■ちょっと奥さん、50回ですって、50回。
よくもまあ、書いたもんだよ。なのにまだルラフェンにいるよ(苦笑)

……いつ終わるのかなあ(遠い目)
 
もはや賭け事が成立しそうな勢いですね。
私は「未完に終わる」に1票です。己の性格を鑑みて。
 
 
■ルラフェン3 (ピエール視点)
ゆっくりと朝日が昇っていく。
空は今日も穏やかに晴れ渡り、いい一日を送る事ができそうだと思う。

「おーそーいー!」
主殿が現れたのは、そろそろ昼なろうかという時間帯になってからで、待ちくたびれていたスラリンが文句をいいながら主殿の足に何度か体当たりをしている。
「ごめんねー、ちょっと色々と……」
主殿は隠すことなく大きなあくびをしながら、あまり誠意を感じられない謝り方をした。
「主殿、謝るときにはもう少し誠意を……」
さすがに見かねて、私も注意する。
どうも主殿は町に行くと極端に朝が弱くなるらしく、街からの帰りの朝はいつもイマイチぴりっとしない。
「朝は苦手か? テス」
笑いながらマーリンが尋ねると
「宿でぐっすり寝られるって素敵だなあって思ってると、二度寝しちゃうんだよねー」
主殿はイマイチよく分からないことを云いながら、首の後ろをかいている。
野宿の朝はしっかり起きているから、きっと町に何かあるのだろうと思うが、釈然としない。

「ええとね、ちょっと行き先が変わりました」
「え? ポートセルミに戻って南へ行くんじゃないのか?」
「うん、そのつもりだったんだけど、ちょっと面白い話があってね」
そういうと、主殿はこの町の「煙」の正体と、その「煙」の主が何をしているのか、という話を細かく話す。
話をしている間、主殿の瞳はそれはそれは好奇心に光り輝いていて、新しいおもちゃを見つけた子供のようだった。
「それは面白い!」
真っ先に話を理解して面白がったのはマーリンだった。
「人間族の魔法使いもやるもんじゃ。ルラムーン草とは考えなんだ」
「マーリン爺ちゃん、分かるの?」
主殿はさらに目を輝かせて、マーリンに説明を求める。
探究心があるというか、好奇心の塊というか。
ともかく、主殿は「何かを知る」という事がとても好きなのだろうと思った。

「あくまで憶測じゃが」
マーリンは少し考えをまとめてから、主殿に説明を始める。
「ルラムーン草というのは群生する性質なんじゃが、ある一定以上増えると、やはり栄養面で問題が生じてくる。そうすると、一晩のうちにいくつかの株が別の場所へ飛んでいって、また群生を始めるんじゃ。その飛び方というのが、古代の魔法のルーラに似ており、さらに夜しか飛ばんということで、ルラムーンという名前になったという話でな。多分その人間族の魔法使いは、ルラムーン草の持っている魔法構成を調べて、人間でも使えるように構成しなおすつもりなんじゃろう」
 
「……わかんない」
スラリンが不満そうにマーリンに云う。私も同感だった。
 
「魔法というのは、イメージの構成で使う。例えばスラリン、お前さんが使う『スクルト』は、守りを強くしたいというイメージが元になるじゃろ? テスの『バギ』なら、風で攻撃したいというイメージ。そもそも、テスが見よう見真似で魔法を使っておったというのが、いい見本じゃな。『ああしたい、こうしたい』というのが、全ての魔法の始まりなのじゃ。今のわしらの使う魔法は、全て昔の人間のイメージと、それを魔法として使えるように定着させた努力の賜物なのじゃ」
そういうと、マーリンは大きく息を吐いた。
「喋るとつかれるのぅ」
 
「爺ちゃん、続き!」
「ま、慌てるな、スラリン。つまり、今度の『ルーラ』については誰ももう使わないから、イメージの仕様がないし、構成の仕方も分からないわけじゃ。そのイメージ構成を、ルラムーン草で代用しようと、ま、そういうことじゃろう」

マーリンの話はそれで終わりのようだった。
そういえば、私が使う『ベホイミ』もそもそもは回復が足りないと感じたときに、主殿が使っているのを見て、覚えた事を思い出した。
「なんとなく、分かった」
主殿は嬉しそうに言うと、続けて
「ルラムーン草、ちゃんと鉢植えとかにしてから持ってきたほうがよさそうだよね。ボク、刈り取ればいいかって思ってたんだけど。植木鉢買ってくるから、皆出かける準備をしておいて?」
そういって、町の中へ走って戻っていく。
「話を聞いてもらえたり、理解して貰えるっていうのは、嬉しいもんじゃの」
マーリンはしみじみというと、馬車の中へ戻っていった。

「出かけるのは、西の方角」
主殿は我々に地図を見せてくれる。ルラフェンの北西には、大きな湖と、そこから流れる川を持った小高い丘があり、そこを通って川の向こう側に、目指すルラムーン草が生えているという話だった。
「まあ、片道3・4日はかかりそうだけど。魔法が使えるようになったらポートセルミにすぐに戻れるようになるから、結果的には便利になるよ」
「そうですね、歩かずに行けるというのは少し不思議な感覚ですが、急ぐ旅にはもってこいですね」
私が答えると、主殿はにっこりと笑った。
「それにね、ボク一回ラインハットに戻りたいんだ。もう船がないから諦めてたんだけど、この魔法なら戻れそうじゃない?」
「ラインハットに何か忘れ物でも?」
「ヘンリー君、結婚したんだって」

主殿の話はまさに驚天動地。
 
「何だってー! だって馬鹿ヘンリーと別れてまだ1ヶ月とちょっとだぞー!?」
スラリンは大声を上げて驚き、馬車の中を跳ね回る。
ガンドフやコドラン、ブラウンのような普段無口なタイプの仲間達も、さすがに驚きの声を上げている。
唯一、ヘンリー殿と知り合いではないマーリンだけが「何じゃ何じゃ?」と首をかしげている程度。
「ね、ビックリでしょ?」
「テス! 何が何でもルラムーン草を探して、ヘンリーのところに殴り込みだぞ!」
「お祝いに行くんだよ」
主殿は苦笑しながら、スラリンに返事をする。

「そういう話であれば、急ぎましょう」
私が主殿を見上げてそういうと、主殿は頷いた。
 
ヘンリー殿に一刻も早く会い、祝いの言葉を述べたいと思う気持ちは、皆同じなのだ。

 
魔法の話云々は勿論捏造。
真面目に読まない方向でよろしくお願いしますね(苦笑) 
多分、昨日マーリンにテっちゃんが見せて貰った「魔法の本」もそういうイメージの仕方とか載ってたんだよ、きっと。

ああ、もう、突っ込みはなしの方向で!
ファイナルアンサーで!
 
 
しかしおかしいなあ、予定では今回ルーラが使えるようになってるはずだったのになあ。
全体的な話の進み具合は、昔立てた予定よりは早まってるから、まあ、いいか。
 
くれぐれも突っ込みはしないでくださいね? 
 

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