■実は、近頃(現在ジャハンナ付近)の馬車にはスラリンが乗っていませんでした。(ゲレゲレもね……)
しかし、馬車の中のメンバーはほとんど使わないことに気付き、だったらレベル99になって炎を吐くスラリンが見てみたいなあ。とか思って、馬車メンバーにスラリンを入れてみました。(ゲレゲレも入れてみた。ほとんどキャラ萌えみたいなレベルで)
 
それで気付いた。
スラリンって、本当の表記は「スラりん」だったんですね……。
もう、このシリーズではスラリンと表記統一で。

■サラボナ 3 (テス視点)
ボクはとりあえず、二階に行ってみることにした。
さっきの話じゃ、天空の盾は結婚しないともらえないみたい。それじゃ困る。
何とか、結婚しないで譲ってもらうとか、分割払いで売ってもらうとか、貸してもらうとか、そういう平和的な解決に出来ないだろうか?
 
結婚は、ちょっとねえ。

二階に上がると、広い廊下に部屋が並んでいるのが見える。
そのなかの一つの扉をノックしてから中に入ると、そこにはルドマンさんとその奥さんみたいな女の人がいた。
「なんだ? まだ居たのか?」
ルドマンさんがボクを見てそういったあと、
「まあ、情報を集めるのは商売の基本。なかなか見所があるな。炎のリングは噂では南東の洞窟に眠っているという事だ。二つのリングを手に入れなければ、フローラとの結婚はみとめんぞ?」
ルドマンさんはそういって笑った。奥さんのほうは、ソレを見て少し困ったように
「この人ったら、言い出したら聞かないんだから。フローラの気持ちも考えてあげればいいのに……」
なんていって、大きくため息をつく。

まいった。
こんな状況で「家宝の盾の話ですけど」なんて云おうものなら、どんな言い訳しても絶対に盾をボクが手にすることはないだろう。
でも、盾のために結婚するっていうのも、相手であるフローラさんにとても失礼な話だ。

どうしたものかな?

とりあえず、ボクは挨拶をしてルドマンさんの部屋を出る。
次の扉をノックして中に入ると、フローラさんが居た。
ぼんやりとドレッサーの前で物思いにふけっている。
「あの、フローラさん」
声を掛けると、彼女が振り返る。少し泣いていたみたいだ。
「大変な事になってしまいました」
フローラさんは目を伏せる。
「私の父は昔から強引なんです。あなたも、危ないことをしないで下さいね? 二つのリングなんかなくったって私……」
フローラさんはそういうと、頬を染める。
 
綺麗な人だなあって、本当に思う。
それにとっても優しそう。
見てるととてもドキドキする。
イイ匂いするなあ。
なんだろう。
緊張してきた。

「あなたには、何だか懐かしい雰囲気をかんじますわ。もしかしたら、ずっと昔、どこかでお会いしたのかもしれませんね」
フローラさんはそういうと、ボクを見てにっこりと笑った。
ボクもにこりと笑い返す。

ボク、この人とだったら、結婚してもいい気がしてきた。
不思議な気分。

サラボナに帰る家が出来て。
お母さんを探して旅をして、疲れたらここに帰ってくる。
此処に待ってくれてる人が居る。
いつもにっこり笑って待ってくれている。
いつか家族が増えて、にぎやかになった頃、お母さんが帰ってくる。
そのまま、あとはずーっと幸せに暮らす。

そういうのって、いいかもしれない。

フローラさんは、ボクのこういう気持ち、わかってくれるかな?
帰るところがあるっていう、幸せだとか、安心だとか。
ボクに欠けていて、ボクがもしかしたら本当に欲しいものは、そういうものかもしれない。
それを、この人は、ボクにくれるかもしれない。
盾なんて、そのオマケでいいんじゃない?

「あの、フローラさん、ボク頑張ります。絶対、リング手に入れてきます」
「え?」
「だから、待ってて」
フローラさんは嬉しそうににっこり笑って「ええ」と頷く。
ボクもにっこり笑って、部屋をあとにする。

そのままルドマンさんの家をでて、まっすぐ町の外へ向かって歩く。
いつもどおり皆が待ってくれていた。
「どうした? なんか嬉しいことでもあったか? もしかして、天空の盾、貰えたのか?」
スラリンがボクを見上げて、不思議そうに訊ねる。
「うん。天空の盾、手に入るかも知れない」
「本当ですか? 主殿!」
ボクは頷く。
「あのね、この町の商人でルドマンさんっていう人が、その盾を持ってるの。そこの娘さんが今結婚相手を探しててね。ルドマンさんが出した条件をクリアすれば、娘さんと結婚させてもらえるの。その証として、盾をくれるの。他にも立候補してる男の人がいるから、負けられないんだけど」
 
皆が一瞬、黙った。
 
「……ちょっと待ってください? 主殿? まさか、財産目当てに結婚を考えたんですか?」
「それはちょっと人でなしだぞ?」
「テスさん、ひどーい」
「違うよ、ひどいなあ」
ボクは口を尖らせる。
「昨日、此処で犬を捕まえてあげたでしょ? あの時の女の人がフローラさんなんだけど、とっても優しくて綺麗で、温かい感じで。ボクね、あの人なら結婚していいなあって思うんだ。なんていうのかな? ボクに欠けてるものを持ってくれてるんじゃないかって思うんだ」
「……まあ、一目惚れというのは、確かにあるもんじゃがな」
マーリン爺ちゃんがそういってボクを見る。
「お前さんの人生じゃ。本当にあのお嬢さんを幸せにするつもりなら、わしらは何にも言わんよ」
「フローラさんを幸せにしたいし、ボクも幸せになるの」
ボクは答えると、地図を広げる。
「とりあえず、南東の方角にある洞窟っていうのを目指すから」
「わかったー」
ボクらは南東目指して歩き出した。

 

実は、「フローラさんとの結婚に立候補する」この辺の主人公の気持ちがよくわかりません。
 
思わずRinちゃんに「Rinちゃんトコのリュカくんは、一体なんでフローラさんとの結婚に立候補するの?」とか、助言を求めたくらいに、解らない(笑)
ちなみにリュカくんはとってもいい子でかわいい子です。
うっかり巻き込まれるんだとか。
 
……テっちゃんは何で立候補するのかなあ?と考えた結果が、昨日の「あくまでも天空の盾の話を聞きに来た」という態度だったわけです。
しかし今回。
あの「結婚なんて興味ない」「結婚はずっと先の話」とかいってたテっちゃんが。
「結婚してもイイや。むしろしたい」ですよ。
テっちゃん、心変わり早っ!(笑)
 
でも、本当に「天空の盾」の為だけに立候補するんだったら、それは酷い話じゃないですか。
ちゃんとフローラさんの事を考えた上で、「結婚したい」と思って立候補してほしいじゃないですか。
それが今回の「テっちゃん心変わり」の理由。
ちょっと苦しい展開なのは、十分承知してます。
でも、この瞬間から、テっちゃんのフローラさんに対する淡い恋がスタートしてると思ってください。
基本的にこの人、愛に飢えてるしね。
温かい雰囲気って憧れを持ってるんです。そんな感じで。

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