■しばらくちょっとゲーム内容から脱線します。

■寄り道 1 (テス視点)
塔をでたボク達は、一度グランバニアに帰ることにした。
塔の上でであった天空人の男の人は『それでも天空城へ行きたいと言うなら、そこのマグマの杖を持ってゆくがよい。その杖を使えば、洞窟をふさぐ岩をもどかすことができようぞ!』なんて言ってマグマの杖をくれたけど、コレをどこで使うのか全く心当たりが無かったから。
冬も近いし、一度戻ってゆっくりして色々調べごとをしたり、溜まってる仕事を片付けて、春になったらまた旅に出よう、という事にした。
 
 

実はソルもマァルも旅を中断する事にあまり賛成しなかった。
「お母さんを見つけるのが遅くなっちゃうよ?」
とソルは言った。
「それはもっともなんだけど、だからと言って冬場に無理な旅をしてソルやマァルに何かあったら、それこそ、ビアンカちゃんに合わす顔が無いよ」
ボクが答えると、今度はマァルが「早くお母さんに会いたくないの?」なんて言って眉を寄せる。
「会いたいよ。一刻も早く会いたい。けど、焦る事と急ぐ事はイコールじゃないよ。さっきも言ったけど、無茶をして怪我でもしたら結局旅は遅くなるしね」
「怪我しなきゃいいんでしょ?」
「だから行こうよ」
二人はまだ食い下がる。
「……どこへ?」
ボクが聞き返すと、二人は黙ってしまう。
「ほらね? 行き先も決まってないのに動いたって、いい結果が得られるとは思えない。一度グランバニアに戻ってみようよ」
「お父さんこそ、グランバニアに戻ってどうするつもり?」
二人は少しにらむようにボクをまっすぐ見上げる。
「グランバニアにはお父さ……お爺様が助けた天空人の女の人が居たでしょ? その人に話を聞いてみるつもり。それと、ボクやビアンカちゃんを探すために、兵士たちが世界中を旅してくれたでしょ? エルヘブンだってその時見つけてもらったよね? つまり、岩にふさがれた洞窟を見たことがある兵士がいるかもしれない。調べごとってね、そういう手がかりから地道に確認したほうが結局早いの。手当たり次第にやってみるのは、最後の手段だよ」
ボクが答えると、二人は少し黙って、それから頷いた。
「分かった。お父さんの言ってることのほうがいい気がする」
「冬が終わったら、すぐにまた旅に出るって約束してくれる?」
「ソレは勿論」
「じゃあ、お父さんの言うとおりにします」

 
そういうわけで、ボクらはグランバニアに居る。
帰った次の日にはもう初雪がうっすらと積もって、これからどんどんこの国は雪に覆われて白くなっていく。
『岩に囲まれて入れなくなっている洞窟に心当たりがある者は、情報を寄せるように』という事をオジロン様に仕事として押し付けて、ボクはボクで積み上げられていた書類に目を通す日々が続いている。
天空人の女の人の所へは、ソルとマァルが連日通っているみたいだけど、今のところ芳しい成果は挙げていないらしい。
ボクも暇を見つけては何度か話をしにいっているけど、時折返事をしてくれるだけで、会話はあまり続かなかった。

 
「ソルもマァルも退屈そうだぞ? 相手してやったらどうだ?」
「あのねえ、ドリスちゃん。ノックもなしにドア開けて一番最初に言うのがソレ?」
ボクは書類からドリスちゃんに視線を移してから答える。
ドリスちゃんは部屋をつかつかと横切って、テーブルの正面に立った。
「それにねえ、ちゃんと二人とも遊んでるよ」
「いつ」
「夜」
「それじゃ駄目だ」
ドリスちゃんはテーブルに両手をばんっと叩きつける。
「だったらオジロン様に休みくれるように掛け合って頂戴」
ボクは手元の書類に判子を押して、それから大きく伸びをする。
「判子くらい誰だって押せるでしょ。ドリスちゃんやっといてよ」
「一番偉い奴が承認しなきゃいけない書類にあたしが判子押せるわけないだろ」
ドリスちゃんは呆れたように言うと、向こうから椅子を持ってきて、ボクの正面に座った。
「で? ビアンカ様の手がかりはつかめたのか?」
「つかめてたらこんなにイライラしてないよ」
「……イライラしてるようには見えないが」
「そんなはっきり表情読み取られるようには出来てないの、ボクは」
暫くそんな話をしていたら、紅茶が出てきた。多分ドリスちゃんがここに来る前に頼んでおいてくれたんだろう。
「で? 本当は何の用?」
尋ねると、ドリスちゃんは笑った。
「テステスは相変わらずだな」
「だからその犬みたいな呼び方やめてよね。名前で呼ぶのが嫌なら、最初みたいにイトコ殿とか、そんなんでいいから」
「テステスがあたしを『ちゃん付け』で呼ぶのをやめたら考えてやる」
「考えるだけ?」
「考えるだけ。もう慣れたしな、この呼び方に」
「ボクもちゃん付けに慣れたから。直らないと思うよ」

「パパのところに情報が来た」
ドリスちゃんは舌をやけどしないように、慎重に紅茶を口に運ぶ。
「岩で入り口がふさがった洞窟、見たことのある兵士が出てきた」
「本当に?」
「ぬか喜びさせるためにわざわざ来るか」
ドリスちゃんは呆れた声で言うと、肩をすくめて「やれやれ」とつぶやいた。
「かわりにあたしが伝えに来たんだが、一つ聞いていいか?」
「聞くのは勝手だけど、答えるかどうかは内容によるよ?」
「ビアンカ様の手がかりはつかめてないんだったよな? じゃあ、その洞窟には何をしに行くんだ?」
ボクは紅茶を置いて、ドリスちゃんを見る。
ドリスちゃんは真っ直ぐに見返してきた。
「……そういえば何のために行くんだろう?」
「ひっぱたくぞ」
ドリスちゃんは顔を引きつらせて低い声で言う。
「ねえ、ドリスちゃん。こんな話聞いたことない? 『神様が住んでいた空に浮かぶお城は、昔地上に落ちてしまった』っていうの」
「あー、何か昔話かなんかで聞いたことがあるような、ないような……」
「ボクらね、この前より道した塔で、天空人の幽霊にあったんだよね」
「お前話跳びすぎだぞ?」
「その天空人のいう事には、本当に天空城は落ちたらしいよ。その場所へ行くためには、岩で入り口がふさがった洞窟に行かなきゃならないんだって」
その話を聞いて、ドリスちゃんは暫く胡散臭そうにボクを見つめた後、大きくため息をついた。
「で? その落ちた城に行ってお前何するつもり?」

「神様にビアンカちゃんの居所を聞こうかと思って」

「正気かよ」
ドリスちゃんはため息をついた。
「あのね、ボクはね、神様って居ると思うんだけど、ドリスちゃんは?」
尋ねると、ドリスちゃんはますます大きくため息をついた。


■ゲームではこの辺ってなんか一直線で、次はどこへ行けとか言われちゃうじゃないですか。でもソレってビアンカ探しとかと全然関係ないことですよね? だからわざわざ天空城とかへ行く理由を考えてみたらこうなりました。
どうせなら自主的に行ってほしいなと。
ので、あと2〜3回脱線して理由付けをしたいと思います。
ま、もうプレイ日記じゃなくなって久しいし、いいよね。

個人的にはドリスちゃんを書けて楽しいし。

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