■大暴挙!
ドリス視点で本日はお送りいたします(笑)
おーおー、もうやりたい放題だな私!(笑)
寄り道だからって気を抜きすぎだ私!

■寄り道 2 (ドリス視点)
「居たかも知れないけど、今は居ないんじゃないか?」
あたしは暫く考えてからそう答える。テスは向かい側で組んだ手の上にアゴを乗せて、あたしの方をじっと見つめてた。
真っ黒な瞳が、じーっとコッチを見てる。
この瞳がなあ。あたしは困っちゃうわけだ。
好奇心にキラキラしてて、純粋そうで、実のところ凄く計算高い。軽く相手をしてると足元をすくわれる。そんな曲者な瞳。

好きな、瞳。
絶対手が届かないところにある、秘密の宝物みたいな。

「居ない理由は?」
テスは少し眉を寄せて、不満そうに言う。
「だって、神様居たら落ちないだろう、城」
「あー、それはそうかも。ドリスちゃん頭いいなあ」
「……何か馬鹿にしてるだろ」
「してないしてない」
そういって声をあげて笑って、それからテスは紅茶を飲んだ。
「これ、ありがとうね、頼んでくれて」
「水分とらなきゃ干からびて死ぬぞ」
「これからは気をつけるよ」

「で? その洞窟は何処にあるの?」

「いきなり話戻すなよ」
「ついてこられる人じゃなきゃこんな話し方はしないよ」
そういってテスはにやっと笑った。
「ドリスちゃんは頭がいいからさ、ついてこられるでしょ?」
「確信犯かよ」
「知ってるでしょう?」
にやっと笑って、奴は大きく伸びをして見せた。

テスは。
時々あたしを試すようなことをする。
多分。
このひとは、あたしの気持ちなんてお見通しなんだろうな、と思う。
知らない振りして、時々からかって、それで突き放す。

たった3つしか年上じゃないのに、もっとずっと歳が離れてる気がすることもある。

「テステスはずるい」
「今更何?」

あたしは大きくため息をつくと、とりあえず地図を広げる。
「えーとな、ココ」
指差すのはグランバニアから随分北のほうにある、湖の辺りを指差す。
「このあたり。湖が周りを囲んでて、真ん中に小さな島みたいになった場所があって、そこに洞窟があるらしい。入り口までは地面が繋いでるらしいから、本当の所は島じゃないんだろうけど。その入り口の前には大きな岩がいくつか転がっていて、中はどうなっているか確認は出来なかったそうだ」
「へー」
「岩には土が積もってるところもあって、そこには草が生えてたりするし、コケなんかもついてたらしいから、岩が入り口を閉じたのはそんなに最近でもないだろうって事だ」
「なるほどね。ココならそんなに遠くでもないし、冬がおわったらすぐ行ってみようかな」
「冬の間にこの仕事終わるのか?」
あたしは机に山積みになっている書類に目を落とす。
「次々増えるだろう?」
テスは笑って答える。
「春になったら終わって無くても出かけるよ」
「無責任な」
「今に始まったことじゃないし。オジロン様のほうが実際国王に向いてると思うよ、ボクは。だから任せていっていられるんだよ」
「伝えとくよ」
「それにさ、石になってるとね、時間感覚はないけど、どんどん考えが厭な方向へ向かっていくんだよ。心が死んだら、多分石から戻れなかったんじゃないかなって、今は思うんだよね」
そういって、テスは左手の薬指にある、オレンジの石のついた指輪をじっと見た。
「早く行って助けないと、取り返しのつかないことになりそうで、怖いんだよ。春までは、我慢するけど」
「我慢できるわけ?」
「無理やりね。イライラしてるって言ってるでしょ?」
そういって、力なく笑って。

「でも、無理に旅をして、ソルやマァルに何かあったら、それも厭だ。だから、まだ大丈夫って信じるしかない。ビアンカちゃんは、まだ戦ってくれてるって。絶望しないで居てくれるって。信じてる」
最後のほうは、かすれた声で言って。
「ボクの好きな人はね、そういう人」
そういって、目を閉じた。

「ノロケかよ」
「ノロケだよ」
テスは少し力なく笑って、それから大きくため息をついた。

「あたし、そろそろ部屋に戻るな。マァルが遊びに来てるかも知れない」
「お世話かけます」
テスは片手を挙げて笑って見せた。
いつもどおりに。
「あーあー、取りあえず二人にはさっきのノロケを5割り増しくらいで伝えとくよ」
「5割も増したらそれはウソって事になるよ」
「多少の誤差みたいなもんだ」
あたしは立ち上がって、ドアに向かう。
ドアを開けたところで、思い出して振り返る。

「なあ、テステスは石になってたとき、絶望したのか?」

テスは暫くあたしをじっと見た後、少し目をそらして、それから頷いた。
「マァルが杖を使ってくれるのが、あと半日遅かったら、ボクはここにいないんじゃないかな?」
何でもなさそうに、怖いことを言う。
「ウソだろ?」
「本当」
ニコニコ笑って言うから、本当なのかウソなのか、いまいち解り辛いんだけど。

多分、本当の事を言ってるんだろうなって、直感的に思った。

「無事でよかったよ」
「ありがとう」

あたしは部屋から出て、暫く歩いたところで座り込む。
無事に帰ってきてくれてよかった。
ビアンカ様は大丈夫なんだろうか。
いろんなことが頭をよぎる。

とりあえず、とても疲れた。
部屋に戻ったら、少し眠ろう。


■ドリスちゃんはですね、イトコ殿を好いてます。
多分これまでの流れで気付かれていたでしょうが(苦笑)
テっちゃんも、何と無くその好意に気付いてます。
でも放置。
厭な男です(笑)
気付かない振りしてます。

まあ、そんなかんじで。

ドリスちゃんはテっちゃんの3つ下という設定にしました。
ビアンカちゃんとは5つ違い。

まあ、そんな設定どうでも良いですね、そうですね。

次回くらいからは洞窟探検へ。

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