今日のDQ5(190)
2005年8月21日 今日の「DQ5」■189回を「ね、ボクの事、憎らしいでしょ」というセリフで終わらせたところ、昨日友人に「あんなところで止めるなんて酷い! 心臓が痛い!」と苦情を言われました。
心配いらない、私も心臓痛いから!(意味無い)
■涙 (サンチョ視点)
■……あ、あれ??
おっかしいなあー。もうちょっと進む予定だったんですけどねー。うーん、ナゾだなあ。
というわけでもう一回続きます。
おかしいなあ、予定ではこの騒動終わって次には妖精に会いに行く予定だったのにー。
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心配いらない、私も心臓痛いから!(意味無い)
■涙 (サンチョ視点)
「違います! 違います! 何を言っているんですか!」
私はありったけの力をこめて坊っちゃんの肩を揺さぶり、大声をあげた。
がくがくと、されるがまま首を前後にふり、坊っちゃんはぼんやりと私を見る。
私はもう一度繰り返す。
「違います、憎いんじゃありません、悲しいんです」
私は坊っちゃんを見つめる。ますますわからないような、不思議そうな顔をして。
「どうしてそんなことを言うんです」
私はじっと坊っちゃんの瞳を見つめた。
「ねえ、考えてみて下さい、坊っちゃん、例えば、例えばですよ? ソル様やマァル様が、魔物に人質にされたら、坊っちゃんはソル様やマァル様を見捨てますか?」
「……そんな事、しない。ボクの命で二人が助かるなら、ボクは……」
「でしょう? ソル様やマァル様が、居なくなったとして、ビアンカちゃんがいれば、替わりのお子さまが生まれるとでも?」
「そんな事、ないよ。ソルもマァルも、替わりなんて居ないよ」
私は坊っちゃんにほほえむ。
「でしょう? どうしてそれが判るのに、だんな様にとっての坊っちゃんが、同じだとは思えないんですか?」
坊っちゃんはじっと私を見返し、やがて口をひらく。
「同じじゃな……」
なお否定しようとする坊っちゃんを遮って、私は続ける。
「同じじゃないとは言わせません。だんな様にとって、坊っちゃんは何よりも大切な宝物でした。いつだってお側に連れて、離そうとしなかったでしょう?」
「でも」
「確かに、グランバニアの民は、パパス様のお帰りをずっと待っておりました。だんな様は皆に愛されていました。けど、そんなだんな様が、唯一命をかけていい、そう思った存在が坊っちゃんなんですよ? だから、だんな様はためらいなく坊っちゃんを守ったんです。命をかけて。惜しくなかったんです、坊っちゃんの命の前では、自分の命は惜しくなかったんですよ」
坊っちゃんの眼が、見開かれる。驚いたように。
「だから、だんな様の愛した坊っちゃん自身を、もう許してあげてください。好きになってあげてください。ご自分を、これ以上傷つけないでください。だんな様だって、こんなに苦しむ坊っちゃんを、きっと辛い思いで見ておいでです」
坊っちゃんは何か言いたそうに口を開きかけ、でも言葉にならなかったのか、すぐに口を閉じた。
「だんな様は、愛する者のために命をかける事が出来る方だった。そして、坊っちゃんはそうさせるだけの価値がある人なんです」
坊っちゃんの、見開いた瞳に涙が溜まりはじめる。
まるで子どものように。
透明な、涙。
「お父さんは」
擦れた小さな声。
坊っちゃんは呟くように私に尋ねた。
「お父さんは、ボクの事、恨んでないのかな?」
「当然です」
私はすぐさま大きくうなずく。
そして同時に理解する。
これが。
「自分を恨んでいるんじゃないのか」という思いが、坊っちゃんの不安の、悲しみの、苦しみの根源だ。
だんな様に嫌われたという思いが、ずっと心の奥に染み付いてしまっていたのだ。
坊っちゃんは、この冷たい感覚と、ずっと一人で付き合ってきた。
誰にも言わず。
ビアンカちゃんと結婚して漸く癒えかけていた心は、彼女がさらわれた事で再び傷つき、ソル様やマァル様と居ることで立ち直りかけていた心は、だんな様の死を突き付けられる事でまた傷ついて。
『大切な人を守れない』
その思いだけが、積もっていって。
もしかしたら、坊っちゃんは、誰かと居るときもずっと孤独だったんじゃないだろうか?
坊っちゃんは涙が溜まった瞳で、私をじっと見る。
「お父さんは、怒ってないの? ボクの事……憎んでないの?」
「勿論です。憎んだり、怒ったり、嫌ったりしません。それどころか、ソル様とマァル様をしっかり守って、ビアンカちゃんを探す旅をして、家族を元に戻そうと必死に戦ってる坊っちゃんを誇りに思っているに違いありません。きっと天国で、坊っちゃんの事自慢してまわってます」
坊っちゃんの瞳から、大粒の涙が落ちた。
息を吐くたび次々と涙が零れていく。
「……お父さん……」
あとはつづかなかった。
大きな声で、子どものように泣く。わんわんと、大きく口を開け、上を向いて。私がここに居る事すら、忘れたような大きな泣き声。
私は坊っちゃんを抱き締める。頭を撫で、背中を軽く、あやすようにたたく。
「坊っちゃん、もう、いいんですよ。泣いてもいいんです」
坊っちゃんは泣きながら、私の背に腕を回した。すがるように服をつかみ、ただひたすら泣き続ける。
幼い頃泣けなくなり、それ以来涙を忘れていた坊っちゃんが、今日までの涙を一気に流している。
必死に。
泣く。
泣いて、泣いて、その涙で心の奥に溜まった辛さや、痛みや、淋しさや、苦しみで出来た、澱みのようなものを。全部洗い流してしまえばいい。
乾き切った心に水をあげて、今まで以上に、強く、やさしく。
無理や我慢をしないで。
坊っちゃんはずっと泣き続けた。
子どものような泣き声はいつしかおさまり、声をおさえるようになったが、それでも泣き続けた。
随分長い時間、ひたすら涙を流し続け、漸く泣き止む。
眼や鼻が赤く、涙でぐしゃぐしゃの顔のまま、坊っちゃんが私を見る。
呆然としたような、顔。
息を長く吐く。
「ごめん」
「何故謝るんですか? 謝る事なんて何もないでしょう?」
私は坊っちゃんの頭を撫でる。
「泣いてお疲れになったでしょう? 少しお眠りになったほうがいいですよ」
声を掛けると、坊っちゃんは頷いてふらふらとベッドに近寄っていく。
「何か飲み物をお持ちしましょうか?」
坊っちゃんは横になりながら、首を左右に振った。
「いいから、ここにいて」
坊っちゃんは私の手をしっかり握って、そのまま眼を閉じる。
すぐに寝息を立て始める。
私はあいている手で坊っちゃんの頭をそっと撫でる。
「ゆっくりおやすみなさいね」
■……あ、あれ??
おっかしいなあー。もうちょっと進む予定だったんですけどねー。うーん、ナゾだなあ。
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おかしいなあ、予定ではこの騒動終わって次には妖精に会いに行く予定だったのにー。
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