■テスという名前の、女性キャラがイギリスのSFだか何だかに出ているらしい。結構有名なのかな?
どんな姿になっても、貴方の事を愛しています、とかそういう系統らしいんだけど。
 
……テっちゃん、女の子疑惑(笑)
 
■ドレイ生活 2 回想編 (ヘンリー視点)
テスは、死ぬんじゃないかって思ってた。
 
連れてこられたときからオレは反抗したおしていたんだけど、テスはいつも呆然としたような感じで、言われたように仕事をして、なぐられても無反応で(そのぶん、あまり面白くないのか却ってなぐられてる回数は少なかったんだけど)何ていうのか、そう、生きてるけど死んでるみたいな感じで、いつか本当に死ぬんじゃないかって、そう思ってた。
いつも朝起きるのが怖かった。
起きた時、テスが死んでるんじゃないかって。
そんな日が長い間続いてた。

それがある日起きたら、いきなりテスが元気になってた。
「ビアンカちゃんが夢に出てきてねー、しっかりしなさいよ! って、怒られちゃった」
なんて、けろりと言ったんだ。
一体なんだソレ、とは思ったけど。テスが元気になってくれたのは心底嬉しかった。生き返った、って本気で思った。
会ったことのない、ビアンカちゃん(たぶん可愛いんだろうよ!)に感謝したくらいだ。

「子分は親分の言うことを聞くもんだ」
とはいつも言ってるけど、もちろんオレだって、親分が子分の権利やらを守らなきゃいけない時がくるのくらい、分かってる。
今がその時だと、思ってる。
ソレじゃなくても、オレのわがままがテスの親父さんを殺した。
オレのわがままが、テスを不幸にした。
すべての引き金を、オレが引いた。

だから。
オレはテスを守らなきゃいけない。
 
そう思ってる。
 
此処から抜け出すまで、テスを守らなきゃと。
ずっと思ってる。
 
 
正気を取り戻した(って言ってもいいと思う)テスは、それからよく脱走を図った。もちろん、オレも一緒だ。
失敗しては殴られたり鞭で叩かれたり、飯を抜かれたりと、そりゃーもう大変だった。
失敗しても直ぐにまた逃げ出そうとするテスを見てると、それはそれで、もうすぐテスは死ぬんじゃないかって、ソレばかりが気になってた。
 
死ぬつもりなんじゃないかって。
 
ずっとソレばっかりが怖かったんだけど、ある日やっぱりテスはけろりと
「死ぬ気はないよ」
と言ってのけた。

オレは、思ってるほどこいつの事をわかってないのかもしれない、と初めて思った。
 

そんな風に逃げては失敗する時間だけが過ぎていっていた。
気付けばオレは11歳で、テスは10歳になってた。
よく、生きられたなあと思ってた。
そのころ、テスは脱走をいきなりやめた。
オレがせっついても「うん、そのうち」と言ってるだけで全然そのつもりが無いみたいだった。
 
こんなところで、一生過ごすつもりか?
そんな疑問だけがずっと心の中にあった。

そのころテスは、新しく入ってきたドレイの爺さんの話に夢中になってた。
その爺さんは金持ちの家の先生をしてたらしい。その金持ちが光の教団に入るのを止めたら、まあ、ドレイにされたといっていた。そういう人は多かった。
一体外ではどういうことが起こってるんだろう。
 
爺さんは、地理とかを専門にしてる学者さんだったらしく、いろんなことを知っていた。
テスとオレはその爺さんに、仕事をちょっとだけ肩代わりする代わりに、字の読み書きを教わり、地図の読み方(この爺さん、世界地図を書けるんだ。さすが地理専門)、世界の民話やら、まあともかく色んなことを教えてくれた。
「お前たちは賢いなあ。教え甲斐がある」
そういって爺さんはいつも笑ってた。

結局、爺さんがドレイ生活でボロ雑巾みたいにされて死んでしまうまで、テスは脱走を一度もしようとしなかった。

「ヘンリー君、計画立てようか」
テスがそういったのは、爺さんが死んでから暫くたった時だった。
「何かその話久しぶりだな」
「先生が居る間は逃げられなかったよ」
テスはそういって困ったように笑った。
「まあ、そうだよな」
 
結局、オレたちは16やら17やらになるまで(もう正確な年齢なんて全然わかんなくなってたけど、あんまり不便は無い)逃げ出すことは出来なかったけど。
 
逃げ出すことが、出来た。
 
すごい幸運が重なっただけの、偶然の産物だったけれど。

逃げ出せたんだ。
 
ようやく、実感が沸いてきた。
 
 
今、オレたちはタルの中に居る。
外からは、絶え間なく波の音が聞こえる。
多分、どこか海の上をたゆたってる。
テスとマリアさんは、タルの中で死んだように眠ってる。
でも生きている。
呼吸の音がする。
 
生きてるって、すげえいいことだ。
 
 
そう思って、オレも目を閉じる。
暫く眠ろう。
目を開けた時には、きっとオレたちは助かってる。
 


 
というわけで、ちょっと中途半端な回想編でした。
いや、色々書きたいことはあったんだけど、かけない感じ。
苦手なんだよ、湿っぽいのとか、暗いのとか、痛いのとか。
 
ので、さらっと。
 
というわけで明日から、テっちゃんは大人です。
(一応もう大人ですけど、テっちゃん視点書いてないし)
 
 
早くビアンカちゃんとか書きたい。
 
 
 

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