■DQのアプリ。
あれから魔物ちゃんとの仲はそれなりに進み、げんざいはわるぼうと遊んでます。
今日はわるぼうに「前世占い」なるものをされました。
それによると、私は「ドラキーマ」だそうです。マイナーだといわれました。確かにマイナーです。
が。
私はあの黄色いドラキーが割りと好きだったので(デザインとか色とか)妙に嬉しかったです。

……で? いつ友達は紹介してくれるのさ(飽きてきました)

■冬の終わりに 3 (ヘンリー視点)
突発的にパーティーがあったからだろう、コリンズは妙に興奮してしまって全然眠ろうとしない。何とかベッドに放り込み、眠りに落ちるのを待つ。
結局オレとマリアがテスと話を始められたのは深夜になってからだった。
 
テスは既に割り当てられた部屋から出てきて、昼間オレたちが話し合った部屋までやってきていた。
昼間と同じソファで、半分ずり落ちそうになりながら眠っている。テーブルの上には飲みかけのワインが置かれていた。
「おい、こら、起きろよ!」
オレはテスの頭を軽く小突いて、テスの正面に座る。
マリアがオレの隣に座った。
「……」
テスはぼんやりとした目でオレたちを交互に見比べた。
「……ああ、おはよう」
「おはようじゃねえ」
オレは呆れて返事をする。
テーブルのワインを使われてないグラスに注いで一口飲んだ。割と甘めの、軽いワインだった。
「お疲れなら、お話は明日以降にしますか?」
マリアは、いまだソファに沈んでいるテスを心配そうに見ながらそっと声をかける。
「大丈夫です」
テスは小さな声で言うと、靴を脱いでソファに足を乗せた。
丸まるようにひざを抱えて、そのひざにあごを乗せる。
暫くぼんやりと宙を見つめて、それから大きくため息をついた。

「あのね」

テスはオレたちを見ないで、ずっと自分の足先を見ている。
その格好のままぼそぼそと喋りだした。
「夕方、マスタードラゴンが戻ってきた話はしたよね?」
オレは頷く。マリアは少し驚いているようだった。
「でね、まあ、その戻ってくる手助けをしたから、ボクらは彼の力を借りられるんだ」
「お前、すげえ冒険してるなあ。ついには神とも知り合いか」
オレはなるべく明るい声で言う。
テスは無反応で、あいかわらずオレのほうは見ない。
「現実的には、彼の背中に乗せてもらってどこへでも飛んでいけるようになったんだ」
「ああ、それでラインハットの西端までいけるって言ってたのか」
オレの言葉にテスが頷いた。
「まあ、そこにもいつか行くとして」
テスは少し黙った。

静かだった。
皆が寝静まった夜中、聞こえてくる音は時々吹く風の音と、雪解け水が流れていく音だけだ。
普段聞こえないような音が、耳に届いている感じ。
甲高い、キーンという音が聞こえてくる。
耳鳴り。

「マスタードラゴンから見た世界は美しかったよ。緑あふれる大地も、真っ青な海も、夕焼けに染まった空や海も、全部綺麗だった。マスタードラゴンが世界を守る理由がわかった気がした」
テスが初めて顔をあげた。
オレと、マリアを真っ直ぐに見つめる。

「セントベレスの頂上も、見た」

テスの言葉に、マリアが息を飲んだ。
「夕焼けに染まって、あの忌々しい神殿はとても神々しかった。嘘みたいに綺麗だった。内側は血と苦しみで染まってるのに」
テスが歯を食いしばる音がした。
何か、ネジを巻くような音に聞こえた。
それとともに、オレの視界は少し薄暗くなった。
背中が寒い。
マリアがギュッとオレの腕をつかむ。オレはその手に手を重ねた。
お互い少し震えていた。

「まだ前庭に資材が置かれていたから、完成ってわけじゃないと思う。けど、時間の問題だと思う。この春先には、きっと終わる」

テスは淡々と続ける。
コイツが、神殿を見たのは秋の終わりだったはずだ。
この冬の間、ずっとコイツはこのことを胸の奥にしまいこんでたんだ。
誰にもいえないで、どうするべきか考えてたんだ。

「コレまでは、なるべく考えないようにしてた。あの山の上には行く方法が無かったから。でも今のボクはいける。あそこで何が起こってるか知ってる」

テスは抱えたひざに額をつけた。
うつむいて、オレからは表情がわからない。

「凄く恐いんだ。十年以上知らん顔してた。誰にも言わないで来た。今でも酷い目にあってるひとが居るのを知ってて、でも放っておいてた。行けないんだからって自分に言い聞かせて、言い訳にしてた。でももうその言い訳は出来ない。今更行って何になるって思う。今まで放っておいたくせにって。あそこに行こうと思ったら、今まで隠してたものを、全部白状しなきゃいけない。思い出したくないし、言いたくないし、知られるのも嫌だ」

テスはオレのほうを見た。
涙が目に滲んでる。

「でも、神殿が完成したら、ドレイは皆殺しにされるのを、ボクは知ってる。知ってて放っておくのも嫌だ」

ああ、コイツ泣けるようになったんだな、って思った。
自分もずっとなるべく考えないようにしていた物を突きつけられてるのに、それよりもテスの涙のほうがオレは気になった。

「ねえ、ヘンリー君なら、マリアさんなら、どうする?」

コイツの旅には、子ども達が付いてくる。
テスを信頼しきってる魔物の仲間が付いてくる。
親代わりの人が付いてきてくれている。
旅をするには理由が必要だ。
あの神殿に行くために、コイツは今まで無かった事にしていたことを、コイツの大切な人全員に知らせなければならなくなった。

オレはテスを見つめた。

オレは、コリンズに、言えるか?

「テスさんは」
マリアが口を開く。
テスがのろのろとマリアを見た。
「テスさんは、全てを伝えるつもりなのでしょう?」
テスがかすかに頷く。

「人を見捨てるのは……知っていて見捨てるのは……もう嫌です」

オレたちの自由は。
今の生活は。
ドレイ全員の命と、マリアの兄のヨシュアさんの命を見捨てた上に成り立ってる。
マリアも、テスも、そしてオレも。
ソレを忘れた事はないし、それぞれに罪の意識を背負ってきた。

「教えてくださって、ありがとうございます」
マリアが深くお辞儀をした。
「いつか、コリンズには伝えなきゃいけないと思っていました。いつまでも秘密にしておくのは、兄に対して申し訳ないと」
マリアはテスの手をそっと握った。
「私はテスさんの旅について行っても足手まといになるだけです。一番辛い仕事をテスさん一人に任せてしまうことになり、本当に申し訳なく思います」
「マリアさん……」
「私たちも、コリンズに伝えます。あの子はいたずら三昧でここまで来ましたが、そろそろ色々考えるべき歳です。いい機会です。……あそこに居る方たちに、平穏と幸せを取り戻してあげてください」
オレもテスの手を握り締めた。
「本当に済まない」
テスは頷いた。
「春になったら、出かけるよ。ヨシュアさんを連れて必ず戻るから。……相談してよかった。ボクは、間違ってないよね? ちょっと遅いかもしれないけど」

「遅いとか文句を言う奴がいたら、オレが蹴り飛ばしてやる」
オレが言うと、テスは笑った。
「やっぱりヘンリー君は格好いいね」
「当たり前だ」


■……ヘンリー君との会話はあと1回くらい続きそうです。
おっかしーなー。

今回はマリアさんの言葉に困りました。丁寧な言葉遣いってむずかしいですね。

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