■この辺のイベントはわりとあっさりと終わってしまったので、どんな事があったか、あんまり記憶が無いのが現状です。
過去イベントが鮮烈過ぎて、割とあっさり終わるような記憶。

■天空城へ (マァル視点)
戻ってきたお父さんは、暫くの間わたしたちを抱きしめたままで、静かに泣いていた。

お父さんが小さい頃住んでいた村は、今はもうないって聞いたことがある。
帰るお家がなくなるって言うのがどういう気持ちか、わたしはよくわからないけど、きっととっても淋しいことだと思う。

お父さんは、さっきまで、なくなっちゃう前の村に行っていたっていった。
そこでおじい様や、小さい頃の自分に逢ってきたって言っていた。おじい様にはお会いしたことがないから、ちょっとどんな感じかわからないけど、でも、久しぶりにお父さんに会う気持ちは分かる。

わたしも、ずっとお父さんに逢いたくて探してたから。
お父さんは、おじい様にあって、きっと物凄く嬉しかったんだろうと思う。
お父さんは、ずっとずっと逢いたかったに違いないもの。

でも、凄く淋しくて辛かったと思う。
お父さんは、この後何が起こるか知っていた。
でも、言えなくって、何も出来なかったって。

お父さん、本当はあの絵の中に、ずっと居たかったんじゃないかしら。
だって、あそこにはなくなっちゃったものが、大事にしてたものが、全部残ってる。

  

お父さんが、ここに帰ってきてくれてよかった。

 
お父さんは泣き止んで、それから大きくため息をついた。
「さ、行こうか。プサンさんが待ってる。……女王様に挨拶してから帰ろう」
お父さんはわたしたちの手を引いてゆっくりと歩き出す。

女王様は、お父さんを見て微笑んだ。
「私たち妖精には時の流れを変えるチカラはありません。でもあの絵に受け入れられたテスならば、きっとそれができるでしょう。さあお行きなさい。ゴールドオーブをあるべき場所へ戻す時が来たのです……」
「色々とありがとうございました」
お父さんが深々と頭を下げたから、わたしやソルも慌ててお辞儀をする。
「空に城が戻り、マスタードラゴン様がお戻りになるのは、私達にとっても願いです。どうかテス、よろしくおねがいしますね」
「はい」


わたしたちは、お城の外に出た。
相変わらず、湖の水面は波が無くて空を映す鏡みたいになっている。その湖を、船で岸まで戻った。
「妖精にオーブはもらえたのか?」
岸で待ってくれていたスラリンが、わたしたちを見上げる。
「うん、勿論。色々あったけど、ちゃんと頂いてきたよ」
お父さんはそういって、皆にゴールドオーブを見せた。
「きれーい!」
ホイミンが目を輝かせる。
「美しいものですね。なんだか物凄い力がありそうです」
ピエールもビックリしたみたいに、オーブを見つめた。
ゲレゲレはオーブを見て、少し鼻を鳴らしただけだった。
「……まあ、ゲレゲレは見慣れてるよね」
お父さんは苦笑して、しっかりとオーブをしまいこんだ。
「さ、プサンさんがまってる水中城に戻ろう」
お父さんは皆を集めて、ルーラを唱えた。

 
天空城は相変わらず水の中にあった。
天井近くを魚がゆっくりと泳いでいく。光は水の中を通って、ゆらゆらと揺れながら床を照らしてる。
「相変わらずだね」
お父さんはあちこち見て苦笑した。
「プサンさん、一人で淋しくないのかな?」
ソルは心配そうにプサンさんが待ってる地下のほうを見る。
「まあ、二十年も洞窟で回ってたような人だから、大丈夫じゃないかな?」
お父さんは肩をすくめた。
「初めてきますけど、キレイなところですねえ。よく見ればなかなか歴史を感じる建物ですし」
サンチョはいろんな所を見て感心してる。
「コレで空に城が浮かんだら、神様も戻ってくるのかしら?」
わたしはお父さんに聞いてみる。
「うーん、戻ってきてくれなきゃ困るんだけどねえ」
お父さんは困ったように笑う。
「きっと戻ってくるよ。神様は帰るお家がなくなってびっくりしちゃってるんだよ」
ソルはそんな風に言って笑った。

 
わたしたちは、プサンさんが待ってくれてる地下の祭壇のところまでやってきた。
「おお! オーブを持って来てくれたのですね!」
ぼんやりと床に座っていたプサンさんは、わたしたちの足音に気づいて顔を上げて、それから嬉しそうに駆け寄ってきてくれた。
「お待たせしました」
お父さんは袋からオーブを出してプサンさんに渡した。
「……」
プサンさんがお父さんの顔を見る。
「……違ってませんよね? これですよね?」
プサンさんが無言だったから、お父さんが恐る恐る聞く。
プサンさんはにこりと笑って頷いた。
「ええ、勿論。……コレを手に入れるのに、テスさんはご苦労なさったようですね。何だかこの前お会いしたときとまた感じが変わりました」
プサンさんはそういうと、手の中のオーブをゆっくりと撫でた。お父さんは苦笑してから頷く。
「ええ、まあ、色々と。辛い事もありましたけど、これでよかったんだろうって思います」
お父さんは何があった、とは言わなかった。
プサンさんもそれに対して頷いただけだった。

「このオーブを台の上にもどして……」
プサンさんはつぶやきながら、ゆっくりと慎重にからっぽの台の上にオーブを置いた。
「さあ、これでいいはずです! 私について来てください」
プサンさんはそういうと、ゆっくりと歩き出す。
わたしたちはお父さんを先頭にプサンさんの後に続いた。
ちょうど、シルバーオーブが置かれてる台との間の辺りまでやってくると、プサンさんは立ち止まってわたしたちを振り返った。
にっこりと笑って、両腕を大きく広げる。
「いよいよこの城がふたたび天空にのぼる時がやってきました! すべてはテスたち皆さんのおかげですね! さあ見ていてください!」

声と共に、お城が一回大きく揺れた。
その振動は暫く続く。
廊下の先にある台の上で、さっき置いたばかりのゴールドオーブと、シルバーオーブがキラキラとキレイな光を放っているのが見えた。
「さあ、浮かびますよ!」
振動が続く。
結構長い間、揺れていたような気がする。

揺れているのが収まった。

窓の外から、キレイな光が入ってきているのが分かった。
「ふむ……。思ったほど高くあがらなかったみたいですね……。まだ全部元通りってわけにも行かないみたいです」
プサンさんは外を見て、お城が浮かんだ高さに少し不満そうな顔をした。
けど、すぐににっこりと笑う。
「まあいいでしょう! いつかもうちょっと浮かぶ事もあるでしょう。あとはあなたたちにおまかせします。水も引いたみたいだし、私は城の様子を見てくることにしましょう。ではまたあとで」
プサンさんは手を振ると、さっさとはしごを上って行ってしまった。

「じゃあ、お言葉に甘えてお城の中を探検しようか」
お父さんはそういって、いたずらっ子みたいな顔をして笑った。


■はい。天空城復活です。
これから色々大変なイベントが目白押しで、今からなんだか憂鬱です(苦笑)

パパス視点による、過去イベントの蛇足部分、割と要望が多いようで正直ビックリしてます。
……忘れないうちに書いちゃおうかな。
でも、なんだか夢を壊しそうで恐いんですよね。
夢、壊してもいいですか?(笑)

 

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索