■そろそろ200回目が近づいてきました。
200回目になったら、とりあえず人気投票をしようかな、とか思ってるんですが。
……。
ビアンカちゃんは復帰してないだろうなあ。不利かなあ?

■澄み切る(テス視点)
「……お腹すいた」
目が覚めて、ベッドに座る。隣にはサンチョ。ボクの手をしっかり握ったまま、ベッドに突っ伏して眠っている。
心の奥のほうが、何だか軽い。
「サンチョ、ありがとう」
ボクは掛け布団を一枚引き剥がすとサンチョにかぶせる。手をつないだままだったから、なかなかうまくいかなかったけど、何とかすることが出来た。
カーテンを締め忘れた窓の外が随分明るい。いったい今、何時なんだろう?
なんだか随分長い時間眠った気がするし、でも体がだるくてそんなに長い時間眠った訳でもないような、なんだか変な感覚。
お腹が随分派手になった。
反射的にお腹を押さえていたら、その音でサンチョが目を覚ましたのかこちらを見た。目が合って、かなり恥ずかしい。
「あぁ、坊っちゃんおはようございます。気分はどうですか?」
サンチョは随分心配そうに、ボクの顔を覗き込む。
「なんだか気持ちが軽くなった。ありがとうね、サンチョ」
笑いかけると、サンチョは少し涙ぐんだ。
「それはようございました」
「ご心配おかけしました」
ボクはサンチョに頭を下げて、それからサンチョの涙を拭いた。
サンチョは嬉しそうに笑うと立ち上がる。
「お食事の用意をしてきますね。あと、水を用意してありますから、飲んでおいてください」
ベッド脇のテーブルを指差して、サンチョはいそいそと部屋を出ていく。
入れ代わりにソルとマァルが走ってやってくる。そのまま勢い付けて、ベッドに飛び乗ってくる。
勢いに負けて、ボクはベッドに倒れこんだ。
二人はそんな事は気にしないでボクに抱きついてくる。力一杯、ぎゅっと。
「お父さんおはよう!」
「もう大丈夫なの?」
「二日も寝たままだから心配だったよ!」
「……え? ボク二日も寝てたの?」
「そーだよ! ねぇもう大丈夫なの?」
ボクは二人を抱き締める。こんなにやさしい子ども達が、ボクには居る。お父さんみたいなサンチョが居る。なんだかすごく、幸せだ。
「もう、大丈夫」
ボクは二人に笑いかける。
「大丈夫。もう平気」
ボクはドアのほうを見る。開け放たれたドアの向こうで、皆が心配そうな顔をしてこっちを見ていた。
そうだ、やさしい仲間が、ボクには沢山居る。

世界はまだ、ボクにやさしい。

ボクは皆に手招きする。
「入ってきていいよ」
声をかけると、皆がゆっくり部屋に入ってきた。
「皆心配かけたね、もう大丈夫だからね」
「本当に?」
スラリンが枕元に飛び乗って尋ねる。ボクはスラリンの体をつついた。
「本当に大丈夫だよ」
「なら、いいけどさ」
ボクは漸く起き上がる。マァルとソルはまだボクの体にしがみついていた。
「水飲みたいんだけど」
言うと、水を汲んで渡してくれる手。
「ありがとう」
「ご無事で何よりです」
ピエールが笑ってた。
ゲレゲレはボクの手に鼻先を押しつける。それをゆっくり撫でた。
皆やさしい。
ボクはまだ、生きていける。まだ、大丈夫だ。

「何事だー? コレ」
ドアの向こうでドリスちゃんの声がした。
「坊っちゃんが目を覚まされたんですよ」
「漸く?」
サンチョの答えにドリスちゃんの呆れたような声。
「サンチョー! お腹すいたー!」
ボクがドアに向かって叫ぶのをみて、皆がきょとんとする。確かに、これまでボクは我儘をこんなにストレートに言ったことがなかったから、びっくりさせたかも。
「今持っていきますよ!」
サンチョの呆れたような声の返事。
ボクは笑う。
何だかとても楽しい気分。
当たり前のいろんな事が、何だかとても新しく感じる。新鮮な気分。
用意してもらった食事をとりながら、ボクは皆をゆっくり見た。
ずっと一緒だったのに、なんだかずっと顔を見ていなかった気がした。
「これからもよろしくね」
笑いかけたら、皆が困ったように顔を見合わせた。
「本当に大丈夫なのか?」
不安そうに顔をのぞかれて、ボクはいよいよ声をたてて笑った。

目が覚めてから一週間がたった。
その間にしっかり食事をして、しっかり睡眠をとって、ずいぶん元気になった。
なんだか心も体も軽くなった気がする。
もちろん、お父さんの事を忘れたわけじゃない。今だって、耳の奥にあの声はこびりついてる。
たぶん、忘れることは一生無いと思うけど。
それでも、前ほど苦しくない。
許されるって、こういうことなのかも。

ボクは空を見上げる。
明るい青い空はどこまでも澄んでいた。

「次に行くところだけどね、サラボナの近くに不思議な森があるって船の人たちが言ってたよ?」
マァルがボクを見上げていう。
「え?」
「お父さんが大変だったから、わたし、出来ることをしなきゃって思ったの。お父さん、前に言ったよね? 周りで調べてから動かなきゃって。サラボナのほうは、船の人たちの出身だって言ってたから」
「マァルは賢いねえ」
マァルは照れたように笑う。
「じゃあ、明日には皆で相談して、なるべく早く出発しようね」
答えると、マァルは暫くボクをじっと見つめていた。
そしてなんだか嬉しそうに笑うと、そのまま部屋を出て行く。

「……なんだろう、今の」
ボクはマァルが出て行ったドアを暫く呆然と見つめて、それ以上考えるのをやめることにした。


■短めになりましたが、これでどん底サルベージ編(今つけた)はオシマイです。
これからは迷いの森へレッツゴー。
少しずつですがちゃんと進んでいるようで一安心です(笑)
早くビアンカちゃんに会いたいです。

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