■今日はRinちゃんのおうちにレベル上げに行ってました。
テレビのない生活ってとってもつまらない、と痛感してます。
 
 
■ラインハット1 (パパス視点)
村の入り口で暫く待っていると、テスが跳ねるように歩いてきた。ゲレゲレという名前の「ネコ」も一緒だ。
このゲレゲレ、どう考えても「ネコ」ではないのだが、テスはネコだと言い張っている。どう考えても……ベビーパンサーだろう。しかしゲレゲレの方はテスに懐いていてそれといって悪さをしないし、第一モンスターが人に懐くのを見るのには慣れている。
この子は、マーサに良く似た瞳をしてる。多分、彼女の力を色濃く引いたのだろう。だから。モンスターであるベビーパンサーも懐いてるのだろう。久しぶりにそういう場面を見たことに、少しこれでも幸せな気分になったなど、きっとテスは知らないだろう。
 
「お父さん、お祈りしてきたよ」
「おお来たかテス。今度の行き先はラインハットのお城だ。前の船旅とちがって、そんなに長い旅にはならないだろう。この旅が終ったら、父さんは少し落ち着くつもりだ。お前にはいろいろ淋しい思いをさせたが、これからは遊んであげるぞ。テスは何がしたい?」
テスは目を輝かせて私を見て、
「本当?! じゃあね、じゃあね、ボク字を教えて欲しい! お父さん、字、教えて!」
「……それでいいのか?」
まさか勉強方面に話が行くとは思わなかった。
「うん! だってね、ビアンカちゃんもベラも字が読めてとっても格好イイの!」
「そうか、分かった。帰ったら字を勉強しような」
「あとね、あとね! 剣の修行も教えて!」
「父さん厳しいぞ」
「平気ー。ボクね、お父さんを助けてあげたいからね、強くなりたいの」
「それは頼もしいな。じゃあ帰ってきたら、剣も見てやろう。さて、いくとするかっ!」
「うん。あ、お父さん、ゲレゲレも連れて行っていい?」
「かまわないぞ」
「やったねー、ゲレゲレ」

テスが後ろをちょろちょろと付いてくるのを確認しながら、ラインハットを目指して歩く。空は青く、いい風が吹いてきている。随分寒い時期が続いていたが、春が来たのだろう。やわらかく暖かい風は、花の匂いがした。
「お父さん、ボクねベラに桜を貰ったんだよ」
「ほう」
テスが見せてくれた桜の枝には、既に花が咲いている。
「綺麗なもんだな」
「でしょー?」
そういって、テスはニコニコと笑っている。……まて、ベラって誰だ? そういう名前の子はサンタローズには居なかったはずなんだが。聞いてみようかと思ったが、テスがニコニコしてるから聞くのをやめることにした。別に悪い相手ではなかったのだろう。
 
東へ随分と歩いて、ようやく関所に着いた。
途中何度かモンスターに遭遇したが、少し見なかった間にテスは強くなったらしい。暫く前に見たときにスライムと戯れているように見えたのがウソのようだった。ゲレゲレもよく戦っている。いいコンビになっていったのだろう。どこで練習したのか気になるが、知らないのは暫くテスの事を見てなかった自分のせいなのかも知れない。
帰ったら、色々話を聞いてやらねば。

関所の中の兵士は、非常にマジメに任務を果たしていた。こういう姿は見ていていいものだ、と思う。
「私はサンタローズに住むパパスというものだ。ラインハット国王に呼ばれ、お城にいく途中である。どうか通されたい!」
私が声を掛けると、兵士は私を見てすこしほっとしたようだった。多分説明よりも私の到着が遅れたからだろう。仕事がきちんと片付いていくのは、仕事をしているものにとっては嬉しいものだ。
「おお! あなたが パパスどのですか!? 連絡はうけています。どうぞお通りください!」
テスは初めて見る兵士が珍しいのか、しばらく私と兵士のやり取りをじっと見つめていて、兵士の敬礼を真似してから歩き始めた。敬礼する兵士に見送られ、私はテスとともに関所を通る。

「お父さん、兵士さんって格好いいね」
「そうか。テスは大きくなったら兵士になりたいか?」
「うーん」
しばらくテスは考えてから
「大きくなったら、お父さんみたいになりたい!」
とニコニコ笑って両手を広げて見せた。
「そうか。父さんみたいになりたいか。テスなら簡単だ」
「本当?」
私とテスは、川の下を通るすこし湿っぽい通路を通り過ぎ、ようやくラインハット領に入った。
東側の関所は、見晴台がついていて非常に眺めがよい。川風が体に気持ちよかった。
「テス、この関所は川を挟んで村の方を見るととても景色が言いそうだ。少し寄り道をしてみていこう」
「うん」

階段を上ると、先ほど下をくぐって来た大きな川と、その向こうに広がる平野が見えた。川は陽の光を反射してキラキラと光っている。
「テス、おいで」
私はテスを肩車して、その景色をテスに見せる。
「うわー、すごいねえ、綺麗だねえお父さん」
まだまだテスの体は軽い。落ちないようにか、私の頭を抱える手も小さい。この子を守っていかねば、と気持ちを新たにする。
テスを肩から下ろすと、そこで川を見ている老人が居ることに気がついた。
「もし……。どうかされたかご老人?」
「ほっといてくだされ。わしは川の流れを見ながら、この国のゆく末を案じているだけじゃて……」
もし動けないとかであれば、連れて行ってあげなければ、と思ったのだが、そういう訳ではないらしい。
それにしても。
出掛けに聞いた、ラインハットの跡継ぎ問題はかなり深刻なものになっているのだろう。手紙の方もかなり切迫した状況が書かれていた。少し気を引き締めなければならないかもしれない。
「ふむ……。あまり風にあたると身体に毒ですぞ。ではごめん!」
挨拶をして、再び私はテスとともにラインハットに向かう。
暫く歩いていくと遠くにとがったオレンジの屋根が見えてきた。
「テス、ラインハットが見えてきたぞ」
「うん」
「あとちょっとだからな。頑張れ」
「うん、わかったー。楽しみだねえ」
「そうだな」
 
 
つづく

 
ついに、ラインハット編に突入です。
書きながら3回くらい泣きかけました(自分で書いててどうなのそれ!)父視点にするんじゃなかった……。
 
ともあれ、ラインハットは3回くらいで終わらせたいです。泣くのは少ない時間がいいです(苦笑)
 
 
 

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