今日のDQ5(160)
2005年7月1日 今日の「DQ5」■今日のは軽く読み飛ばしてください。
……恥ずかしいんで。
■エルヘブン 5 (テス視点)
■何の進展もなく1回が終わってしまいました。
惚気で……。
期待されてねっつの(笑)
なぜこんな事に……。テっちゃんも後悔してるに違いない。
すっかり忘れてたダンカンさんに会いに、サラボナ方面へ行ってきます。
でもその前に魔法の絨毯。
……恥ずかしいんで。
■エルヘブン 5 (テス視点)
ボクがベッドに腰掛けるとマァルは右隣に、ソルは左隣に座って、それぞれが期待にみちたまなざしでボクを見上げた。
サンチョも向こうのほうで、かなり興味のある顔をこちらに向けている。
「……あの、さ。本当に期待してもらっても特別な事なんて何もないよ? お父さん達みたいに駆け落ちしたわけでもないし」
ボクは皆の視線から逃れるようにうつむいて、ぼそぼそとそんな事を言った。
「お父さんはお母さんのどこを好きになっちゃったの? 好きになっちゃったらしょうがないんでしょ?」
ソルが首を傾げる。
「お母さんとはどこで会ったの? お母さんとどんな所へ行ったの? 手とかつないだ?」
二人とも急かすようにどんどん質問をあげていく。
「いや、ホント普通だから」
ボクが投げやり気味に答えると、マァルは頬を膨らます。
「ちゃんと答えてよ! わたしはお母さんの事を、お父さんから教えて貰いたいの!」
「……だったら何もそんな出会いとかじゃなくてイイでしょう?」
ボクがそういうと、マァルは頬を膨らませたままボクをにらんだ。そして
「お父さん、もしかしてお母さんの事嫌い?」
ボソリと、そんな事を言う。
「いや、ソレはないよ」
ボクが即答すると、マァルは安心したのかにこりと笑い、それから「じゃあ教えて?」と先を促した。
……。この子、しっかりしてる。
「お母さんと……ビアンカちゃんと再会したのは、サラボナから北に行った名前もないような山奥の村。温泉が湧いててのんびりした良い村だよ。ちょうど今のソルやマァルと同じくらいの歳の頃別れたきりだったから、久しぶりに会って……」
そこでボクは暫く息を止めて、目をつぶる。
今だって鮮明に覚えてる。
久しぶりに会った、ビアンカちゃんの姿。
「凄く綺麗になっててビックリした」
言葉にすると、顔がほてってくるのが良くわかる。
ソルとマァルがお互い顔を見合わせて、きゃーだのわーだの言って喜んでる。サンチョが向こうでにこにこ笑った。
「ちょうどその頃、ボクちょっと……」
フローラさんの事を言いかけて、慌てて話を止める。
「ちょっと?」
聡いマァルはすぐに聞きかえす。
「ちょっと色々立て込んでて気持ちも弱ってたから、逢えてとても嬉しかったよ」
慌てて路線変更したけど、気づかれなかったらしい、マァルはにこにこと笑った。
「ソレでまあ、ええと」
フローラさんやルドマンさんのことを言わないで説明するのはなかなか難しい。一体どうやって説明するやら……。
ボクは暫く考えて、それから言葉を続ける。
「探し物をしてるときだったから、それを探すのを手伝って貰って、まあ、その時初めて手をつないだよ。……その時かな」
ボクはベッドから勢いをつけて立ち上がる。
皆の視線は相変わらずボクに向けられている。
恥ずかしいったらない。
少し落ち着くために部屋をうろうろと歩いて、それから窓の外を見た。
いつもより沢山の星が、空にばら撒かれているのが見える。
「その時、これからもずっと一緒に居られたらいいなあって、思った」
ボクは何とかそれだけ搾り出すと、そのまま窓にこつんと額をつける。ガラスは冷たくて火照った顔にちょうど良かった。
「え? じゃあいつから好きだったの?」
ソルが無邪気に問いかける。
まだ続くのコレ? 勘弁して……。
「……ボクはその、そういうの鈍かったから全然自覚してなかったんだけど、ヘンリー君に言わせると小さい頃からずっと『ビアンカちゃんビアンカちゃん』って言ってたらしくって、つまり小さい頃からずっと好きだったらしいよ?」
「何で他人事みたいに言うんですか?」
サンチョが苦笑する。
「いや、ホント全然自覚なかったんだもん」
「坊っちゃんは小さい頃はビアンカちゃんに振り回されてましたもんね。何回か泣かされてるのに、それでもくっついていってましたっけ」
「そんなの覚えてない」
「ずっとお小さいころですよ。船旅よりも前の頃ですから、覚えてなくても無理はないですかね」
サンチョは少し懐かしむような瞳で言うと、笑った。
「確かに小さい頃は怒られてばっかりだったけどさ。でもソレってあんまり大きくなっても変わらなかったというか……」
ぼそぼそというと、サンチョはついに声を上げて笑った。
「じゃあ、お父さんはお母さんと大きくなって手をつなぐまで、好きだって思わなかったの?」
マァルが首を傾げる。
「……ビアンカちゃんを好きだって、自覚したのは……再会した日だよ。自覚したのかな? あれって。どっちかって言うと再会したときに一目ぼれしたって言うか……」
ソコまで言って、ボクは大きく息を吐く。
「も、ここまで。これ以上は恥ずかしい。勘弁して」
「えー、もっと聞きたいのに!」
ソルもマァルも頬を膨らませる。
「秘密」
ボクは即答する。
だってこの先って、妊娠してたの気づかなくて山道登らせたとか、砂漠横断させたとか、二回倒れさせたとか、まんまと誘拐されたとか、気が滅入る話ばっかりだ。
「秘密ったら、秘密」
ボクが何度もそういうから、さすがに二人は諦めたらしい。
「そんなに言いたくないなら別にいいよ、ピエールに聞くから」
「ピエールってそういう話してくれるかしら? スラリンのほうがいいかもしれないよ?」
ソルとマァルはそんな事を言い合う。
「でさ」
ボクは続ける。
「今の話をしてて気づいたんだけど、フツルさんに石を加工して貰ったら、山奥の村に行こう。ソルもマァルも、ダンカンさんに……ええと、ビアンカちゃんのお父さん。おじいちゃんに会ったことってないでしょ?」
本当はもっと早くに行くべきだったんだ。
けど、ビアンカちゃんをさらわれた状況で、会いに行くのが恐かったから、気づかない振りをしてた。
考えてみたら、ダンカンさんはビアンカちゃんに起こった事もしらないし、ソルやマァルといった孫が居る事も知らないわけで。
……随分親不孝な事をしてしまってる。
「おじい様に逢えるの?」
ソルが目を輝かせる。
「逢いたい!」
マァルも嬉しそうに笑う。
「ダンカンさんに逢えるのなら、私も行きたいですね」
サンチョも笑顔だった。
「色々話さなければいけない事もありますし」
「じゃあ、決まり。ここでやる事が全部終わったら、山奥の村に行こう」
「魔法の絨毯探すんだよね! あと、魔法の鍵!」
「宝石も作ってもらって、オルゴールにはめるんでしょう?」
嬉しそうに指を折りながら、次々とすることを挙げる。
「そう。だから明日は大変だよ? もう寝ましょう」
ボクがいうと、二人ともお行儀良く返事をした。
「坊っちゃん。お休み前には歯みがきとトイレに行くのを忘れずに! 父親は子供たちのお手本なんです。ビシッとしてくださいねっ」
「……ソレを目の前で言っちゃ、何にもなんないよサンチョ」
ボクは抗議して、それから子ども達とちゃんと歯を磨いてから眠りについた。
■何の進展もなく1回が終わってしまいました。
惚気で……。
期待されてねっつの(笑)
なぜこんな事に……。テっちゃんも後悔してるに違いない。
すっかり忘れてたダンカンさんに会いに、サラボナ方面へ行ってきます。
でもその前に魔法の絨毯。
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