■何か、最近友人に会うごとに「DQ日記読んでるよ」といわれ、いまさらながら恥ずかしい日々です。
ここまできたら、もう、最後まで書かなきゃ格好わるいな。
……最後って。
まだラインハットに着くくらいを書いてて既に33回(遠い目)
 
今年中に終わればいいなあ。

むしろ、現実ゲームのほうがいつになったら終わるかなあ。
仲間が増えなくて同じ所くるくる回ってるからなあ……。
 
 
 
■ラインハット・リベンジ 1 (テス視点)
「オレはむしろ、エスなんたらってのが気になるな」
って、ヘンリー君は言った。
アルカパの酒場のおじさんの「伝説の勇者の話」は、雲をつかむような話で、まあ、なんていうか……よく分からない話だった。
とりあえず分かったのは、現在勇者自身はいないから、子孫を探すしかないことと、天空の剣と鎧と盾と兜を装備して「エスなんたら」っていう魔王だかなんだかを倒した、ということだった。
 
勇者がどこにいるのかとか、天空の装備がどこにあるのかはやっぱり分からないらしい。
 
「まあ、どこにいるか分からないなら、鎧とか探すほうが早いかもね。勇者様のほうがボクが持ってる剣とか探して来てくれるかもしれないし」
「そうだな。とりあえず、残りを探すしかないよな」
二人して、大きくため息。
「ま、がんばるよ」
 
話を聞き終わってから、道具屋さんで薬草を買い込んで、ボクらは町の外に出る。止めてある馬車に声をかけると、とたんにスラリンに怒られた。
「おそーい! お日様昇ってからどれだけたってると思ってるんだー!」
「ごめんね、朝から話聞きに行ってたの」
ボクが謝ってるそばで、ヘンリー君は
「町のことが分からないスライムが口出しすんな」
なんてスラリンに喧嘩を売る。
「オイラのこと馬鹿にしたなー!」
 
どうしてこう、この二人は仲良く出来ないんだろう。
 
「主殿、次はどちらに行かれるのですか?」
既に喧嘩は日常茶飯事、最近はどらきちが増えてますますやかましくなったことに、実は一番困ってるのかもしれないピエールがそばに来てボクに聞く。
「次は、ラインハット」
その国の名前を聞いて、皆が黙った。
「なあテス。そこ行って平気なのか?」
スラリンがボクを見上げた。
「平気だよ? なんで?」
一瞬、いやな予感がする。ヘンリー君が傷つくような話じゃなきゃいいけど。
「だってさぁ、あの国人間に評判悪いぞ? それに一時期、モンスターは周辺に集まっておけなんていう話もあったし」
「え? どこで?」
ビックリして聞き返すと、その話をピエールが引き継いだ。
「モンスターの間でです。最近は聞かなくなりましたが、一時期、モンスターを討伐しない国として有名になりました。うわさでは城に入ることも出来たとか」

しばらく、沈黙がその場を支配した。
 
「行ってみなきゃわかんないよ、ヘンリー君。もし、本当だったら大変。今よりもっと悪いことが起こるよ。早く行かなきゃ」
「……ああ」
ヘンリー君の顔は蒼白で、見ていて気の毒なくらいだった。
でも、国に行っていきなりその事実を知るより、心構えができてよかったのかも知れない。
 
ボクらはなるべく急いで、ラインハットを目指した。
途中、サンタローズに寄って一泊して(ビアンカちゃんが引っ越していたことを、シスターはとても残念がっていた)アルカパを出て三日目の午後には、ラインハットの国境を守る関所にたどり着いた。
 
「通れるといいんだけど」
「無理だったら強行突破するしかねえな」
「とりあえず、皆は馬車に隠れてて」
皆が馬車に乗り込んだのを確認して、ボクとヘンリー君は関所に入る。
関所には、兵士が一人だけいるだけで、ものものしい雰囲気はなかった。
「あの、ラインハットに行きたいんですけど」
声をかけると、兵士はこっちをギロっとにらんだ後、
「許しのないものを通すわけにはいかん。帰れ」
とだけ、ひどく偉そうに、ぞんざいに言った。

どうしようか、とヘンリー君をちらっと振り返ると、いきなりヘンリー君はつかつかとその兵士のほうへ歩いていった。
「随分偉くなったもんだな、トム! こんな川沿いの、今にもカエルがでそうなところなのに平気なのか? カエル嫌いは克服したのか?」
少し、せせら笑うような言い方で、ヘンリー君はその兵士を見返した。
兵士の顔色が、さーっと変わった。
「……! まさか、まさかヘンリー王子様! 生きてらしたんですか! なんてお懐かしい!」
「色々あったが、生きてた。今まで帰らなくて悪かった」
「ああ、なんて嬉しいことでしょう。ヘンリー様がいなくなってから、ラインハットはどんどん悪くなる一方で……。思えばヘンリー様のいたずらに泣かされていたあのころが、一番よかったのかも知れません……」
「それ以上言うなよ、兵士のお前が国の悪口を言ったら、色々問題もあるだろう?」
「はい……」
「通してくれるよな。トム」
「もちろんです!」
「あと、オレと友達が通ったことはしばらく黙っておいてくれ。オレは死んだことになってるみたいだしな」
「わかりました! ヘンリー様、お気をつけて!」
「ああ、トムも気をつけろよ」
 
ボクらはトムさんに関所を通して貰った。
川の下を通るトンネルは、頭の上で川が流れる音がして、ちょっと恐い。
「ヘンリー君」
「なんだよ」
「これまで見た中で、さっきのが一番王子様らしかったよ。格好良かった」
「何ー!? オレはいつだって王子様らしくて格好いいだろうが。お前どこ見てたんだ今まで!」
「それはヘンリーの勘違いだ」
馬車の中からぼそっとスラリンの声がして、ヘンリー君は馬車に向かって「スライムにわかってたまるか!」とか、そんな事を言ってまた喧嘩してた。
 
もしかしたら、仲がいいのかもしれない、と思い直すことにした。
 


 
と、言うわけで、二度目のラインハット編突入です。
子どものころのこの関所でのやり取りは、幸せな「父と子」の最終回のようで寂しかったものですが、今回は賑やかしくてテっちゃんも色々思い出して「ほろり」とする暇もない模様です。
 
「リベンジ」は復讐と言う意味。一度敗れた相手に仕返しする事。再挑戦、リトライという意味合いでも使われる。……との事なので、今回は「再挑戦」とか「リトライ」くらいの意味で。一度敗れた相手に再挑戦です。
 
ヘンリー君もテっちゃんも、ラインハットにはこっぴどく負けてますからね。がんばれ。
 

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