■「DQ8やりたい」
「買えよ」
「買ったらDQ5絶対クリアできない」
「じゃあクリアしろよ、あのレベルならできるっつーの!」
 
そんな昼下がりのとある兄弟の会話。
 
 
……クリアできるのは分かってるんだけどさー。
まだすごろくとか全然やってないしさー。
もっとレベル上げたいしさー。
正直、クリアしたら絶対この日記停滞するからさー。
 
しかもそんな金あるんだったら、今ならもれなく水槽に投資するよ、私は。
 
 
……とかいいつつ、DQ5のPS2版のCD(都響版)を買って帰った私。ちゃんと聞いたらレヴュー書きます。
 

 
■山奥の村で (テス視点)
村は相変わらずゆっくりした時間が流れている感じがした。どことなく、ほっとする。
ボクは深呼吸した。
落ち着かなきゃ。
村に入るとき、ひとしきり皆にからかわれたせいで、どうも緊張してきた。
 
ちょっと前にあったときは、ダンカンさんは「おじさん」だったのに、今日は「お義父さん」。
 
あー、人生って不思議。
何が起こるかなんて、誰も本当に分からないんだ。
 
 
……まあ、幸せになる「唐突」なら、いいか。
コレまでの人生の「唐突」は、全部不幸になる類だったから。
 
ボクはもう一度深呼吸。
なんだか顔がにやけてる気がする。
せめてね、きりっとしていかないと、ダンカンさんも不安だろうし。
 
 
ボクは、ヴェールは後回しにして、先にダンカンさんの家がある村の奥を目指す。
軽くノック。
返事を待ってから、ボクは家の中に入った。
「おやテス。ビアンカはどうしたんだい?」
ダンカンさんは、ボクを見て首をかしげた。
「えと……ビアンカちゃんは今……サラボナで結婚式の用意をしてます」
「……何故?」
「あの、その……」
色々考えてあったはずの言葉が、全部頭の中から消えうせていって、ボクは口ごもる。
「つまり……あの、ビアンカちゃんに、結婚を……申し込んで」
ボクがなんとかそういうと、ダンカンさんはビックリしたようにボクを見て、一瞬黙った。
そして、笑った。
「そうかそうか! ビアンカを嫁にもらってくれるのか! いやありがとう! これで私も安心だよ!」
「……あの、いいんですか? ダンカンおじさん……じゃなくて、お義父さんだ……」
ダンカンさんは、今度は大声で笑った。
「テス、無理にお義父さんなんて言わなくていいよ。べつにコレまでどおりでいいよ」
ダンカンさんは笑いすぎておなかが痛い、とまで言い出す。
「あの、いいんでしょうか?」
「いいよー、全然かまわない。ビアンカはずっとテスの事を好きでね、ずっと想ってた。そんな相手と結婚できるんだ。私がとやかくいうことはないさ。……ビアンカを幸せにしてやっておくれ」
ダンカンさんはそういって、ボクの手を握った。
ボクは頷く。
「ボクも、ビアンカちゃんに幸せにしてもらいます。……ずっと旅を続ける事になるから、苦労をかけると思うけど……大事にします」
「二人で仲良くやりなさい」
ダンカンさんはにっこりと微笑んでくれた。
「家族ができるって言うのはね、とても嬉しいことだよ。幸せなことだ。テスはもう、父さんを亡くしてたった一人だった。これからどんどん家族が増えるぞ? そのせいで背負う苦しみや苦悩もあるだろうが、それ以上に幸せを家族からもらえる。……幸せになりなさい」
「……ありがとう、ダンカンさん……じゃなくて……」
「だから気にせんでいいよ」
ダンカンさんは苦笑する。
「結婚式、来ていただけませんか? またここまで送りますから」
「連れて行ってくれるのかい?」
「ええ、もちろん。ただ……ちょっと一緒に行く仲間が特殊ですけど」
「え?」
ダンカンさんはボクが魔物を仲間にするという話を聞いて、豪快に笑った。
「パパスも不思議な男だったが、テスも変わってるな! たのもしい限りだよ、行く先々で次々たのもしい仲間が増えるってことだ」
 
 
ダンカンさんと二人で、よろず屋に向かう。
途中で何人か村の人とすれ違うたび、ダンカンさんは少し世間話をする。
ソレを見ていると、ダンカンさんが村でちゃんと愛されて生活しているのが分かる。
ビアンカちゃんを連れて行ってしまっても、大丈夫。

 
「ああ、シルクのヴェールならご注文の通りいいのが出来たよ! そらこれだよ。持って行っておくれ」
よろず屋のおじさんは機嫌よく円柱形の箱を渡してくれた。
「もうね、自分でも惚れ惚れするくらいの出来だよ。フローラさんとか言う娘さんがかぶるんだろ?」
「……ビアンカだよ」
ダンカンさんがちょっと照れたように言うと、よろず屋のおじさんは目を丸くした。
「えぇぇ!? ビアンカさんか!? だってこれ、サラボナのルドマンさんに頼まれたんだよ?」
「なんか色々あったらしいんだわ、この子がウチの婿」
「はー」
よろず屋のおじさんは心底驚いたようにボクを見た。
「そうかそうかー、いやダンカンさんおめでとう」
「今から結婚式を見に行ってくるよ」
 
 
よろず屋さんをでて、ボクとダンカンさんは村の外を目指す。
「ああいうの、言ってよかったんですか? 村に戻ってきたら話しが広まってますよ? きっと」
「いいんだよ、めでたい話だからばーっと広まれば。説明する手間も省けるってものだ」
ダンカンさんはそういって豪快に笑った。
 
小さい頃から、ダンカンさんといえばなんか「病気で寝てる」っていうイメージで、この村についたときも実際寝込んでたから、こんなに元気なのがちょっと不思議な気分。
「それじゃ行こうか、テス。仲間のみんなに挨拶もしないとねえ」
ダンカンさんはボクよりも足早に歩いていく。
ボクはそのあとを追いかけるのに必死なくらい。
 
 
結婚したら幸せになるのは、ボクとビアンカちゃんだけだって思ってた。
実際は、ダンカンさんも幸せそう。
 

本当は、ちょっと怖かった。
ダンカンさんからビアンカちゃんを連れて行くことが。
ダンカンさんにとってどれだけ苦痛だろうかって。
 
 
 
初めて、いいことをしたのかもしれないって思った。

 
 
おかしい、今日はサラボナに着く予定だったのに。
つかなかった。
それどころかヴェール貰って終わりだ。
……そういえば代金はどうだったんだろう?
ルドマンさん、前払い?
 
ともかく明日から結婚式です。
しばらく結婚式続きそうな予感です。
  
 
 

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