが笑う。
オレも笑い返した。
「お前さ、あんまり悲観するなよ? これまでお前が大丈夫だって思ったことは全部大丈夫だったんだ。これからだってそうさ。きっと皆、お前を嫌ったりしねえよ。もし何かいう奴がいたら、本気でオレが叱り飛ばしに行ってやる」
「ヘンリー君って、熱いね。カッコイイー」
絶対そう思ってない口調で、テスが言う。
「何回も言ってるだろ、オレはいつでも格好いいの。オレを誰だと思ってんだ」
「ボクの親分」
オレは思わず笑う。
「そうだ、オレはお前の親分だ。いくらでも支えてやるから、お前はお前の信じる道を突っ走ってこい」
「あー、格好いい。ボクが女なら惚れてたね」
「いらねぇ。マリア以外いらねえ」
オレが言うと、テスは遠い目をした。
「あー、ボクもノロケがいえる立場に戻りたいなあ。ビアンカちゃーん」
本心だろうに、白々しい声で言って、笑う。
「きっと無事に見つかるさ」
「当たり前だよ」
テスは答えながら、部屋の窓を開けてベランダに出る。
「近いうちまた来るよ。いい知らせを持って」
「信じて待ってる。……無事で居ろよ、命令だからな」
テスは頷くと、空を見上げる。ルーラを唱えたんだろう、一瞬風がオレのほうに向かって吹いた。そして、テスはオレの視界から消えた。
「ホント無事で帰ってこいよ、頼むから」
オレはテスが飛んでいったほうの空を見上げてつぶやくと、部屋の中に戻った。

これから、コリンズにどうやって説明するか暫く考えなきゃならない。


■寄り道1のヘンリー君との対話編が終わりました。
なんや予定より長い気がします。
次は寄り道2。子どもやサンチョ、魔物ちゃん達との対話編です。
ヘンリー君とマリアさんのコリンズ君との対話は書く予定はありません。脳内補完をお願いします。

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