■現在、何かものすごーく、ヘンリー君とテっちゃんの話が書きたいです。
ソレとは別に、DQ1の話も書きたいです。

多分かけないだろうけど。

■マスタードラゴン (ソル視点)
ぼくとマァルがプサンさんに詰め寄っていく天空人さんたちを止めている間、お父さんはずっとプサンさんと小さな声で話をしているみたいだった。
周りの声がうるさくて、何を言ってるのかは聞こえなかったけど、結構二人は楽しそうに話し合っているみたい。
そんな事してないで、お父さんも皆を説得してくれればいいのに。
そう思って振り返ったとき、お父さんは道具を入れておく袋から、ボブルの塔の奥で見つけた竜のオーブをプサンさんに手渡すところだった。
「色々ご無礼があった事をお詫びします。でも、確信が真実かどうか知ってから渡したかったので」
お父さんがそういったのだけ聞こえた。
「ありがとうございます。なにやら全身にチカラがみなぎってくるようです」
プサンさんの声も聞こえる。

二人が何を言ってるのか、わからない。
それに、確かあれはマスタードラゴン様の力を封印したオーブだろうから、信頼できる人に渡そうって話だったのに。
……プサンさんが信頼できないって言うわけじゃないけど、こんな騒ぎになってるんだから、プサンさんに渡しちゃうのはよくないんじゃないかな?
「お父さん」
ぼくは思わず声をかける。
「何?」
お父さんは慌てた様子も無く首を傾げて見せた。
プサンさんは嬉しそうにオーブを抱くと、ぼくを見てにっこりと笑って見せた。

これまでとは、ちょっと違う笑い方。
何だか、凄く優しい笑い方。

ぼくはお父さんに駆け寄った。
「渡しちゃっていいの!?」
「いいんだよ」
お父さんは笑って、ぼくの頭を撫でる。
「けど、だって、信用できる人に渡すって」
「そうだよ。信用できる人に渡す予定だった」
お父さんはオーブを抱いたまま瞑想を始めたプサンさんを見てにこりと笑う。
「……必要としてる人が居るんだから、その人に渡すのは当たり前でしょう?」
「え?」
ぼくが聞き返したとき、一瞬で部屋の中が見えなくなった。

圧倒的な、白。
強烈な光が、部屋の中にあふれ出してくる。
「!!」
ぼくは思わず目を閉じて、お父さんの体にしがみついた。
お父さんが僕の頭を撫でてくれる。
凄くほっとした。

まわりでは「何だ何だ!?」みたいな叫び声がしている。
ここに集まっていた皆がみんな、混乱してるみたい。
マァルは大丈夫かな?
そう思ったとき、ぐおぉって物凄い雄たけびが部屋の中に響いた。

低い音。
でも、恐くない。

ぼくはそっと目を開ける。
マァルがさっき居た場所で座り込んでるのが見えた。
お父さんはプサンさんが居たほうの、少し上のほうを真っ直ぐ見上げている。
ぼくはお父さんが見上げてるほうを見て思わず息を吸い込んだ。
「ま……ま……まさかそんな…!」
「マスタードラゴンさま!」
周りに居た天空人さんたちが次々に驚きの声を上げる。
ぼくは思わずお父さんを見上げた。
お父さんは特に驚いた様子も無く、ただじっとマスタードラゴン様を見上げていた。

大きい。
大人の人がいっぱい座れそうだって思ったあの玉座は、この神様のためのものだったんだ。
あの玉座に悠々と座っている。
金色に輝くうろこと、大きな翼。
尻尾だって長くて太い。
コレまでいろんなドラゴンの姿をした魔物と戦ってきたけど、そのどのドラゴンと比べても大きいし、格好いい。
「うわー」
ぼくは思わず声を上げて、ぽかんとするしかなかった。
マァルがよろよろと歩いてきて、お父さんにしがみつく。
お父さんはマァルの頭をそっと撫でてあげていた。

「わが名はマスタードラゴン。世界のすべてを統治する者なり……」
マスタードラゴン様はゆっくりと話し始める。
低くて、落ち着いた声。
プサンさんだったなんて、信じられない。
マスタードラゴン様は話を続ける。凄く優しい目で、ぼくらを見た。
「よくぞ来たな。伝説の勇者の血を引きし一族たちよ。私が人として暮らす間に、再び世界の平和がやぶられてしまったらしい。魔界の門が大きく開けられ、魔界の王がこちらに来ようとしているのだ」
「やっぱりそうなの?」
ぼくが尋ねると、マスタードラゴン様はゆっくりと頷いた。
「しかし、そなたたちならそれをくいとめられるやも知れん! もちろん私も力をかそう!」
マスタードラゴン様は、腕を一度だけ天に向けて、それからすぐにおろした。
ぼくの目の前に、綺麗なベルが現れる。
銀で出来ていて、金色の縁取りと装飾が付いている。緑の綺麗な宝石がはめ込んであるところもあって、模様になってる。もち手のところも銀で出来ていて、翼があしらわれていた。
こんな綺麗なベルを見るのは初めてだった。
「私を呼びたいときはそのベルを鳴らすがいい。すぐに飛んで行って力をかそう」
「どうもありがとうございます」
お父さんが深々と頭を下げる。
「そなたたちの助けがなければ、私は非力な人間のままであっただろう。礼を言うぞ! テス!」
「マスタードラゴン様のお力になれたことを、誇りに思います」
お父さんはそういって、また頭を下げた。

 
玉座の間から出て、ぼくらはすぐにお父さんを取り囲んだ。
「何で!? 何でプサンさんがマスタードラゴン様って知ってたの!? それともプサンさんに聞いてたの!?」
ぼくが言うと、サンチョも頷いた。
「そうですよ! 黙ってるなんて水臭い!」
「わたしビックリしちゃって何も言えなかった!」
お父さんはタジタジと後ずさって、困ったように笑う。
「いや、別に知ってたわけじゃないよ。勿論聞いてないし」
「じゃあ何でわかったの!?」
「推理したら当たってたの。マァルはずっとプサンさんの事恐がってたでしょ? マァルは魔力に敏感だからさ、あのオーブを見つけたときも恐がってたし。プサンさんが初めてソルを見たときも何だか不思議な感じがするって言ってたし」
お父さんはそこで一度大きく息を吐いた。
「ボクの知ってる天空人は、グランバニアに居る彼女だけだけど、そんな力って無いんだよね。プサンさんはちょっと特別なのかなってその時は思ってた」
お父さんはぼくらを見る。
「そのうち、ここでプサンっていう天空人が居ないことと、マスタードラゴンが人間も楽しそうだって言ってたことを聞いた。でもプサンさんは実在して、天空城を知ってる。プサンさんって、最初、元天空人って挨拶したんだよ? 覚えてる? 元ってことは、現在は違うって事だよね? 翼も無かったし、多分人間になってたんだ」
そこでお父さんはもう一回ぼくらを見回した。
「さて。天空城から居なくなったのは誰だったでしょう? ボクらと一緒に戻ってきた人間は、誰だったんでしょう?」

「あー!」

ぼくらは一斉に声を上げた。
「ね?  一減って、一戻ってきました。数の辻褄合うでしょ? ボクはそこで確信したんだけど、真実かどうかわからない。だから聞いてみた」
「何て?」
「人間になって楽しかったですか?」
「何て答えたの?」
「楽しかったそうだよ。それで確認したからオーブを渡した。予想通りだったから、そんなにビックリしなかった」
「ずるいなー、先に教えておいてくれなきゃ!」
ぼくがいうと、お父さんはにやっと笑った。
「そんなの、面白くないでしょ?」


■今日も文字数危ういです! ので、ここまで!

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索