今日のDQ5(149)
2005年6月9日 今日の「DQ5」■DQ1。
何とか銀の竪琴をゲットし、雨雲の杖に交換してもらいました。
あいかわらず、ローラ姫を引きずりまわしております。
宿に泊まるたび「ゆうべはおたのしみでしたね」です。
そろそろ姫に愛想を付かされるかもしれません。
忍耐強いな、姫。
■旅立つ前に (マァル視点)
■やっぱり父親なテっちゃんって変だ……。
でも、大人になったときも「大人テっちゃんって変……」って思っていたから、そのうち慣れるんだろうな。
何とか銀の竪琴をゲットし、雨雲の杖に交換してもらいました。
あいかわらず、ローラ姫を引きずりまわしております。
宿に泊まるたび「ゆうべはおたのしみでしたね」です。
そろそろ姫に愛想を付かされるかもしれません。
忍耐強いな、姫。
■旅立つ前に (マァル視点)
お父さんは、わたしとソルを連れたままモンスター爺さんのところへ歩いてきた。そして、ピエールとスラリンとゲレゲレとマーリンを連れ出して、そのままお城の外へ出る。
夏の日差しが、真っ直ぐに地面に降りてきていた。
「ああ、夏だねえ」
お父さんはそんな事を言いながら、サンチョさんの家のドアをくぐる。
「サンチョ」
声をかけると、サンチョさんが奥から出てきた。
「坊っちゃん」
サンチョさんは、皆の前ではお父さんのことを「テス王」って呼ぶけど、普段は坊っちゃんって呼ぶ。お父さんはソレを気にしないみたい。わたしはちょっと、ソレが不思議。
「ちょっと教えてほしい事があるんだ。で、確認が取れたら旅に出るんだけど、サンチョも一緒に来る?」
お父さんは軽い声で言いながら、キッチンにある椅子に浅く腰掛けて、それから背もたれにべったりともたれる。
まるで椅子の上に寝転がるみたいに見えた。
「坊っちゃん、お行儀が悪いですよ」
サンチョさんはそういった後
「私も連れて行ってくださるんですか?」って初めて嬉しそうな顔をした。
お父さんは大きく頷く。
「勿論。一緒に行ってくれると嬉しい」
サンチョさんが旅に出る用意をするのを、出して貰ったオレンジジュースを飲みながら待つ。お父さんがオレンジ大好きだからでてきたんだけど、わたしにはちょっとすっぱかった。
すっかり用意ができたサンチョさんが、椅子に腰掛ける。
「で? 坊っちゃんは一体私に何をご確認なさりたいんですか?」
真剣な目で尋ねる。
お父さんはサンチョさんに向かってVサインを見せた。
「知りたい事は二つ。一つ目はソルが天空の剣を本当に装備できるのかという事。それに付随して、現在天空の剣がどこに保管されているのか。二つ目は……気を悪くしないで聞いてほしい。この国に魔物が大挙して押し寄せてくる事があったかどうか。この二つだ」
お父さんの目は真剣だった。
「ぼく天空の剣装備できるよ? 本当だよ?」
ソルはきょとんとお父さんを見上げる。
サンチョさんも大きく頷いた。
「ソル様が天空の剣を初めて装備なさった時は、本当に衝撃を受けました。歩けるようになったばかりの頃、ソル様は天空の剣を手にとり軽々とふり回されたのです。あの日私の手に剣が残ったのはこういうワケだったのかと妙に納得しましたよ」
サンチョさんは懐かしいような目をしてしみじみというと、部屋の奥の床板をはずして、そこから天空の剣を重そうに取り出してきた。
「宝物庫にあると、いかにもって感じでしょう? それでここに保管していたんです」
ばつの悪そうな顔でサンチョさんはうつむく。お父さんはソレを受け取って、ソルに渡す。お父さんにも重いらしい。少し顔をしかめてる。
「使える?」
ソルは剣を片手で受け取ると、ちょっと振り回して見せた。
お父さんはソレを凄く複雑そうに見守る。
「オーケイ。納得した。行き先も決まったね」
お父さんはため息をつく。
そのまま机に突っ伏して、暫くぼんやりとした目でソルのことを見ていた。その後「二つ目に付いては?」って疲れた声を上げた。
「実はは坊っちゃんがいない間、この城へ何度か魔物が飛来したことはありました。しかし、その度に天空の剣が不思議な光を放ち、魔物たちは何もせずに去ったのです。今思い出してみてもあれは本当に不思議な光景でした」
その話を聞いて、お父さんは体を起こす。
「ソレは本当? 一度も魔物は大挙してこなかったの? せいぜい何度かやってきた程度?」
お父さんは不思議そうに何度もサンチョさんに確かめる。
「不穏な事を言わないで下さいよ。坊っちゃんはこの国を魔物に襲わせたいんですか?」
サンチョさんは顔をしかめてお父さんを見つめる。
「そういうわけじゃないんだけど……」
お父さんはそう言ったっきり、暫く椅子にもたれて腕組みをしたまま動かなくなった。
途中、何度か右手の人差し指でこめかみを叩く。
目を閉じて、大きく息を吐いて、それから全然動かない。
「お父さん、どうしちゃったの?」
私は不安になって声を上げた。
「主殿は今少し考え事をしているのですよ、しばらくお静かに」
ピエールが私の前で指を口に当てて「しー」ってして見せた。
「考え事?」
ソルが聞き返す。
「テスは頭がいいし物凄く記憶力がいいぞ? 二人ともきっと驚くじゃろうな」
マーリンが面白そうに笑いながら言う。
「ああなると暫く周りの音は聞こえないから、放っておいたほうがいいぞ?」
スラリンはふーっと息を吐いた。
「皆に言わなきゃいけない事がある」
お父さんが目を開けた。きりっとした表情で、落ち着いた声で話し始める。
「話を聞いている限り、まだ魔物の親玉は、ソルが伝説の勇者として生まれたことに気づいてない」
やけに自信たっぷりに断言するお父さんに、皆がぽかんとする。
「そもそも、何でソルは勇者になりえたか? それは簡単だ。ビアンカちゃんが伝説の勇者の血筋にあたる人だからだ」
わたしたちはビックリしてお父さんを見つめる。
「ぼ、坊っちゃんはソレをご存知でご結婚なさったのですか?!」
サンチョさんの声が裏返った。
「まさか」
お父さんは首を横に振った。
「石になる直前、腹立たしい事に相手の魔物に聞かされたよ」
お父さんは思い出したのか、一瞬凄く恐い眼をした。
「その時、確かあいつはこう言った。『予言では勇者の子孫は高貴な身分にある、だから目ぼしい子どもをさらっていた』それから……『伝説の勇者はお前の血筋により、これから生まれてくるのだろう』って」
少し悲しそうな顔をして、お父さんは一気に喋った。
「相変わらずの記憶力じゃの」
マーリンがお父さんを見る。
「大体の事は一回見たり聞いたりすると覚えちゃうんだよね。で、忘れられない。便利といえば便利だけど……忘れたい事も忘れられないから、辛い時もある。忘れるなってことだろうね。」
お父さんはそこで、ふっと淋しそうに笑う。
それから、少し気を取り直したように話を続けた。
「向こうは、ボクらに子どもが居る事も知らないみたいだったし、その後も調べてない。ここに攻め入って来ないのも証拠だし、相変わらず彼方此方で子どもがさらわれているっていう気の毒な話からも、間違いなく、ソルやマァルに気づいてない」
お父さんはそう断言して、立ち上がる。
「職務怠慢だよね。ボクならクビにするな、そんな管理職」
そういってニヤって笑うと、右手の拳を左手に叩きつける。
「反撃開始だ」
お父さんはそういうと、わたしとソルを順番に見た。
「お母さんも、おばあちゃんも、きっと助けよう。二人とも頼りにしてる」
「ぼくらが悪い奴をやっつけるんだよね!」
ソルが嬉しそうにお父さんを見上げた。
「そうだよ」
お父さんがにっこり笑う。
「わたし一生懸命お父さんのお手伝いするね!」
「ありがとう」
そういって頭をなでてくれたお父さんの手は、大きくて暖かかった。
■やっぱり父親なテっちゃんって変だ……。
でも、大人になったときも「大人テっちゃんって変……」って思っていたから、そのうち慣れるんだろうな。
コメント