■エスタークさんも倒した今日この頃、もうDQ5でやれる事といえば、最後のすごろく場と、若き日の父母の駆け落ちの手伝いくらいだ。

先にすごろくやっちゃおう、とはじめてみた。
ところがテっちゃんは死ぬほど運が悪い。
そのせいで私がやる気をなくしてしまった。もうすごろくは嫌だ。
でもちゃっかり「星降る腕輪」は道具屋で購入に成功し、妻と息子への土産にした。娘?昔から装備済みだ。自分?その場で装備したに決まってるだろう。

……先に駆け落ちの手伝いにいくかなー。

 
■グランバニア 5 (テス視点)
ビアンカちゃんの体調が落ち着いた頃、ボクはオジロン様に呼ばれて、階下にある王の間へ出向いた。
オジロン様が王座でニコニコと笑いながらボクを待ってくれていた。
「おお! 既にシスターから聞いたぞよ。めでたい限りじゃ。おめでとう、テス」
「どうもありがとうございます」
ボクは出来る限りの笑顔を浮かべて答える。
オジロン様はそれを見て満足そうに笑った。
「そこで、テスに話したい事があるのじゃ。さあさあ、こちらへ」
言われるまま、ボクはオジロン様に近づく。
「実はな、テス。わしはそなたに王位を譲ろうと思うのだ」
「……え?」
そう思ったのはボクだけじゃなかったらしい。オジロン様の隣に控えていた大臣が慌てたように口を挟む。
「オジロン王! 私に何の相談もなく、突然何を言われる!」
顔を真っ赤にして、かなり慌ててる。
 
……なんか、いやーな感じの流れになってきてる気がするぞ、コレは。
それには気づかないのか、オジロン様は笑って続ける。
「まあまあ、いいではないか大臣。わしは元々人がいいだけで、王の器ではないのだ。兄上の息子、テスが帰ってきた以上、テスに王位を継がせるのが道理というものじゃ」
「しかしオジロン王!」
 
目の前で広がるオジロン様と大臣の言い合いを、ボクはしばらく他人事のような気分で見つめていた。
オジロン様は、多分自分のことを良く理解しているのだろう。
簡単に「王位を譲ろう」って考えるくらいだから、かなりのお人よしなのは間違いなさそう。
大臣のほうは、多分そういう王様のもと、かなり好き勝手してきたと見た。ボクが王様になると、色々問題があるんだろうな、彼としては。
 
……政権争いってろくでもないんだけどなあ。
 
「……そこまで言われるなら……」
ぼんやりしているうちに、どうやらオジロン様と大臣の話し合いは決着がついたらしい。大臣がため息と共に声を絞り出した。
「代々王になられるお方は試練の洞窟に行くのがわが国のしきたりです、行っていただきましょう、テス様に」
大臣は暗い瞳をボクに向けた。
「?」
オジロン様はぽかんと大臣を見つめる。
「だが大臣、昔と違い今ではあの洞窟にも魔物が……」
「どんな事があろうとも、しきたりはしきたりです! 守っていただかぬと!」
「まあ、それもそうか……」
 
……言いくるめられたよ、この人は。
何かこの二人の……ひろーく言うとこの国の構造が、一瞬見えた気がしたぞ、今。
 
「テスよ、話は聞いたであろう。わしはそなたに王位を譲りたいのじゃ。頼む。試練の洞窟にいって、王家の証を取ってきてくれ! その時こそ、そなたに王位を譲ろうぞ!」
「……あの、盛り上がってるところ悪いのですが……」
ボクは恐る恐る右手を上げて言葉を挟む。
「……試練の洞窟ってどこにあるんでしょう? それにボクがいきなり王座につくっていうのもどうでしょう? 自分で言うのも恥ずかしいですが、ボクは庶民として育っているので、全くしきたりとか知りませんし、はっきり言って無知です」
 
オジロン様と大臣の話し合いがまた始まった。
 
出来れば、とりあえず諦めてほしいな、とか思う。
王位なんてついちゃったら、簡単にお母さんを探しにいけないし、別に偉い身分なんていらない。
この国のどこかに、小さな家でもくれればそれでいいのに。
ビアンカちゃんが落ち着いて子どもを産める場所と、そのあと落ち着いて暮らせる場所さえあれば、別にいいのに。
 
「テス」
オジロン様の声でボクは我に返る。ちょっとぼんやりしすぎたらしい。
「試練の洞窟は、この城から北東の森の中にある。しかし、お前が言うとおり、いきなり王になるのもなかなか辛いものがあるだろう」
「そうですよね?」
ボクは期待に満ちたまなざしをオジロン様に向ける。
さあ、言っちゃえ、「やっぱりやめた」って!
「この国は見ての通り山の中にある。冬の雪はかなり積もるんじゃ」
「……はあ」
 
……なんか予想外の方向に話が進み始めたような……。
 
「慣れた者でも、雪の山道はかなり辛い。思えばビアンカさんも初めての土地で不安も多かろう」
 
……???
 
「もうすぐ本格的な冬が始まる。そこでだ。出発は春にしなさい。その頃にはビアンカさんもここでの生活に慣れるだろうし、春になるまでテスにはばっちり勉強してもらう時間が取れる」
 
ちょ、ちょっと待って???
えええ???
王位継承話は継続してるの??
 
「な? どうじゃ?」
オジロン様、満面の笑み。会心の提案だと思ってるぞ、コレは。
大臣が後ろで苦虫噛み潰したような顔してるぞ?
 
……。
コレは、もう、諦めるしかないのかな???
 
「はあ、まあ、がんばります」
ボクは結局首を縦に振るしか選択肢がなさそうだという結論に達して、仕方なく首を縦にふってしまった。

長いお城での生活が、この瞬間スタートした。

 
■本当はもうちょっと先まで書きたかったのですが(実際書いてた)文字数に阻まれました。まあ、いいや、明日書こう。

もう一回だけグランバニアを書いてから(後日談みたいになるのかな?)試練の洞窟に向かいたいと思います。
 
……長いな。くそう。
 

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