■子ども視点って難しい……。テっちゃんが子どものときってどう書いていたんだっけかね。
まあ、ゲーム内の子ども達は、二人ともかなり精神年齢高い8歳児だから……いいか……(遠い目)

■お父さん 2 (ソル視点)
お父さんはしばらくぼくらをぎゅっと抱きしめた後、立ち上がる。
背の高い人だなって思った。
「で?」
お父さんは首を傾げてサンチョを見る。
「ビアンカちゃんは?」
サンチョが少し目をそらすのがわかった。
ソレを見て、お父さんは小さく「ふーん」って言ってそれから頷いた。
「まだ見つかってないんだね? そっか」
何でもないみたいに明るく言うのが、凄く変な感じ。
お父さんは、お母さんに会いたくないんのかなって嫌な気持ちになった。

「ビアンカちゃんを助けに行くチャンスを、神様はまだくれるんだ」

お父さんは空を見上げて、にやっと笑う。
サンチョはぽかんとお父さんを見上げた。ぼくらももちろん、呆気にとられてお父さんを見上げる。
「だってそうでしょ? ボクは確かに一回ビアンカちゃんを助けるのに失敗した。もう一回チャンスをくれたんだよ、神様が。今度はへましない」
助けに行くのは当たり前。お父さんはそういってるんだ。とっても嬉しい。

「あ!」
ぼくは声を上げる。
「あのね! あのねお父さん!」
「何?」
「お父さん聞いて! お父さんが残していった天空の剣。ぼく装備できたんだよ!」
ぼくは、お父さんに会ったら言おうってずっと思っていたことを言う。
「え?」
お父さんはぼくを見て声を失う。
ざーっと血の気が引いていく音が聞こえた気がした。
「……ええ?!」
ぼくを見ていた顔が、今度はサンチョに向く。
サンチョは大きく頷いた。
「……と、とりあえず、後で考える」
お父さんはそれだけ搾り出すように言うと、がっくりと地面に座り込んだ。
何かマズイ事を言ったんだろうか?と不安になった。
サンチョが気を取り直したように言う。
「まあまあ、ここはひとまず、グランバニアのお城にもどることにいたしましょう。さあマァルさま」
サンチョがマァルを促す。マァルはにっこりと笑うとルーラを唱えた。
 
 
「……」
お父さんは茫然と、目の前のグランバニアのお城を見上げる。
「え? 何で?」
「ルーラっていう魔法よ? お父さんも使えるんでしょ?」
「使えるけど……」
お父さんは複雑そうな顔でマァルを見つめる。
「……ま、いい」
全然良くなさそうな顔でお父さんはつぶやくように言う。
「ところで」
お城の門を開ける前にお父さんはサンチョに話しかける。
「何か変わったことはあった? うっかりドリスちゃんが結婚してるとか」
サンチョは呆れたようにお父さんを見上げる。
「残念ながらドリス様はまだご結婚なさってませんよ。そんな事言ってドリス様に蹴り飛ばされてもしりませんからね?」
ぼくはお父さんがドリスに蹴り飛ばされるところを想像してみた。

なんとなく、お父さんが負けるような気がした。

 
 
城門をくぐる寸前、お父さんは大きく息を吸って、それからぴしっと背筋を伸ばした。
そのとたん、それまで優しいけどどっか頼りない気がしていたお父さんの雰囲気がガラっと変わった気がした。
ぴしっとしてて、凄く格好いい。
「あ!」
城門を守っていた兵士が驚いた声を上げる。
「お帰りなさいませ! 陛下!」
「うん、ただいま」
にこりと笑って、軽く手を上げる。
堂々としてて、お父さんは本当に王様なんだなってその時初めて思った。
一人の兵士が頭を下げて、先に階段を駆け上がっていく。
オジロンおじさんや城の皆に、お父さんが帰ってきた事を伝えに行ったんだと思う。
お父さんはソレを見送ってから、「じゃあ、行こうか」って行ってぼくらの手をひいて歩き出した。

お父さんはぼくとマァルを自分の両側に連れて、ゆっくり歩いてくれた。
城の皆が思わずお父さんを振り返る。
後ろについてきてるサンチョが、とっても誇らしげなのがわかる。
「よう、テステス」
途中でドリスが待っていた。壁にもたれて、腕組みをしてる。
お父さんが立ち止まってにっこり笑った。
「ドリスちゃん、久しぶり。元気そうで何より」
「テステスこそ元気だな。八年も外出てて、お前後始末大変だぞー?」
ドリスがにやっと笑う。こういう顔をしてるときは、とっても機嫌がいい。ドリスもお父さんが帰ってきて嬉しいんだなって思った。
「うわー、ドリスちゃん手伝ってよ」
「ビアンカ様を助けてきた後なら手伝ってやるよ、きりきり働け」
そういうとドリスは壁から離れてこっちへ歩いてきた。それから、お父さんの頭を乱暴にわしわしとなでて、
「無事でよかったよ」
って言って、そのままどっかへ歩いていってしまった。
「ドリスちゃんは相変わらずいい子だなあ」
お父さんはクスクス笑うと、歩き出す。
「もうちょっと言葉遣いを何とかしたほうがいいですけどね」
サンチョは苦笑して後から付いてくる。

「ああ、そうだ、先に皆に会いに行っていい? オジロン様に会ったら多分長引くから」
お父さんは立ち止まってサンチョに確認を取る。サンチョはしばらく考えた後
「……まあ、いいでしょう」
って言った。
「皆って、魔物の皆?」
ぼくが聞くと、お父さんは頷いた。
「そうだよ。皆とは仲良くできた?」
「もちろんだよ!」
ぼくとマァルは頷く。
「皆大好き!」
「あー、でも怒ってるだろうなー、怒られるだろうなー」
お父さんは遠い目をしながら、モンスター爺さんのところに顔を出す。
「!」
ゲレゲレが一番最初にこっちを見た。
「やあ、ゲレゲレ。元気だった?」
お父さんの声に、皆が一斉に振り返る。
「テス!」
スラリンが声を上げると共に、物凄い勢いでお父さんに体当たりした。不意をつかれて思いっきりこけたお父さんは、そのままスラリンにお腹で飛び跳ねられて、地面を叩きながら叫び声を上げる。
「痛いってばスラリンー!!!」
「うっさい! 心配かけといてなんだお前!」
「あああ、ごめんなさいごめんなさい!」

「……さっきまでお父さん格好良かったのに」

マァルが隣でぼそっと言うのが聞こえた。
「うん、そうだね」
ぼくも同意してお父さんを見る。
お父さん、皆に手荒い歓迎を受けてはっきり言ってもみくちゃ。
……やっぱりなんか、この人情けない気がする……。

しばらく皆にもみくちゃにされていたお父さんは、漸く解放されて起き上がる。
「おかえりなさいませ、主殿」
「うん、ただいまピエール」
ずっと見守っていたピエールがお父さんに頭を下げた。

ああ、やっぱり信頼されてるお父さんは格好いいかもしれないって思ったけど。
 
 
 
評価は保留しようと思った。

 
■子ども達にさめた目で見られる父テっちゃんというのが書きたくてこんな感じに。
というのも子ども達は八年間、ひたすらお父さんについて
格好良くて強くて賢くて優しくてetc…
と聞かされ、(聞く相手によって少しずつ評価は違うと思うけど)夢は大きく大きく膨らんでいたハズ。

そんなの、テっちゃんはあっけなく裏切るでしょうよ。
何せあの性格。
のらりくらりとして決して本心を外に出さない、あの!性格悪い男が。裏切らない事があろうか、いやない。

というわけで不審の瞳で見られる父。
頑張れテっちゃん、いつか子どもが尊敬のまなざしで見てくる日も来るさ、多分!

と、そんな話も書きたいのだが、プレイ日記ではさっくり割愛。

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