■思いがけない人が、これを読んでくれていることが判明。
ちょっと気を引き締めねば!とか思いました。
でも、結構厳しい意見で接してくれる友人が、かなりほめてくれたのでちょっと嬉しかったりするのだ。にやにや。
 
 
■村の怪物 3 (テス視点)
村を出て、西の方角を見てみる。
海岸線に沿うように、険しい山が続いていて、海沿いに細く平原が続いている。
かなり長くその地形が続いているみたい。山陰になっている平原はかなり薄暗い。
なんだか、その細い道は西に住んでいるという怪物の口まで、ボクらを導いているようにも感じられた。
「……なんだか気味が悪いね」
ボクが云うと、皆が同意する。
「気をつけて行ったほうがいいですね」
ボクは頷き返すと、ゆっくりとその細い道を歩きはじめた。
 
 
夏も近いって云うのに、日陰になっている道は少し肌寒い。吹き抜けていく風も、どこか冷たい気がする。
「こんなところに住んでる怪物って、どんな感じだろうな?」
スラリンは不思議そうに呟く。
「うん、とりあえずとっても怖いって云うのはわかってる」
「でも、畑の作物を荒らしておるんじゃろ? とりあえず草食じゃろうな」
「そう考えるとあんまり凶暴な感じしないよね。あの村は畑が主な仕事みたいだったから、死活問題だろうけど」
「そうじゃな」
そんな話をしながら丸一日くらい歩いていくと、細い道は行き止まりになった。
ただ、行き止まりにぽっかりと、洞窟が口をあけていた。

「……ここかな?」
ボクはその洞窟をぼんやりと見つめる。低いうなり声が聞こえた気がした。
「……うーん」
ボクは地図を見てみてから、とりあえずみんなに向き直った。
「あのね、皆に謝らなきゃいけないことが今判明」
「どうされたんですか? 主殿?」
ボクは無言で地図を皆に見せる。皆はソレを覗き込んで、不思議そうに首をかしげた。
「ボク、ずっと前にポートセルミを出る時に、北に町ひとつ、南に村と町だから、先に北を回るって云ったよね?」
「云った」
「今、気付いたんだけど、ここ、南にある町に道続いてないね」

一瞬、しーんとした。
 
「テス……地図見間違ったんだな?」
スラリンの低い声に、ボクは頷いた。
「そうみたい……。ごめん。この村での頼まれごとが終わったら、一回ルーラでルラフェンに戻って、そのあと南下になるね」
そしてボクは皆に向き直って、頭を下げる。
「……ごめんね」
「ま、時々間違うこともあるわな」
マーリン爺ちゃんが苦笑しながら言ってくれて、とりあえずこの話は終わりになった。
「じゃあ、洞窟行こうぜ!」
スラリンの声に、ボクらは頷く。
「早く村の人たちに安心してもらわないとね」

 
 
洞窟の中は、随分と湿った空気がよどんだように感じられた。
思えば洞窟にもぐるのはサンタローズ以来でちょっと久しぶりだ。
「気をつけて行かなきゃいけないね」
ボクらは頷きあうと、入り口の階段を一段ずつゆっくりと下る。
洞窟は自然に出来ていたものに、すこし人間が手を入れたらしい。階段はしっかりしていたけど、あとは天然らしく、道はくねくねしているし、床だってでこぼこしている。

入り口から見ると、すぐに道が左右に分かれていた。
どっちの奥のほうも、暗くてどうなっているか見えない。
洞窟の床には、所々草が生えていて、それに足をとられることもあった。
「皆、気をつけてね」
「ええ」
魔物の巣、というだけあって、かなり手ごわい魔物が何度か襲い掛かってくる。
その中には、ガンドフと同じビッグアイや、マーリン爺ちゃんと同じ魔法使いなんかもいて、少し戦いづらい。
一番、気分が重いのがベビーパンサーやキラーパンサーだった。ゲレゲレを思い出しちゃうから。
思えば、妖精の国で「おぬしの連れているのはキラーパンサーの子ども!」ってお爺さんにビックリされたこともあった。あの頃はゲレゲレはネコだと思い込んでたから、笑い飛ばしちゃったけど、あのお爺さんは正しかったのかもしれない。
「主殿? どうされました?」
「うん、ちょっと昔飼ってたネコのことを思い出してたの」
「アレはキラーパンサーですよ」
「うん」
ボクはあいまいに返事をしながら、ピエールに笑いかける。
「ま、そうなんだけどね。もしかしたら、昔ネコだと思っていたのは、ベビーパンサーだったのかもしれないって思って」
「……そういうの、見間違うか?」
スラリンは呆れたように云いながら、ボクを見上げる。
「小さかったからなあ」
「いや、おおきいちいさい関係ないだろ」
「うん、ま、そうなんだけどね」
ボクは答えながら、書いていた洞窟の地図に目を落とす。そして入り口から見て右側の通路に大きくバツ印をつけた。
右の通路は行き止まりに小さな池があるだけで、あとは何もなかった。
 
 
入り口に戻って外で休憩を少しだけ取ってから、もう一度洞窟にもぐる。今度は入ってすぐ左に曲がる。相変わらず道はでこぼこで、草が生えてるところもある。
「結構つらいかも、この洞窟」
「まあ、魔物の巣ですからね」
「ピエールも、スラリンもコドランも大丈夫?」
「オイラはまだ平気」
「大丈夫です」
スラリンとピエールは口々に答えてくれて、コドランも機嫌よさそうな声でグルルとないた。
「そう、良かった。ボクもまだ平気」
ボクは書いている洞窟の地図を見直す。
「とりあえず、この左側の道を、一番奥まで進んでみよう」
「わかりました」
ボクらは頷きあうと、気を引き締めてまた歩き出した。

 
 
洞窟探検は、書くのが面倒ですね。
というのも、攻略本はあくまで「画面として見る地図」なわけです。しかし、テっちゃんの視点で書くと、その「画面としてみる地図」とは左右逆になっちゃう事もあるわけです。(入り口が南側だと、同じになる)
今回で云えば、入り口から見て右手側、というのは画面で言う左のルートになります。
テっちゃん、別に道を間違ってませんからね!(笑)
ちなみに私はそれほど方向音痴ではなく、地図を見るのも苦にならないので、あまり困らず書いてます(笑)
 

 

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