■100回記念でやった人気投票では、魔物の中ではピエールがダントツの1位でした。
なのに、顔を合わせて言われるのは
「ホイミン可愛い」
「スラリン可愛い」
の二つだけです。
……なんかこの、微妙に納得できない気分をどうしたらいいのでしょう?(笑)
そして魔物ちゃん達の出番が随分減ってます。あわわ。
洞窟とか連れて行くのもピエールだけだしなあ、どうしようねえ。

……私の能力では、同時に喋れるのは3人までです。
登場人物多すぎ……。

■サラボナ 8 (テス視点)
次の朝、ボクらはこれからのために旅の準備を色々この街ですることにした。
「そろそろ保存食もなくなりますからね、私が買いにいってまいります。坊っちゃんはルドマンさんやフローラさんたちにご挨拶に行って来てください。くれぐれも失礼のないようにおねがいしますね!」
サンチョはそんな念押しをしてから、宿を出て行った。
ボクはそっとため息をついてから、子ども達を起こしに行く。いつもはボクのほうが起こされるけど、さすがに昨日の戦闘と、そのあと続いた宴会のせいで疲れているんだろう。

「朝だよ、起きて」
二人に声をかけて、ボクはカーテンをあける。
秋の少し優しい光が部屋の中まで入り込んできた。
「うー」
ソルが不満そうに声を上げながらも、目をこすって起き上がる。
「もう朝?」
「もう朝」
ボクは笑いながら答える。「朝ごはん、サンチョと先に済ませちゃった。ごめん」
「いいよー、別にー」
ソルは隣のマァルを揺さぶって起こした。
「朝なの?」
「朝だよ」
二人ともまだ眠そうだった。
「朝ごはんを食べたら、ルドマンさんとフローラさんたちに挨拶に行くよ。サンチョは旅の準備に先に行ってる。次に行くところは決まってるから」
ボクが言うと、二人は着替えていた手を止めてこっちを見た。
「え? もう決まってるの? 今度はどこ?」
マァルは目を輝かせる。
「ぼく、魔法の絨毯乗りたい!」
ソルも目を輝かせた。
「うん、魔法の絨毯にも乗るよ、さ、着替えて」

着替えを終わらせ、二人の朝ごはんに付きあう。
サラダと目玉焼きと、パンという簡単な食事だった。ボクは一緒に席についてお茶を貰って飲んだ。
「えーとね」
地図を汚さないようにテーブルの上の料理から少し離したところに広げる。
「ここ」
ちょうど地図の真ん中辺りにある、大きな大地を指差した。確かここはどこの国にも属していない。そして「大陸」というには狭すぎて、でも「島」というには大きすぎる。
北側は険しく高い岩山が連なっていて、普通の手段ではそこへいけないだろう。ここに、セントベレス山がある。
……光の教団の、神殿が建てられている。

ボクは一回大きく深呼吸した。
そして心の奥から湧き上がってくる気持ちを遮断する。
向かい合いたくない。まだ、向かい合えない。
あれは「大昔」の話なのかもしれないけど、でも、人生の大半を占めている、恐怖。
意識して、笑顔を作る。子ども達を不安にさせるわけにはいかない。

「ええとね、この南側」
南側は平たい大地が広がっていた。
「随分前、博物館のあたりを航海してるときに、ここに塔が立っているのが見えたんだ。船長たちに言わせると随分昔から建ってるって話なんだけど。でも、船ではいけないんだ。この島には上陸できるんだけど、塔があるところまでに広い川があって、結構流れが急で渡れなかったんだよ。今なら、絨毯で飛び越せる」
ボクは地図をしまった。
「エルヘブンでどこかに空に続く塔があるって噂を聞いたんだけど、ソレがどこにあるか分からないんだから、とりあえずコレまでいけなかったところに行ってみようよ」
ボクが言うと、ソルが手をあげた。
「面白そーう! ぼく、絨毯に乗れるならどこでもいいよ」
「……塔って高いのよね? あああ」
高いところが苦手なマァルは少し憂鬱そうにため息をついた。
「けど、行きます。お父さんはわたしをどこにでも連れて行ってくれて嬉しいの」
マァルが笑う。
「じゃあ、決まりだ。ルドマンさんたちにご挨拶に行こう」

 
ボクらは、旅装束にしっかりと身を包んで、ルドマンさんの家に向かった。
「おお、もう旅立つのかね?」
ルドマンさんは残念そうに言う。
「もっと長居してもらいたいんだが、そうも言っておれんのだよな」
「ええ」
ボクが頷くと、ルドマンさんは名残惜しそうにボクと握手した。
「今回は本当にありがとう。テスが来てくれてよかったよ。勿論、ソルやマァル、そのほか君の仲間達。お礼を言っておいておくれ」
「勿論です」
「ビアンカさんも母上も早く見つかると良いな。私もここから祈っているよ」
「ありがとうございます」
ボクは頭を下げ、ルドマンさんに別れを告げた。

次にフローラさんの家を訪ねる。
二人は庭で花の世話をしているところだった。
「こんにちは」
声をかけると、二人がこちらをみて立ち上がった。
「今回はありがとうございました。それにしても、150年前の魔物とは……。きっと魔物にとっては数日くらいの時間だったのでしょう。だからルドルフおじいさんが既に居ないなんてわからなかったんでしょうね」
アンディ君は少し悲しい話だ、とつぶやいた。
「お父さまを、そして町をすくっていただいて本当にありがとうございます。テスさんの旅のご無事を心からお祈りいたしますわ」
フローラさんが一度深くお辞儀をする。
「きっと、ビアンカさんもお母様も見つかりますわ。私、毎日お祈りします」
「ありがとう」
ボクは二人と握手した。
「それじゃ、もう行きますね。また近くに寄ったらお邪魔します」
「ええ、ぜひ」

ボクはフローラさんたちと別れの挨拶をして、家を後にする。
「あ」
マァルが声を上げて、「ちょっと待ってて」というとフローラさんのところへ走り寄っていった。そしてフローラさんにしゃがんで貰って、その耳元に何か色々言ってるようだった。
「まあ」
フローラさんはそんな声を上げて、顔を赤らめてクスクス笑っている。
マァルはそんなフローラさんに手を振って、こちらに戻ってきた。
「一体何言ったの?」
マァルはにこーっと笑って、「女の子の秘密なの」とだけ言った。

「あ、そう……」
ボクは呆気に取られて、あとは苦笑するしかなかった。

 
■本日でサラボナ編終了です。予定より長いです。
何喧嘩してんだよこの父娘!(笑)て感じです。
次回からは「天空の塔」ですね。……地図、不安。

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