■ここのところ、ずっとドラクエの音楽を聴いていまして。
久しぶりに7の曲を聞いたのですよ。
7は借りてやったんですけど、ほとんど記憶が残らなかったという作品で(好きな人ごめんなさい)曲も「なんか暗い」という理由であんまり聴かなかったんですけど。

久しぶりに聞いたら、イイんじゃないの? とか思いました。

でもどこでかかってた曲だったかとか全然やっぱり覚えてないし、もう一回7をやろうとも思わないし。
……第一セーブデータがどこ行ったかわからん。

 
■破滅の足音 8 (テス視点)
ジャミの叫び声に応えるように、ゲマが目の前に現れる。
薄暗い空中から染み出すように現れたゲマは、ボクたちを見てひとしきり嗤った。
そして、大きく手をこちらに突き出す。
風が巻き起こって、後ろに吹き抜けていく。
ゲレゲレのうなり声にボクは慌てて後ろを振り返る。
見ると、三人がふわりと宙に浮いていて。
そして次の瞬間目の前から消えた。
「!!!」
ボクは再びゲマに向き直る。
「人間に力を貸す魔物が居るとは聞いていましたが、まさかあなたに力を貸しているとは……」
そういってまたひとしきり嗤う。
「人間側に堕ちたとはいえ、同胞です。殺しはしません。ただ邪魔だったから外へ行ってもらっただけですよ」
そういうと、ゲマは視線をボクからビアンカちゃんに移した。
「それにしても。まさかあなたが勇者の子孫だったとは……」
ビアンカちゃんは茫然と、自分自身を指差した。
「私が……勇者の子孫?」
首を傾げて困惑している。
ゲマは大袈裟にため息をついて見せた。
「ミルドラース様の予言では、勇者の子孫は高貴な身分にあるとのことでした。その予言に従い、かねてより目ぼしい子供をさらっていたのですが……。どうやらその子供……伝説の勇者はお前の血筋により、これから生まれてくるのでしょう。しかしそれだけは、させるわけにはいきません」
にいぃ、とゲマは嫌な笑みを浮かべた。

あの時のように。

目もくらむような青い光が渦巻いて、ボクらを飲み込み始める。
「……!」
体が動かなくなっていた。
ボクは悔しさに歯軋りしながらゲマをにらむ。
その様をみて、ゲマはまた嗤った。
嫌な声で。
「石になる気分はどうですか?」
そう言われてボクは思わず自分の足を見る。
つま先から、徐々に自分の体が石の色に変わっていっていた。

胸の奥のほうが、重い。冷たい。

ビアンカちゃんを見ると、やっぱり同じように石になってきている。
ビアンカちゃんがこっちを見た。
不安そうな瞳で。
「ビアンカちゃん……!」
ボクは何とか声を絞り出して、手を動かそうとした。

腕はもう、石になって動かない。

「……!」
声が出なくなる。

動け。
ボクの腕。
動いた後は折れたっていい。
手を伸ばせ。
ちょっと手を伸ばせば届くところに、ビアンカちゃんが居るのに。

動けよ!

「ほっほっほっ。一息に殺してしまっては面白くないでしょう? その身体で世界の終わりをゆっくり眺めなさい。ほーっほっほっほ!」
ゲマの嗤い声が耳の奥でこだまする。
ボクはもう、石になっていて動く事ができない。

 
ボクはまた
ゲマのせいで
大事な家族を

 
失った。

やがて恐ろしいほどの静寂がやってきた。
ゲマが居なくなったのがわかる。
石になっても、周りのことはぼんやりとわかった。
ビアンカちゃんはすぐそばにいる。
けど、もうお互い話すことも触れる事もできない。

なにも、できない。

何もできないのに、周りのことがわかって、色々と考える事ができる。
コレまで知っていた、どんな拷問よりも一番辛く厳しい事だった。

ビアンカちゃんも同じ目に隣であっている。
何よりもそれが一番辛かった。

 
どのくらい時間がたったのだろう。
物凄く短かったような、長かったような、奇妙な感覚だった。
人の声がして、ボクの意識は浮上する。
「なんでい! 宝があるって聞いたのにそんなものねえぞ!」
イラついた男の声。
ああ、下で会った宝探しの兄弟だろう。
宝なんて何もないのに。
ここにあるのは、絶望だけだったのに。
「うわー……。立派な石像だなあ。まるで生きてるみたいだよ」
弟のほうだろうか?
少し頼りない、間の抜けたような声を上げてボクを見上げている。
「ねえ兄さん。この石像を持って行けば高く売れないかなあ」
弟の提案に、兄はビアンカちゃんを見つめる。
「ホントだ! しかもこいつは色っぺえ石像だな! よし! こいつはオレがもらった!」
勝手な事を言うな。
誰がお前なんかにやるもんか!
思っても声は出ないし、阻止する事もできない。
それよりも、ここを離れることになるのが問題だった。
ゲマは、皆を外に出したといった。
しばらくすれば、皆はここまで戻ってきてくれるだろう。
そしてボクらを見つけてくれる。
なのに、ソレまでにボクらがここを移動してしまったら?
しかもボクはこれから売り飛ばされる。
ビアンカちゃんはこいつらのもとにずっと置かれる事になる。
離れ離れになってしまう。
「おい! いくぜっ!」
「待ってよ兄さん!」
兄のほうがビアンカちゃんを、弟がボクを持ち上げる。
売り物にするといっただけあって、扱いが良かったのだけが救いで。

 
 
あとはただ、悪い夢なら早くさめろ、ただソレだけを思っていた。


 
■今日はあっさり短めに。
漸く石化です。ラインハットあたりで立てた予定では123回くらいでここにたどり着くはずだったのですが。

……。(遠い目)

ま、いいや。
ここまで来た事に乾杯。良く飽きなかったな私!(正確には飽きた事もあったけどやめなかった)

■さて、コレで青年前半がおしまいです。
もうちょっと頑張ったら、娘が! マァルが! 出てくるんですね!
ラヴ!
テっちゃんの娘ラヴっぷりはイコール私の萌えだと思ってもらって大丈夫です。
ここんとこ暗かった分、はっちゃけようと思います。

たーのしーみー!

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