■DQ8をやろうかな、と思って「冒険の書を作る」までは実際にやってみた。
で。
名前が思いつかなくて、そこでやめた。
おとなしくDQ5で駆け落ち手伝ってこよう……。
 
 
■グランバニア 6 (テス視点)
茫然としたまま、ビアンカちゃんが居る部屋に戻る。しばらくは、ここがボクとビアンカちゃんの部屋になるらしい。
 
かなり広い部屋で、ベッドが部屋の真ん中にある。ビアンカちゃんはそのベッドで横になっていた。随分顔色がよくなっていて、安心する。
部屋の端っこには、仕切りで仕切られた空間があって、そこにはプライベートのお風呂までついている。
他にも、豪勢なソファだとか綺麗な置物だとか高価そうな花瓶と、そこに活けられた綺麗な花だとかがあって、ちょっと落ち着かない気分になる。
「王様、何だって?」
「なんか、王様になれとかなんとか……」
「え?」
何だか頭がぼーっとして、説明が出来ない。
どうやって伝えたらいいのかな、と考えていると、部屋のドアがノックされた。

ドアを開けると、サンチョが居た。
「お話があるのですが……」
サンチョは少し思いつめたような顔をしていた。
「うん」
ボクはサンチョを部屋に招き入れて、ソファに座る。
やわらかくて体が沈むような感覚に、どうも落ち着けない。
「サンチョも座りなよ」
そう声をかけると、サンチョはしばらく迷ってから浅くソファに腰掛けた。

「坊っちゃん」
「何?」
「坊っちゃんがお父上と旅に出るときの事なのですが」
「うん、ちょっと聞きたいかも」
ボクらが話を始めようとしていたら、女の人が紅茶を持ってきてくれた。
「あ、ありがとう」
声をかけると、女の人は照れたような笑顔を浮かべてそそくさと帰っていった。
「坊っちゃん、なかなかお上手ですよ」
「何が?」
「いえいえ」
結局サンチョは何について褒めてくれたのか、全然教えてくれなかった。ビアンカちゃんは向こうでくすくす笑っていた。
……なんだったんだろう?

「父上が旅に出る時、本当は坊っちゃんを置いて行こうとしたんですよ。しかし坊っちゃんは火がついたように泣き出して……結局つれて行くことにしたんです」
サンチョは、懐かしそうな顔をしながらそんな事を話し始めた。
「けれどだんな様は『連れて行く限りは、この先何があるかも知れぬ。無事に城に戻るまでは王子であることを明かすな』ってそうおっしゃられて……」
サンチョはいきなりソファから降りると、床に座って頭を下げた。
「坊っちゃん! 今まで隠していてすみませんでした! このサンチョを許してください!」
「お父さんに言われてたんなら、仕方ないよ。別に怒ってないしさ。サンチョとりあえずソファに座ってよ。そういうことしないで」
ボクはサンチョの腕を引っ張ってサンチョを起こした。
「……オジロン王の申し出をうけてこの国の王になってください! でないとこのサンチョ、天国にいるお父上に合わせる顔がありません! うっうっ……」
サンチョは泣きながらボクの顔をしっかりと見た。
「……ええと」
ボクは助けて貰いたい一心でビアンカちゃんのほうを見た。
ビアンカちゃんは笑いながら頷く。「いいよ」って返事してもいいって事だろう。思う通りにしなさいって。そういう意味だと思う。だからボクは頷いた。
「うん、わかった、わかったからねサンチョ。とりあえず落ち着いて。王様になれるように出来る限りの事はするから。だからね、もう泣かないで」
「本当ですね!? 本当ですね坊っちゃん!?」
「……うん、頑張る」
ボクは声が小さくなっていくのを感じながら、とりあえず頷いた。
しばらくサンチョは色々とボクに話をしてから、満足そうな表情で部屋から出て行った。

何だか良く分からないまま、一日が過ぎていった。色々な事が起こりすぎたせいで、どうも疲れてしまった。
わけのわからないまま王様になる約束をして、なんだかわからないまま食事をして、気がついたら眠ってたって感じ。
ほとんどビアンカちゃんとは話す時間が取れなかった。

目が覚めると、隣でビアンカちゃんがニコニコ笑っていた。
もう起き上がって、元気そうにしている。
「おはようテス。昨日は二人とも凄く寝ちゃったね」
「大丈夫なの?」
「うん、私は大丈夫よ。だいぶ元気になったみたい」
ビアンカちゃんはボクの前で軽く飛び跳ねて見せた。
「でも、テスのほうが今は大丈夫じゃないんじゃない? 吃驚しちゃったもんね。テスがこの国の王子様で、今度は王様になっちゃうかもしれないんだもんね」
ビアンカちゃんは少し困ったように笑った。
「もしテスが王様になっちゃったら、私達の子どもは王子様やお姫様ね」
ビアンカちゃんは自分のお腹を見て、何だか不思議そうな顔をした。そのあと、顔を上げてにっこり笑う。
「なーんてね。そんな事はどうでもイイの。私は今のままで十分幸せだから。テスがしたいようにしたらいいよ。王様になりたいならなればいいし、なりたくないなら、ならなくていいいよ」
ボクはビアンカちゃんをそっと抱きしめる。
「ボクは……隣にビアンカちゃんが居るなら、王様になってもならなくても、本当はどっちでもいいんだけど……。サンチョにあんなふうに泣かれちゃったら、とりあえずなるしかないって言うか……。それにビアンカちゃんの事を考えたら、しばらくはここに留まったほうがいいから、周りの善意に甘える事にする。その結果王様にならなきゃいけないみたいだけど、まあ、何とかしてみせるよ」
「変なの」
ビアンカちゃんはくすくす笑う。
「王様って、普通なりたくてもなれないのに、テスは私の定住のために王様になっちゃうんだ」
「本当、おかしな話だよね」
ボクもつられて笑う。
「けど、なるからには真面目にやるよ、勉強だって、全力でする」
「そりゃ、そうじゃなきゃ国の人に迷惑よ。私もこのまま何もなければ王妃様なんだね。……一緒に勉強しなきゃ」
ビアンカちゃんが困ったように笑った。ボクもつられて苦笑する。
「ま、ね」
ボクは返事して大きく伸びをした。
「王様がしっかりしないと困った事になるのは、骨身にしみて分かってるから。やれるだけのことはやるよ」
「うん、がんばってね。私もがんばるから」
 
ボクらは指切りして、お互い頑張ることを約束しあった。
 
「あ、でもビアンカちゃんは頑張りすぎちゃ駄目だよ? もう倒れたりしないでね? 本当に」
「わかった、わかったわよ」
ビアンカちゃんは唇を尖らせて不満そうに言って、それから笑った。
これから忙しくなるんだろうなって思うと、ちょっと気分が沈むけど、何とかしていこうって思った。

 
■とりあえず、グランバニア到着編はコレでおしまいってことで。次回からは洞窟に行ってまいります。
本当は、色々と「王様になるための勉強編」とか考えたんですけど、コレはあくまで「プレイ日記小説風」。とりあえずその辺は削除してどんどん進んで行くことにしました。
「王様に以下略」は気が向いたらサイトで書けばいいや。
もうどうでもいいや、その辺は。

 

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