■「ドラクエモンスターズやろうかなあ?」といったら、弟に
「は? 今更?」
と馬鹿にされた今日この頃。
そろそろ新しいアプリゲームがほしいのです。
いや、DQ1二回目まだクリアしてませんけど。

 
■エルヘブン 3 (テス視点)
「祈りの塔」は、本当に村の頂上にたっていた。
真っ白な壁と、いろんな色を内包したような不思議な深い青の屋根を持っている。
入り口近くには、のんびりした神秘的な村には似つかわしくない、武装した門番が二人、しっかりと前を見据えてたっている。
走っていって先についていたソルとマァルは、その門番の前でどうすることも出来ずに立ち止まったまま、ボクとサンチョがたどり着くのを待っていた。
「お父さん、遅い!」
ソルもマァルも頬を膨らませて、不満そうだ。
「ごめんごめん」
ボクは苦笑しながら二人に謝り、それから門番に頭を下げた。
「マーサ様が……母がこちらに居た事があると伺いました。もし、どなたか母の事をご存知の方がまだこちらに居られたら、お会いしたいのですが」
ボクが精一杯の笑顔を浮かべて言うと、門番達は二人とも深々とお辞儀をした。
「お帰りなさいませ」
彼らはそういうとボクをじっと見る。ボクはお帰りなさい、なんていわれて少しビックリしてしまった。
「貴方が来るのは、予言されておりました」
「我々エルヘブンの民は神に選ばれし民族。かつては魔界に通じる大きな能力を持っていたといわれています。しかしその能力も、今では長老たちがわずかに有するのみ。ただ、かつてこの村にいたマーサ様は偉大な能力の持ち主だったとか……」
「そのマーサ様のお子様がこちらへいらっしゃるのは運命でした。長老達がお待ちです。どうぞ」
ボクは面食らったまま、門番達に案内されて塔の中へ入った。
 
 
塔の中は少し薄暗かった。
壁にはあちこちに蝋燭が置かれ、ゆらゆらと揺れる明かりが妙に神秘的だった。
壁も床も青い石で出来ていて、床には不思議な模様が白い石で描かれていた。
随分高い吹き抜けになっていて、天井が随分上のほうにある。
壁をぐるりと回るように階段が付いているから、塔全部が吹き抜けになっているわけではなさそうだった。

塔の中には、深々と黒っぽい青のフードを目深に被った人たちが四人、お互い向かい合うように円を描いて座っていた。どうやらこの人たちが、さっき門番が言っていた長老なんだろう。
どこからか光が入ってきているのか、その円の中心だけが少し明るい。
「あの……」
ボクが声をかけると、誰からともなく、フードの人たちが話し始めた。

「よくぞ来ました。大いなるマーサの子テスとその仲間たちよ。そなたの来ることはわかっていました。かつてはマーサを連れ出したパパスどのを、とてもうらみに思ったものです。しかし2人の子テスにはなんの罪もありませんものね」
サンチョが一瞬体を震わせたから、ボクはサンチョの腕をつかむ。話していた人が、こちらを見て微笑んだ。
「今こそすべてを教えましょう。太古の昔、神はこの世界を3つにわけたのです。神自身が住む天空界、人間たちが住むこの世界、魔物らを封じた暗黒世界。そしてその3つの世界がたがいに交わることのないよう門番をもうけました。その門番を命じられたのが、我らエルヘブンの民なのです」
次の人が続ける。
「テスの母上マーサ様は我が民の太古の能力をとくに強く宿しておられました。魔物らがマーサ様をさらったのは、暗黒世界の門を開かせるためでしょう」
「……母はそれほど強い力を?」
ボクが聞くと、長老達は首を縦に振った。
「我々エルヘブンの民は門を閉めることも、そして開くこともできたと言われています。しかし時がたつにつれて、その能力はしだいに失われていったのです。今ではこの北の水路に浮かぶ海の神殿の門も、我々には開くことができません」
「あの不思議な感じのするところね?」
マァルが首を傾げる。
またあの時みたいに不思議な目をしていて、少し恐かった。
「私は感じることができます。開かれた門は、年ごとにその開け口を大きくしています。このままでは、やがて巨大な魔界の王ですらこちらにやって来るでしょう。そうなる前にマーサ様を助け出し、開かれた門を再び封印するのです。大いなるマーサの子テス、あなたにはその力があるはずです」

「……ボクに?」

ボクは愕然として聞き返す。
「ええ。貴方からはとても不思議な力を感じます。マーサ様にも負けないほどの。今は連れてはいないようだけど、貴方は魔物の心を変えることが出来るのでは?」
一人の長老が微笑みながら尋ねる。
「え? あ、はい」
「マーサ様も小さい頃、東の森へ出て行ってはスライムを連れてきたりしていました」
「グランバニアにそのスライムはまだ居ますよ。元気です」
ボクが答えると、長老は少し淋しそうに笑った。
「そう。……元気なのですね」
「とても」

暫く、静かな時間が流れた。
「上はマーサが暮らしていた部屋です。特別なものは何もないけれど、何か感じられるかも知れませんね」
ボクらは深々とお辞儀をして、壁伝いに階段をのぼった。

階段をのぼりきると少し広い部屋に出た。
「ここがマーサおばあちゃんのお部屋。広いけど、なんだかさみしい所ね……」
マァルがつぶやく。
広い部屋には、ベッドと本棚、ソファ、小さなテーブル。そのくらいしか家具はなかった。
「ねえ気づいた? このお部屋ってこの村でいちばん高い場所にあるよ。塔の上にとらわれたお姫さまの部屋っていう感じだね!」
窓の外を見ていたソルがいきなり声を上げる。
さっきまで静かだったせいで、じっとしてるのが苦手なソルはちょっと窮屈だったんだろう。
「そうだね。一番高い所だね」
ボクも窓の外を見る。
景色は物凄く良かったけど、あまりに綺麗過ぎて少し息が詰まりそうだった。
「きっとお母さんは自分の足でいろんな景色を見たかったんだろうね。だから、ソレをかなえてくれるお父さんと一緒に行ったんだ」
ボクが言うと、サンチョは大きく頷く。
「そうですとも、マーサ様は本当に幸せに暮らしてらしたんです。そりゃ、大変な能力をお持ちだったマーサ様を連れ出されれば、長老方のお怒りもごもっともでしょうが……坊っちゃんにもパパスさまにも罪はありません! 恋愛っていうのは自由なものですよ」
さっき言えなかった怒りが、再びやってきたらしい。サンチョはそういって悔しそうに足を踏み鳴らす。
「ま、好きになっちゃったらしょうがないよね。やめた、って言って終わりになる事じゃないし」
ボクは言ってソファに腰掛ける。
良く見ると、全然ホコリがない。今でも毎日掃除がされてるのかもしれない。
「お父さんは?」
マァルはボクの隣にちょこんと座って、見つめてくる。
「え?」
「お母さんの事好きになって、それでグランバニアまで連れてきたの? 二人ともグランバニアじゃない所で育ったんでしょう?」
「あ! ぼくも聞きたい!」
「そういえば、そのあたりの話を全くしてくれませんでしたよね?」
ソルとサンチョも好奇心の塊になった目でボクを見る。
ボクは思わず立ち上がる。
何とか逃げたい。
「ひ、秘密!」
上ずった声で言って、階段を目指していたら、誰かが下から上ってくる足音が聞こえてきた。
……どうやら、この話題からは逃げられそうにない。


■エルヘブン、まだ滞在しそうです。
そしてテっちゃん、微妙にピンチ?(笑)

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