■今日の本
ISBN:4062639246 文庫 森博嗣 講談社 1998/12 ¥770
密室から飛び出した死体。究極の謎解きミステリィ。コンピュータに残されたメッセージに挑む犀川助教授とお嬢様学生・萌絵。

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがたしき)。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわそうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのそのもえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。

 
「では、あと、百年くらいしたら、僕も博士のようになれますか?」
「そう、百年では無理です」四季は首を傾げてにっこりと笑った。

 
Fを読み直したのは……2回目くらい?
電脳世界の友人あたほさんが先日初めて読んで(薦めてみたら読んでくれた)感想を日記にアップされていたのですよ。
「冒頭がこんなに面白い小説は初めて読んだ」とかなんとか書いていたと思う(この前日記削除しちゃったから、ちゃんとしたことは覚えてない)

で、読み直したいと思って読み返しました。

確かに、冒頭は印象的で、いつ読んでも素敵。

でも、個人的には謎解き以降が好きだったりします。
上に引用した部分の受け答えとか。
四季博士と犀川先生の圧倒的な差がわかる会話部分のほうが、私は面白いと感じます。
多分、思いもよらなかった殺人事件の真相を暴いた犀川先生が、もっと圧倒的な力になぎ倒される、その「圧倒的」な存在である四季博士に、やられちゃったんだろうなあ。とか思います。

自分で何かいてるのかわかりません(苦笑)

四季博士は、このあと、犀川先生を唯一の「追っ手」と認定して、何回か犀川先生に向けた謎かけをしてたじゃないですか。
それでも「百年では足りない」んですよ。
人間だって鍵を開けるマシン・ミチルの程度にしか認識してないんだから、仕方ないのかもしれないけど。
「水の中ではタバコをすえない」と言ったのが気に入ったと四季博士は犀川先生に言っていたけど、多分、犀川先生は、四季博士の人生でであった人間の中でも、追っ手にしてもいいレベルには頭が良かったんだろうな。と思いました。
紅子さんは一緒に仕事をしようと誘われていたけど、あれは四季博士のほうもまだ小さくて、技術も進んでなかったぶん、その様々な部分を埋めるために誘ってたって感じがしたもんな。

閑話休題。

今回読み直して気づいたのは、萌絵ちゃんについての事が多かった。
実は、初めて読んだとき、萌絵ちゃんって好きになれなかった。
「嫌な女だな」
って思ってた。それがシリーズを通して読んでいくうちに
「あ、この子可愛いかもしれない」
と思うようになっていた。

萌絵ちゃんが成長したのかな?と思ってたのですが、今Fを読んでみると、あんまり変わってない。萌絵ちゃんは「嫌な女」ではなかった。つまり、こっちが認識変わったのでしょうね。
慣れちゃったのかも。

犀川先生も、初めて読んだとき、そのあまりの格好良さにしびれたものでした。そして今Gシリーズを読むたびに「可愛い、何て可愛いんだ犀川先生!」と思っていたのだが、Fからちゃんと犀川先生は可愛かった。

……私の認識ってなんだったんだ?(苦笑)

さて、話のほうも感想を。

読み返してみると、ちゃんといろんな部分に伏線が張られてました。
初めて読んだときはただ呆気にとられて、しびれた脳みそで「すげー」といっただけだった気がしますが、やっぱり、話がわかってて、犯人わかってて、「ああ、コレ伏線だったんだ」とわかっても、やっぱり、脳みそはしびれて「すげー」の一言ですよ。

それだけ四季博士が圧倒的であり、森センセが圧倒的なんだ、私にとって。

このショックを受ける事ができたのは、幸せなのかもしれない。

 

14冊目/100冊

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