■ちょっとサボってお休みしてました。
今週はお休みが多くなります。期末考査作らなきゃなので。
 
 
■懐かしい友と 2 (テス視点)
ヘンリー君はボクの正面のソファに座ると、まずは子どもを紹介した。
「…オレ子どもができたんだよ。息子のコリンズだ」
「……」
ヘンリー君はコリンズ君を隣に座らせて紹介する。けど、コリンズ君のほうは口を尖らせて不満そうにボクをみるばかりだった。
「コラ! ちゃんとあいさつしないか!」
ヘンリー君はそういうと、隣に座るコリンズ君の頭を軽く叩く。
「あいてっ! は、はじめまして……」
コリンズ君は頭をさすりながら、上目遣いでボクを見ながらしぶしぶと挨拶をした。もしかしたら人見知りするタイプなのかもしれない。
「ヘンリー君、叩くのはよくないよ」
ボクは苦笑しながら「ねえ?」とコリンズ君に同意を求める。けど、やっぱりコリンズ君はこわばった表情のまま全く反応をしなかった。
……嫌われた、かな?
「いやー悪い悪い。どうもわんぱくでさー。ところでテスにも子どもがいるんだろう?」
「わんぱくって言うか……人見知りするんじゃないかな?」
ボクは答えてから、両側に座る子どもたちの頭をそっとなでる。
「紹介するね。ウチ双子だったんだ。上がソル。下がマァルだよ」
「へえーやっぱり昔のお前に似てるなあ。あ、でもどっちかって言うとビアンカさんに似てる。……よかったなあ、美形に生まれて」
「……」
ボクは苦笑して、それ以上は答えないことにした。
「あ、そうだ! 子どもは子どもどうし。コリンズに城の中を案内させよう。コリンズ。城の中をいろいろ見せてあげなさい」
「はーい」
大人のつまらない話から開放されてほっとしたのか、コリンズ君はおとなしく返事をして、ソファから立ち上がる。そしてソルとマァルを見て「行こう」と一言声をかけた。
「行ってきてもいいの?」
ソルがボクを見上げる。
「うん、行ってらっしゃい」
「じゃあ、行ってくる。行こう、マァル」
「……うん」
マァルはなんとなく嫌そうに、ソルについて歩いていく。
三人は連れ立って部屋から出て行った。
「やれやれ。うるさいのがいなくなってホッとしたよ」
ヘンリー君が苦笑しながら言うと、マリアさんが
「まああなたったら。本当はコリンズがかわいくてかわいくてしかたないのに」
なんていって笑った。
「テスさんもお子様は可愛らしくてしかたないでしょう?」
マリアさんが小首をかしげる。
「うん、可愛い。けど、いっぱい苦労をかけたから、申し訳ない気分でいっぱいだね。それにあの子たちはもう8年も子どもをやってきてるけど、ボクは父親を1ヶ月くらいだから、何だか付いていけないことが多くてね……」
「まあ、お年を召さなかったというのは本当みたいですね。詳しくお聞かせくださいね」
マリアさんがころころと笑う。
それを見ているヘンリー君は幸せそうだ。
コレが普通の家族って奴なんだろうなあ。

……ウチってホント規格外。

ヘンリー君は一度ため息をつく。
「けど、お前のうちの子は聞き分けよくてよさそうじゃないか。まったくコリンズは誰に似たんだか……。オレの小さい頃はもっとおとなしかったもんだがなあ」
「え?」
思わずボクは聞き返す。
「誰が何だって?」
「だから、オレはもっとおとなしかったと。コリンズほどひどくなかったぞ」
「嘘だぁ。駄目だよマリアさん騙されちゃ。ここまで聞いてきた話だとコリンズ君は結構いたずらが好きみたいだけど、ヘンリー君も筋金入りだったからね!? かえるをかえる嫌いの人に投げるなんて日常茶飯事だったんだからね!?」
「お前あることないこと言うなよ!」
「あったことしか言ってないよ! 何格好つけてるの!?」
そんなボクらのやり取りを、マリアさんはくすくす笑いながら見ている。
「本当にお二人は仲がよろしいですね。ヘンリー様はいつもテスさんと……ああ、テス王様と旅をしたときの話ばかりしますのよ」
「王様なんてつけなくていいですよ、これまでどおりで」
「そうだぞマリア! こいつはそんな風に呼ばなくていいからな!」
ボクらのやり取りを、どこか複雑な顔でサンチョが見ているのがわかったけど、それは気づかない振りをすることにした。

その後、少し落ち着いてから、これまでにあったことを話す。
グランバニアの戴冠式の日、ビアンカちゃんがさらわれたこと。
助けに行った先で、ジャミを倒したこと。
けど、ゲマにはまた負けて、ビアンカちゃんともども石にされてしまったこと。
八年の月日が流れたことに気づかなかったこと。
子ども達がサンチョと一緒に、ボクを助け出してくれたこと。
ソルが、天空の勇者として生まれてきたこと。
今はビアンカちゃんと、お母さんを探していること。

ヘンリー君もマリアさんも、静かにずっと聴いてくれていた。
そして、最後に
「ああ、まだつらい旅を続けてるんだな。……いつでもここによって行けよ、オレたちもできる限りの情報を集めるから」
とヘンリー君は静かな声で言ってくれた。

 
「ああ、もう随分遅い時間になっちゃったね。みんなはどうしたんだろう?」
窓の外を見ると、赤い夕日が西の方角に落ちていこうとしていた。
「そういえば、城の案内だけにしてはやけに遅いな」
ヘンリー君も眉を寄せる。
「今日は泊まっていってくれるんだろう?」
「お言葉に甘えるにしても……とりあえず子どもたちは探してこなきゃね。……ボク、ちょっと見てくるよ」
「そうか? じゃあ、オレはデールに連絡してくる。あと、料理人に腕によりをかけるようにも言ってこなきゃな」
「あ、少なくていいよ?」
「わかったわかった。じゃあ、後でこの部屋で落ち合おうぜ」
「うん。じゃあ、ボクは探しに行ってくるよ。サンチョも行く?」
「ええ。ぜひ」

ボクらは部屋を出て、階段を下りたところでヘンリー君と別行動になった。そのとき、サンチョが唐突に
「大きい声じゃ言えませんが、やっぱりあれは親のしつけに問題があると思いますよ」
と小声で言う。
「ああ、やっぱりそう思う? 子どもができたら目一杯かわいがるっていってたけど、ちょっとあれは問題あるよねえ。……うちの子がいい子なのがよーくわかったよ。ありがとうね、サンチョ」
答えるとサンチョが少し顔を赤くして笑った後、
「あ、でも今のは内緒にしておいてくださいね?」
「もちろん。わかってるよ。……さ、探しに行こうか」
ボクはサンチョと一緒に歩き出す。
窓からは赤い夕日が差し込んできていて、長い影が伸びている。
「たぶんね、うちの子はコリンズ君にからかわれてるんだよ」
「え? 坊ちゃん心当たりが?」
「なーんとなく、ね」
ボクは苦笑しながら、昔のヘンリー君の部屋を目指した。

 
■あー、また続いてしまった。ラインハットは私にとって鬼門だな(笑)
ヘンリー君には、突っ込みたいことが一杯あったので、とりあえずテっちゃんに突っ込んでおいてもらいました。
似てるどころか瓜二つだよ。

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