今日のDQ5(220)
2005年11月9日 今日の「DQ5」■思い出したんですけど、PS2版のキャッチコピーって「強き心は、時を越えて。」でしたよね?
……思わずテっちゃんを思い出す。
強き心ねぇ。
持ち合わせてないような気がしてきた今日この頃。
打たれ弱いもんなー(遠い目)
■空から見た世界 (テス視点)
■今日も文字数の関係上、あとがき? は無しで。
……思わずテっちゃんを思い出す。
強き心ねぇ。
持ち合わせてないような気がしてきた今日この頃。
打たれ弱いもんなー(遠い目)
■空から見た世界 (テス視点)
天空城から外に出て、ボクらはこれからのことを話し合う。
これからどこに向かって旅をしたらいいのか、全く見当も付かない。
世界を旅したけど、ビアンカちゃんの噂もお母さんの話も全然聞かなかった。
旅をする手段は魔法の絨毯や天空城ってどんどん増えていったけど、それでも世界は呆然とするくらい広くて、まだ行き着かないところがあるのかもしれない。
天空城が復活して、神様に聞けばビアンカちゃんの居所くらいはわかるかも、とか実はほんのちょっと期待していたんだけど、それも無理そうだ。
「さて、どうしたらいいのかなあ」
天空城はとりあえずまだ地面に降りたままになっているから、その入り口の長い石段の一番下に座り込んで、ボクはため息をつく。
「これからどこへ行くべきなんだろう?」
地図を広げて皆で覗き込んでみた。
随分長い事使ってきたから、いろんなところに書き込みがある。
ルラムーン草の群生地だとか、トロッコの洞窟を塞いでいた大岩の場所とか。
一つ一つが懐かしかった。
書き込みがほとんど無いのは、ラインハットの西側にある岩山に囲まれた土地。ここには何があるのか分からない。
それと、もう一つ。
世界の真ん中にある島の北側くらいだ。
……ボクが小さい頃居た場所。
二度と行きたくないし、行く手立てもない場所。
ボクは地図を見たまま暫く考え込む。
「ねえ」
ソルとマァルがボクをのぞき込んでいた。
「何?」
「さっき、マスタードラゴン様から頂いたベル、鳴らしてみてもいい?」
マァルは既に手にベルを持っている。
「……」
ボクは暫く呆けたように二人を見て、それから頷いた。
「面白そうだから、鳴らしてみようか」
二人は「やったー!」と歓声を上げて、笑いあう。
「じゃあ、鳴らすね!」
マァルがベルを振ると、澄んだ音色が空に吸い込まれていった。
やがてマスタードラゴンの声が聞こえる。
「そこは流石に狭すぎる。もう少し広い場所で呼んでくれないかね?」
「えー、そうなのー?」
ソルが不満そうな声を上げたら、マスタードラゴンは苦笑しているようだった。
「わかりました、少し広いところでお呼びしますね」
ボクは答えて、また地図を見た。
一番近いテルパドールへルーラで移動して、ボクらは再びベルをならす。
澄んだ音色は今度こそ空に吸い込まれていった。
「……何も変わんないよ、さっきと」
「マスタードラゴン様が返事しない分、さっきより悪いわよ?」
何も変化が無くて、ソルとマァルは不満そうにベルを見る。
と、空が急に暗くなった。
思わず見上げると、太陽とボクらの間に大きな竜が飛んできていた。
金色の鱗と力強い翼を持った、大きなドラゴン。
「……マスタードラゴン」
ボクは呆然とつぶやく。
力を貸すとは言ってくれていた。けど、まさか本当に自ら飛んできてくれるとは思ってなかった。眷属のドラゴンをお使いでやってくれるくらいだろうって、実のところその程度に考えていた。
「うわー!」
ソルが嬉しそうに歓声を上げて、両手を振ってみせる。
考えてみたら、この子はマスタードラゴンがプサンさんだった時から仲が良かった。彼がここに来てくれるのは、きっと嬉しいだろう。
マスタードラゴンはくるりと宙で円を描いてから、ゆっくりと大地に降り立った。
砂が巻き上げらて、ボクは思わず目を閉じる。風が通り抜けていくのを感じた。
やがて風が収まって、ボクはゆっくりと目を開ける。
目の前にマスタードラゴンが悠々と座っていた。
「すごーい!」
「格好いいー!」
ソルとマァルは嬉しそうな声を上げて、マスタードラゴンに近寄っていく。そのままその大きな腕に抱きつく。
マスタードラゴンが嬉しそうに微笑んだように見えた。
「呼んでくれたら、いつでもこうして飛んでこよう」
「ホント!? 凄いや!」
ソルが嬉しそうに言う。
「さあ、背に乗るが良い。どこへでも飛んで連れて行こう」
そういうとマスタードラゴンは嬉しそうに笑った。
マスタードラゴンの背は広くて、平らだった。
ボクらはその背に乗る。馬車だって平気でその背中に乗せてしまう。
パトリシアが落ち着かないようだから、しばらくなだめてから座らせて、ずっとそばについていることにした。
マァルもボクのそばにやってきて、ギュッと体にしがみついてきた。
「では、参ろう」
声と共に、バサリと翼が羽ばたく。
ぐん、と加速されたのがわかった。
ふわりとした浮遊感があって、気づけばボクらは雲と同じ高さを飛んでいた。
「すごいすごい! 綺麗!」
ソルが嬉しそうに景色を見る。マァルは暫く恐がってボクの体に顔をくっつけていたけど、あんまりソルが綺麗だ綺麗だと騒ぐから、ついに顔を外に向けた。
「うわ……」
一瞬言葉を失って、じっとその景色を見る。相変わらずボクにしがみつく腕からは力が抜けてないけど、その景色に心奪われたのは間違いなさそうだ。
「綺麗ね、お父さん」
「うん」
ボクは頷く。
初めて空から、世界を見た。
コレまで、高い塔から何度も世界を見たことはあった。
そのたび、世界の広さと美しさに驚いた。
でも、ソレとは全く違う世界。
遠くに水平線が見える。
広がる世界が、どこまでも続いているのが見える。
見たもの全てが、この世界を作っているもの。
緑深い森。
鮮やかな花が咲く草原。
絶えず流れる川。
広い海。
青い、蒼い海。
体が、風を切るのがわかる。
秋の冷たい風。
もうすぐ、この風は冬の冷たい刃みたいに変わるだろう。
ボクは何か出来ただろうか?
「うわ、お父さん! 見て!」
ソルの声に我に返る。
「え?」
「あっち!」
ソルが指差すほうを見る。
太陽が沈みかけている。
世界が金色に輝いていた。
空の色は夕闇の薄い紺色が流れ込んできているのに、浮かぶ雲の縁が金色に輝いていた。
薄い薄いオレンジと、薄い薄い紺色が混じった空。
嘘みたいに綺麗だ。
海は太陽を反射して金色の光で満ちていた。
あんまり綺麗で、泣きそうになる。
その時、視界の端っこに、建物が見えた。
神々しい夕日の金色に染まった、石造りの神殿。
険しい岩山の頂上。
目の高さに、あれがある。
つまり、あそこへ行けてしまう。
「あの建物、何かしら?」
マァルがつぶやく。
「……さぁ? 何だろうね?」
ボクでも自分の声が揺れているのがわかった。マァルが気づかなかったわけがない。けど、彼女は何も言わなかった。
自分の心臓が物凄い勢いで動いているのがわかった。
息をするのが苦しい。
もう、ほとんど完成してるみたいに見えた。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
頭が働かない。何も考えられない。
どうしたらいい?
「……降りよう」
ボクの動揺がわかったのか、マスタードラゴンが言った。
ボクらはグランバニアの近くで背中から降ろしてもらった。
「では、また私の力が要るときには呼ぶが良い」
そういって、マスタードラゴンは一つ羽ばたいて空に消えていった。
吹き抜けていく風が冷たかった。
グランバニアには、もう冬がやってきているようだった。
■今日も文字数の関係上、あとがき? は無しで。
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