■今日はもう、前置きに書くネタもないです。
毎回何かしらひねり出して前置きを書いてるんですが、もうひねり出す「何か」がなくなりました。

こうなったら、DQ5で駆け落ちの手伝いをするか、DQ8を始めちゃうかどっちかしかないですね(笑)

……とりあえず駆け落ちか、すごろくかなあ。
 
 

■破滅の足音 1 (ピエール視点)
城の中で、なにか悪い事が起こったようだ、とは気づいていた。
が、我々のところまでなかなか情報が入ってこない。
慌ただしく走っていく兵士達を見ながら、ただ「何が起こったのだろう」と誰かが何か教えに来てくれないか、ずっと待っている事しかできなかった。

兵士達の足音がしなくなってしばらくたったころだった。
主殿が、真っ青な顔をしてやってきた。
最近では見る事のなかった、白と紫の旅装束に身を包み、手には剣を持っている。
「どうされましたか?」
私が声をかけると、主殿がこちらを向いた。
顔色は血の気が引いて真っ青なのに、瞳が、表情が。
今まで見た事もない顔をしていた。
いつもの余裕がない。
こちらを見ただけなのに、にらまれているようで、しかもその瞳に射殺されるのではないかと思うくらい。
……怒っているのだ、と気づく。
これまでになかったほどに、本気で怒っているのだ。
「皆聞いて」
主殿が喋りだす。
声はいつもより低く、固く、そして少し震えていた。
「……ビアンカちゃんがさらわれた」

ざわり、と空気が動いた。

主殿自身、その言葉を口にして動揺したらしかった。
「え?」
スラリンが思わず聞き返す。
「何で? 何でだよ!?」
「理由はわからない。けど、方法はわかってる。お祝いの席の食べ物や飲み物に眠り薬を入れて、それで全員を眠らせた。その間に城の中に誰かが魔物を呼び寄せた。ビアンカちゃんはそれに気づいて子ども達だけは何とか無事に隠したんだけど、自分はさらわれてしまったんだ」
主殿は、左手の拳で壁を殴った。
ソレは多分、自分に対する苛立ちなのだろう。
「大臣が居なくなってる」
「犯人なのか?」
「わからない。けど、多分そうだと思う。今すぐ旅立って追いかければ、追いつけると思う」
「行きましょう」
私は答えると、立ち上がる。
他の皆も一斉に立ち上がった。

「オイラたちのことは、信じてくれるよな?」
スラリンが主殿を見上げて、ぽつりと呟く。
その言葉に、私ははっとして主殿を見上げた。
「……」
主殿はしばらくスラリンを見つめた後、力が抜けたように笑った。ここに来てから初めての笑顔。
すこしほっとした。
「皆が魔物を呼んだって疑ってるとか思ってるの? そんな事あるわけないじゃない。もし、国の誰かが皆の事を疑ったりしたら、ボクは全力でその人に抗議するよ。皆信頼してる」
スラリンはその言葉を聞いて満足そうに笑った。
「じゃあ、早く行こうテス! ビアンカが待ってる!」
「うん」
主殿が頷く。
いつもの主殿に漸く戻った。
「とりあえず、大臣の部屋の家捜しからだね」
 
 
大臣の部屋は、本当に誰も居なかった。
がらんとした部屋で、使ってない家具が多そうだった。
「寝るだけの部屋って感じ」
主殿はそういうと、ベッドの下を覗いたり、手近な箱の中身を確かめたりし始めた。
それに習って、我々もたんすを開けたり、本棚を調べたりしてみる。
「これなーに?」
やがて、クローゼットの奥のほうに入っていた、白い小さな箱をホイミンが引っ張り出してきた。
主殿は部屋の奥から大股で歩いてきて、箱を開ける。
中には、不思議な色をした羽のついた靴が出てきた。
「何だろう?」
主殿も首を傾げる。
「見せてみぃ」
マーリンがその靴を手にとって、しばらくあちこちから見つめた。
「かなりの魔力が込められた靴じゃな。大昔どこかでみたぞ? ……確かどこか決まった場所へとんでいける靴じゃなかったかの」
「なるほどね、大臣は魔法を使えないらしいから、コレを使ってどこかへ行っていたわけだ。……とりあえず、コレを使ってみようか?」
「そのくらいしかできないじゃろ」
マーリンが肩をすくめる。
「じゃあ、すぐ出発。行こう」
主殿は言うやいなや、すぐにドアに向かって歩き出す。
我々も急いでその後に続いた。
 
 
城門のところに、サンチョ殿が来ていた。
「坊っちゃん」
「サンチョ……」
主殿は少しサンチョ殿から目をそらす。
国の王としてここに残らない事に、やはり負い目を感じているのだろう。
「お気をつけて行ってらっしゃいませ。お子様達の事は心配要りません、サンチョがしっかりお世話させていただきます。ですから、しばらくの間は、ビアンカ様の……ビアンカちゃんの事だけ考えて、冷静に行ってきてください」
「ありがとう、サンチョ」
「いいですか、落ち着いて行ってくださいよ? 坊っちゃんは昔っからそそっかしいんですから。こういうときこそ、落ち着かなきゃいけないんですからね」
「うん」
「お怪我などなさらぬよう、お気をつけて」
「すぐ帰ってくるから。ありがとう、サンチョ」
主殿はサンチョ殿の胸に頭をつけて、しばらくサンチョ殿を抱きしめた。
まるで、子どもが親に甘えるように。
「行ってきます」
顔を上げた主殿は、凛とした顔をしていた。

 
■唐突にピエールの一人称が「私」だったのかどうか自信がなくなり、わざわざ過去に書いたものを読み返しました(苦笑)

というわけで、青年時代前半の最終エピソードがやってきました。
デモンズタワー攻略編です。

……って全然たどりつけなさそうですよ、この速度では。
 

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索