今日のDQ5 (26)
2005年1月5日 今日の「DQ5」■心強い仲間も増えたところで、サンタローズです。
■サンタローズ (テス視点)
洞窟にもぐるのは、明日以降ってことで。
■サンタローズ (テス視点)
「……なんか、テスに聞いてた話しと全然違うな」
ヘンリー君はそういって、サンタローズの村を眺めている。
「……」
ボクはただ、暫く何もしゃべることが出来なかった。
綺麗だったサンタローズ。
花が沢山咲いていて、のんびりしたいい村だったサンタローズ。
一体、ここは、どこ?
村の入り口近くに乱立する、お墓。
いたるところに沼地が出来ている。
沢山かかっていた橋は崩れ落ちていて。
何より、家がほとんどない。
あったとしても、それは壁がなかったり、焼け落ちていたりする。
でも。村の形や家の建っている位置は、変わらない。
ここは、サンタローズなんだろう。
「……。なんで?」
ボクは思わず走る。入り口直ぐの階段を駆け上って、無事だった橋を駆け抜ける。
正面に井戸。
その左手側にあるのは、ボクの家。
ボクの、家だったところ。
家は、なかった。
焼け焦げた柱だけが立っている。
床もない。沼になってる。
「……サンチョ? サンチョ!!!」
ボクは家の中に入る。クラクラする。
「テス! おい!」
家の外からヘンリー君が声を掛けてるけど、それだって実際はほとんど聞こえない。
「サンチョ! ねえ!」
サンチョは、いてくれるはず。
いつだって、ボクとお父さんを待ってくれてた。
なんでいないの?
「……テス」
ヘンリー君が家の真ん中で呆然としちゃって動けなくなったボクを引きずり出しにきてくれた。
「なんだここ? なんかクラクラしないか?」
「ヘンリー君、ボクの家、だったの、ここ」
「……」
ボクは上を見上げる。
見慣れた天井はなくて、空が見えた。
悔しいくらい、青い空。白い雲がのんびりたなびいてる。
「……どうされました?」
井戸の水をくむためだろうか、バケツをもったシスターがコッチを見ていた。
「そちらの家は、攻め入られた時に沢山毒をまかれましたから、危ないですよ。出ていらした方が……」
「ここ、ボクの家だったんです。一体何があったんですか? 村も。何でこんなことに?」
シスターが、持っていたバケツを落とした。
「ここはパパスさんの家でしたのよ? ボクの家って……まさか。まさかテスなの? テっちゃんなの?!」
「うん、そう。……シスター?」
「無事だったのね!」
シスターは嬉しそうに笑った。
「この村はね、ラインハットに攻め込まれたの」
ヘンリー君が息をのむ音が聞こえた。
「第一王子のヘンリー様がいなくなったのは、パパスさんのせいだっていって。もちろん、村の皆だれもがそんなこと信じてないわ。でも、そんなこと、もちろんラインハットの人は信じないわ。だから……」
「シスター、大変だったんだね」
「テっちゃんこそ、よく無事で……。大変だったんじゃない? パパスさんは? 村の皆はラインハットで何かあったに違いないって思ってるんだけど」
「お父さんは、なくなりました。もう10年も前です」
「じゃあ、テっちゃん10年も一人で?」
「ううん、友達と一緒だったの」
ボクはヘンリー君を指差す。ヘンリー君は無言で頭を下げた。
名前は、言わない方がいいと思った。
「そう、大変だったのね。……何があったのか、聞かせていただける?」
「それは……今はまだ話せないんだ、ごめんねシスター」
「ええ。でも話したいことがあったら、いつでも話してね。私はこれでもシスターですから。神様はいつも見守ってくださるのよ」
「……うん。……サンチョは……」
「村の人は、かなりの人が亡くなったわ。でも、そのなかにサンチョさんはいなかった。私、埋葬をお手伝いしたからわかるの。サンチョさんはいなかったわ。でも、無事も確認してないの。私はラインハットに連れて行かれたか、それかうまく逃げてくれたと思ってる」
「きっと、逃げたよ。サンチョ強かったから」
「テっちゃん、今日はお友達も一緒に教会に泊まっていって。お話ができるところだけでも私に聞かせて」
「うん。シスター、水汲んでいくんでしょ? ボク持ってあげる」
「ありがとう、テっちゃん」
ヘンリー君は、ずっと静かにボクらを見てた。
ずっと、唇をかんで。悔しそうに。つらそうに。
「ヘンリー君」
ボクは声をかける。
「テス、オレ……!」
「ヘンリー君、平気だよ。行こう」
でも、ヘンリー君は動かない。
「ヘンリー君、まだ早いよ。くじけるにはまだ早い」
ボクはヘンリー君の手を引いて教会に急ぐ。
そう。
まだ、何にも解らないうちから、決めちゃダメだと思う。
悲しいけど、まだ。
きっとボクは負けてる場合じゃない。
洞窟にもぐるのは、明日以降ってことで。
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