■おや、次回200回ですか。
……ちょっと予定より遅れてるなあ。200回で妖精の城でのイベント予定だったんだけどなあ。
……むりかなあ、詰め込めばいけるかなあ?

■妖精の城へ (マァル視点)
お父さんはどこに行けばいいのかわからないとか言った後、地図を広げる。
「まあ、ここを冒険したい気持ちもあるけど、後回しね。いつかビアンカちゃんも連れて一緒に来よう。前、ボクがここで冒険した話をしたら、来たがってたし」
お父さんはそう言って、地図を開いて皆で見られるように地面に置いた。
「えーと、山に囲まれてて、森の深いところで、湖があるところに、お城の入り口は隠されてる……らしい」
そう説明して、わたしたちを見渡した。
「……だからそういうのに当てはまる場所をさがしましょう」

わたしたちは地図を見つめる。
世界地図に載るほど大きな湖は、二ヶ所しかない。片方は、ルラフェンの北西にある大きな湖。大きな橋がかかっていて、滝が流れている。
もう片方は、この前登った、昔は天空城に繋がってた塔の北。森に囲まれている。その森はぐるりと岩山で囲まれていた。
「お父さん、ここは?」
わたしは地図の湖を指差す。
お父さんはわたしが指差す場所を覗き込んだ。
「確かに言われた条件に合ってるね。……行ってみよう」


わたしたちはお父さんのルーラで一回グランバニアに戻った。
一日ぐっすり眠って、次の日、わたしたちはグランバニアを出発する。
この前と同じで、絨毯に乗って塔の西にある草原に降り立つ。相変わらず風が涼しく吹き抜けていく。
歩いていくと、この前みた紫の花はもう咲いていなかった。その代わり背の低い白い花が咲き乱れていてとても綺麗。
わたしはお父さんと手をつないで歩く。お父さんは少し遠いところを見ていて、辺りを警戒してくれている。
お父さんの横顔を見てたら、なんだか嬉しい気分になった。
「……どうしたの?」
お父さんはわたしを見て不思議そうな顔をする。
「なんでもないの」
「そう?」
話しながら、時々襲ってくる魔物を倒したりして、わたしたちは歩く。塔についたところで北側に進路をかえると、少しづつ木が増えはじめて、その内深い森に入り込むことになった。
森の木は太くて高い。とても深い森なのに、この前の迷いの森とはちょっと違う気がした。
歩いていくと、急に視界が広がる。
「うわ……」
お父さんが息を呑んで声を失う。その気持ちはわかる気がした。
とても静かで、広い湖が目の前に広がってる。湖には、霧がかかっていてどのくらい広がってるのかわからない。

「……嘘みたい」

綺麗すぎて、神秘的すぎて、見ている景色が嘘なんじゃないかと思った。
「妖精の村も絵本のなかみたいだったけど、ここも絵のなかみたいだね」
ソルは湖をじっと見つめたままつぶやいた。

わたしたちは、ゆっくり歩いて湖に近づく。
よく見ると、湖はとても澄んでいて透明な水は冷たそうだった。
随分深いらしくて、底が見えない。
「さて、真ん中でホルンを吹くわけだけど」
お父さんはそういって辺りをきょろきょろと見渡す。
「どうしようかなあ」
湖には船みたいなものが全然なかった。
「真ん中でホルンを吹かなきゃいけないんだけど」
「パパスさまもそうでしたが坊っちゃんも歌やおどりの才能はさっぱりでしょう? でも妖精のホルンはさすが妖精がつくっただけあって誰でも吹けるそうです。良かったですね」
サンチョの言葉にお父さんは目に見えてがっかりした。
「いや、そういう心配も……まあ、ちょっとはあるけどねえ」
お父さんがため息をついたときだった。
霧の向こう側から、静かに音もなく船が一艘すーっと近寄ってきた。
船には誰も乗っていない。けど、まっすぐわたしたちが居るところにやってくる。

船が波打ち際でとまった。
「……乗れって事、かな?」
お父さんはわたしたちの顔を見る。
「きっと大丈夫だよ」
ソルはそういってお父さんの手を引いて船の方へ行く。わたしとサンチョもそのあとを一緒に歩いた。
「じゃあ、皆はココで待っててね」
お父さんはスラリンたちに言うと、船に乗る。
わたしたちが船に乗り込み終わると、船はまた静かにすーっと動き出す。
暫く船はまっすぐ進んで、やがて静かに止まった。
湖には何にもない。
波はない。
船が進んだあとだけ、水が揺れている。
船のすぐそばには薄いピンクの蓮の花が咲いていて、イイ匂いがする。
「……ココでホルンを吹けって事、かな?」
お父さんが凄く小さな声で言った。
ささやくような声。
確かにこの風景の中で、大きな声を出すのはちょっとイヤかも。全部が壊れてしまいそう。

お父さんはそっとホルンを取り出すと、静かに息を吹き込む。
低い、少し不思議な音があたりに響いた。
お父さんは音楽がさっぱりだめなはずなのに、不思議な旋律が霧の中に響き渡っていく。

風が、ざぁっと吹いた。

霧が、風に押し流されていた。
湖の水面がぴかぴかに光っている。
空が水面に映っていて、湖の中にもお空があるみたい。
とっても綺麗。
わたしたちは呆然とその景色を暫く見つめた。
「……お城だ」
湖に、大きなお城がある。
凄く立派で、とても綺麗。真っ白な壁が、空と湖に映った空を背景にして、凄くくっきりと見える。
船はまた静かに進んで、お城の入り口で止まった。
わたしたちが船からおりても、船は動き出さなかった。このままわたしたちがお城から出てくるまで、ずっと待ってくれるのかも知れない。

お城の中は、とっても綺麗だった。
わたしたちは赤い絨毯を踏みしめながら、まっすぐ進む。
これから妖精の女王様にあえると思うと、すごくワクワクした。


■はーい。次回いよいよ200回です。
……一年の何分の一? いやいやいや、考えたら負けだ……。
というわけで、次回からキャラ人気投票をします☆
セリフ投票にはたくさんの投票有難うございました。あとでまとめてアップしますね。

……で。
200回目はどうやら妖精の城探検で終わりそうです。
例のあのイベントは200回目で記念ぽくなるかな、とかもくろんでいたんですけど。……まあ、予定通りには進まないですから。こんなもんだよね。

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