■テスのレベルは15。最近岩山の洞窟の最深部で宝箱を見つけた。しかし持ち物がいっぱいで運ぶ事が出来なかった。
仕方ないので洞窟を出て、荷物を預け、再び洞窟に挑んだ。
宝箱の中身は、「種」だった。ちょみっとだけ強くなった。帰り道、荷物が軽かった(笑)
……以上、携帯電話アプリDQ1の報告。
 
 
■試練の洞窟 (テス視点)
洞窟は深い森の中でぽっかりと口をあけていた。
入り口のところに小さな小屋が建てられていて、そこで兵士が見張りをしているようだった。
「こんにちは」
声をかけると、兵士が軽くお辞儀をした。
「テス様、お疲れ様です! お話は伺っております。お気をつけて!」
「あ、どうも」
ボクは軽く頭を下げると、ピエールとゲレゲレ、そしてマーリン爺ちゃんと共に洞窟に入る。
一緒に来てくれたほかの皆には、いつもどおり馬車で待っててもらう事にした。
 
「うわー」
中に入ったボクらは、思わず感嘆の声をあげる。
綺麗な洞窟だった。
青緑の深い色をした石で作られた洞窟で、中はヒカリゴケでも生えているのか、うっすらと青白い光で満たされていた。
さらに同じ色の光の球体が、大小さまざまに浮かんでいる。
歩くと、その風に乗って光はふわふわと動いていく。
「ルラムーン草も綺麗だったけど、ここも物凄く綺麗だね。……ビアンカちゃんに見せたかったな」
「また来られますよ」
「うん」
ピエールの言葉にボクは頷くと、皆でまとまって奥に向かって歩き始める。一本道で、細い廊下がしばらく続いているみたいだった。
「それにしても、なぜおとなしく証を取りに来たのですか?」
「まあ、なるべく騒ぎは小さいほうがいいじゃない? ボクが帰っただけでも本当は大騒ぎなんだろうけど」
「そういえば、今のところまだ一部の者しかテスの事を知らぬようじゃの」
「まあねえ、ボクが帰ってきたら困る人も居るって事だよ。だからなるべく、本当に王になるまで黙っておきたいんだ」
「そんな事が!?」
「どこにでも、今の地位を守りたい人は居るよ。もしくは、もっと上に行きたい人とかね」
「一体誰が?」
「……大臣だよ。オジロン様はさ、お人よしって言うか、自分でどうこう意見を言ったり、決断をするのが嫌な人みたいでね。大臣に助言を頼むわけ。つまり、大臣は思うとおりにコレまでこの国を動かしてきたんだ。でも、例えばソレでおかしなことになっても、その時は王の首が落ちるだけだよね? これほどおいしい役職はないでしょ? ところが、ボクが王になったら自動的にオジロン様は大臣に下がって、大臣はもう一つ下に下がるよね? それって嫌でしょ? 大臣にしてみれば。そういうことだよ」
「お前さん、それを知ってて大臣の言いなりでここまで来たのか!?」
マーリン爺ちゃんが呆れたような顔をする。
「あの人、『そこそこ新しいほうも言いなりに出来る』ってわかったら、おとなしくしてるんじゃないかな? とか思ったんだよ。ああいう人はさ、それなりに使い方さえ間違わなきゃ便利だし」
「主殿……」
「お前さん逞しくなったなあ」
ゲレゲレが呆れたように鳴いて、ピエールや爺ちゃんも何だか遠い目をしたような気がしたけど、気づかない振りをした。
「お城って恐いねえ、ホント」
 

そんな話をしているうちに、やがて大きな半円形の部屋に出た。
部屋の真ん中には大きな石版が埋め込まれていて、何かが書き付けてある。
半円を描く壁には、等間隔で青い金属製の、彫刻の美しい扉が4枚ついていた。
ボクらは石版に近寄る。
 
『王たるべき者、決して争いを許すべからず。
 互いに背を向けるものあらば
 王自ら出向きて正しく向かい合わせるべし。

 全ては紋章の導くままに……』
 
ボクは声を上げて石版を読み上げる。
「……だって。何だろう? 王様って争いを収めに行くの?」
「人間界の王がどういう仕事をするかは、お前さんのほうが良くしっとるじゃろう?」
「そういう話は聞いてないなあ。……まあ、紋章の導くままにって言うんだから、思い通りやれって事かな?」
そう言いながら、ボクは石版の裏側に回ってみる。石版の裏側はのっぺりとしていて、何もかかれていなかった。
「石自体は随分古いものみたいだから、書かれている言葉はずっと昔から同じだったんだろうね。……お父さんもコレ読んだのかな?」
その言葉を聞いて、ゲレゲレは少し小さく鳴いたあと、ボクの腕に鼻先を寄せてきた。ボクはその頭をなでながら、首を傾げてあたりを見回してみた。
良く見ると、扉の前の床には小さな正方形の窪みがあって、一箇所だけに紋章の入った石版が埋められていた。
「……なるほどね、『全ては紋章の導くままに』ね。……皆行こう、多分この部屋だから」
 
 

扇形の小さな部屋だった。
部屋の中央近くには、お互いに別のほうを見た二匹の鷲の石像が置かれていた。
「ああ、なるほど『自ら出向きて正しく向かい合わせるべし』ね。割とあからさまなヒントだね。単純」
ボクは笑うと、石像をお互いに向き合うように動かし始める。
何か仕掛けでもあるのか、随分重くゆっくりとした動きで石像が動く。
「こちらのをまわしましょうか?」
ピエールが向かい側で声をかけてくれたけど、「王自ら」って書いてあったから、自分でまわす事にした。

向かい合わせてみたけれど、何も変わらなかった。
 
「?」
仕方がないから、外に出てみると、入るときには扉の前に埋め込まれていた紋章がなくなっていた。
その代わり、別の位置に紋章が移動している。
「どうやら、同じ事の繰り返しかな? 四部屋あるから、四回?」
「……結構重労働ですね」
「疲れたら休めよ? それじゃなくても春に一回倒れておるんじゃからな?」
「わかってるよ」
ボクは笑って答えると、再び全員で新しく紋章が移動した部屋に入った。やっぱり、中は同じつくりになっていて、同じように違う方向を向いた鷲の像が二体おかれていた。
ゆっくりと向かい合わせるように動かすと、遠くのほうで低く「ごとん」と何かが動くような音がした。
「今、何か音がしたね?」
尋ねると、皆が頷く。
「行ってみよう」

部屋の外に出てみると、景色が変わっていた。
半円形の部屋ではなく、真っ直ぐの廊下が伸びていた。
「正解だったみたいだね」
「四回もさせないあたりに、昔の王達の賢さを垣間見ますね」
「じゃな、正解かまぐれかは、今の回数でわかるもんじゃしな」
ボクらはお互いに顔を見合わせ、大きく頷きあってからその廊下を進んだ。

 
■試練の洞窟、とても綺麗で大好きです。
敵が(最初のほうは)出ないのも良い! さらにパズル!(とても簡単)
たーのしー。
 
次回は二階を探検。
 

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