■今日の本
ISBN:4757713282 単行本 渡辺浩弐 エンターブレイン 2003/02 ¥2,415
未来に刻まれた童話……刹那、永遠、夢、絶望、感動、慟哭…。機械と化した人間たちの世界とは? 乾いた文体で未来世界を描く。「聖人プログラム」等の収録作品や書下しを加えて再構成した、2000年アスキー刊の完全版。『プラトニックチェーン』が絶賛発売中の“奇才・渡辺浩弐”の集大成がついに完成!!

目次
シカの話 / マリーの話 / バッツィーの話 / パウの話 / スタルトの話 / オッペンの話 / リセの話 / メモリカの話 / いろいろな人々の話(聖人プログラム/運命ゲノム/罪人カード) / レイスの話

「僕は、どっちなんだ?」
僕はノブをがちゃがちゃと動かしながら、振り返らずに答えた。
「君は、

新しい方だ。僕が、古い方」


今月二冊目の渡辺浩弐。
ありりんにずっと前、1999年のゲームキッズと、2000年のゲームキッズを借りたことがあって、それで「お、ゲームキッズだ」と思って図書館で借りてきました。

1999年とも2000年とも違うゲームキッズ。
ちょっと異和感ありましたが、やっぱ渡辺浩弐は渡辺浩弐でした。

ゲームキッズのシリーズは、存在の危うさとか、記憶の曖昧さ、見えてるものが本当に正しいのか?という問いかけの連続のような気がします。
それが様々な形として提示される。
決して答えは出ない。
読んでどう感じるか、どう考えるか、それは読み手の自由です。

中には現代に対する皮肉だとかメッセージもあって、さらっと読むには奥が深すぎるものも。

やっぱり、このひとの書く未来は、「あるかもしれない」ということと、実は現代も同じであるっていう感覚のバランスがいいのだと思います。

さて、世界は2999年。
塔を中心に広がる、コンピュータがそれとなく支配する世界。
「それとなく」。それは、そこに住む人々がそれをほとんど認識していないから。
世界は内側と外側に広がっていて、果てがどうなってるかは誰もわからない世界。

「人」は、もうロボットになっています。

そして、永久機関のような町の中で、真実を知らずに生きています。
シカは、そんな世界の平均的一般人でした。

気付いてしまうまでは。

新しい僕と、古い僕。
僕が僕で居る為に、僕は君を、
殺してもいいのか?

……入り込むまでは結構大変な世界観ですけど、きっと入り込んだらのめりこみます。
だって私400Pオーバーのこの本、一気に読んだもの。
 
 

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