■50回を記念したわけでもなんでもないですが、先ほどちょっくらお父さんの仇の片割れをやっつけてきたり、ビアンカちゃんを救出したりしてまいりました。
 
子供の前でもへーきで惚気てくる、ビアンカちゃんにテっちゃん(つーか私)たじたじ。
  
っかー! 可愛いぜビアンカちゃん!(親父モード突入)
萌えも補充したところで、がんばって書こうと思います。

 
■ルラフェン4 (テス視点)
ルラフェンから北西にしばらく進むと、地図で見ていた小高い丘のふもとにたどり着いた。
そこそこ通る人でもいるのか、かなり幅広い整備された山道が頂上に向かって伸びている。その道を登りきると、森が広がっていた。
地図で見ていた大きな滝はすぐそこにあるらしく、ごうごうと大きな音が聞こえてくる。
「あの音、滝の音かな?」
「かなり大きな音ですね。地図で見る限りかなりの大きさの滝でしたから、渡るのは大変かもしれませんね」
「一応、橋が渡してあるみたいだけどね」
ボクとピエールは地図を覗きこむ。ここから西に進めば、やがて湖から流れ出る川に、橋が架かっているはずだった。
そこから覗き込めば、すぐのところに滝があるはず。
「覗き込んでうっかり落ちるなよ、テス」
「スラリンこそ、あんまり身を乗り出さないでね?」

一日くらい歩くと、森が途切れて目の前に湖が広がっていた。
大きな湖で、対岸が見えない。
まるで海のようなのに、やっぱり潮のにおいはしなかった。
「これ、湖なんだよな? 海じゃなくて」
スラリンが飛び跳ねながら、ボクに尋ねてくる。
「そうだよ、すごく大きいね」
夏が近い、少しキツメの日差しを反射して、水面がキラキラと光っている。湖の上を通り越してきた風が、汗をかいた身体に気持ちよかった。
「綺麗だね」
「ええ、本当に。この前の灯台でも思いましたが、世界は本当に美しいですね。主殿と一緒に来なければ、私は一生その事に気づかなかったでしょうね」
ピエールが湖を見つめたまま、つぶやくように云う。
「ボクもね、皆と旅をしてなかったら、きっと景色なんて見てなかったと思うよ。……皆が居てくれてよかった」

 
 
木製の、かなりギシギシ云う古いつり橋をわたって、ボクらがルラフェンの対岸にたどり着いたのは、結局街を出てから3日くらいたった頃だった。山越えに思ってた以上に手間取ってしまった。
ルラムーン草、見つけるまでにどのくらいかかるだろうか?
ちょっと不安に感じつつも、ボクらは教えられた場所に向かって歩く。
「あのさあ、テス」
馬車の中から、スラリンの声。
「何?」
「さっきから、ずっとあの青い奴ついてきてるんだけど」
振り返ると、ボクらより少し離れたところを一匹のホイミスライムがふわふわ漂っている。
「……誘ったのか?」
「いや、さっき戦闘で彷徨う鎧が呼んでたのは見たけど……。仲間になりたいのかな?」
ボクは首をかしげてホイミスライムを見る。
「さっきパペットマンを仲間にしたばっかりじゃないか」
「ああ、パペットは面白かったねえ」
ボクは返事をしてから、ホイミスライムに声をかける。
「一緒に行く?」
「うわ、声かけるし!」
スラリンが驚いた声を上げたけど、聞こえない振りをして、ボクは返事を待つ。
ホイミスライムがふわふわとこっちへ飛んできた。
「こんにちわ。ホイミンね、ホイミンって云うの。一緒に行ってもいいの?」
「勿論」
「じゃあ、一緒に行きたい」
「ボクはテスだよ。こんにちは、ホイミン」
「こんにちわ。テスさん」
そういうと、ホイミンはボクにホイミをかけてくれた。
「ありがとう」
お礼を言うと、ホイミンはにこーっと笑った。そしてボクの腕に絡みつく。
「あ! お前! オイラだってテスには甘えないのに!」
「何? スラリン甘えたかったの?」
「うあぁあぁ!」
スラリンは真っ赤になって奇声を上げると、そのまま馬車に引っ込んでしまった。
「ホイミン、テスさん大好き」
「ありがとう」

ボクらはまた、旅を続ける。
山を下りきって半日くらい西に進んでから、今日は休む事にした。
ホイミンの人懐っこさに影響でもされたのか、皆が寄ってくる。
「どうしたの、皆?」
「くっつかれるの嫌なのか? テス?」
「そういうんじゃないけどね。……この前まで、スラリンこんなにボクにくっついてこなかったじゃない?」
「気にするな」
「うん、気にはならないけど」
 
……ならないけど、夏が近いせいもあって、ちょっと暑いんだよね。ガンドフとか、毛皮だし。
 
「お前ら、テスが疲れん程度にしておけよ?」
少し離れたところで、こっちを見ていたマーリン爺ちゃんが呆れたように皆に言う。
「疲れたのか? テス?」
「休憩してるから、大分回復してきたよ」
 
皆どうしちゃったのかなあ?
少なくとも、スラリンってこういう性格じゃなかったでしょ?
 
 

今日の夜の見張りは、ボクとマーリン爺ちゃんが一番手で、皆はもう眠ってしまっている。
「皆いきなりどうしちゃったのかな? 急にくっついてきて」
そう尋ねると、マーリン爺ちゃんは少し考えてから、
「距離を測りかねておったんじゃろ。テスはわしらに優しい。同じ立場で扱ってくれる。……でも、どこまで近づいていいやら良く分からん。これはまあ、人間と魔物という、そもそも関わりのない種族だったのじゃから仕方ない。今回ホイミンがじゃれついたじゃろ? それをテスも嫌がらなかった。それで我慢をしなくなったんじゃろ」
そう、答えた。
「ボクってとっつきにくかった?」
「だったら、最初から一緒に来ん。」
「そっか。……ボクね、皆の事大好き。今、こうやって落ち着いて旅ができるのも、皆が居てくれるからだと思ってる。一人だったら、もっと寂しいはずだもん」
「お前さんは優しいな」
「これはね、我が侭なんだよ、多分」
 
 
そうやって、話している時。
あたりの草がじんわりと青白く光り始めた。
その光が、ざわざわと少しずつ広がっていって、そのうちあたりは青白い光の海みたいになっていく。
風が吹いて草が揺れるたびに、光が強くなったり弱くなったりする。草同士がこすれあう音が、まるで海鳴りのよう。
 
「うわ! 皆おきて! 起きて! 見て!」
ボクは興奮しながら皆を起こす。
文句を言いながら起きてきたスラリンが、思わず歓声を上げた。
「うわー! 綺麗だな!」
あたり一面の光。
「これ、全部ルラムーン草?!」
「そのようじゃな」
マーリン爺ちゃんも、目を細めてその景色を見る。
「すごい! すごい! 奇跡みたいだ!」
 
ボクは思わず草の上に寝転がって、空を見上げる。
宝石を撒き散らしたみたいに、瞬く星。
青白く光る、草の海。
 
「世界って、素敵だね。……生きてて良かったよ。生きるって凄く大変で、もう嫌だって何回も思ったけど、生きてて良かった。生きてるのって、素敵だ」
 
ボクは立ち上がって、皆をかわるがわる抱きしめる。
それぞれが持ってる暖かさを感じる。
「テスに草がくっついて、光って見える」
「スラリンも光って見えるよ」
 
ボクらは一通りはしゃいだ後、一株だけルラムーン草を鉢に移し替えた。
 
一株じゃ寂しい光だけれど、この奇跡をこれ以上壊したくなかった。

 
ホイミン、ここでは仲間にならないかもしれませんが、仲間にしてみました。
いいじゃん、もう。
今日は文字数がやばいので、あっさりと終わります。 
 

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